Column16 「スナップえんどう」の話

 今回は、「スナップえんどう」という野菜の名前について取り上げようと思います。

     ☆


 季節は春。

 ……といっても、気温が夏日になっていて違和感もあるかと思いますが(苦笑)、スーパーなどで扱っている野菜は春野菜ですね。


 春野菜の中に「スナップえんどう」という名前の野菜があります。きっとご存じの方も多いと思います。サヤエンドウの一種で、さやごと食べられるのが特徴です。


 今回「スナップえんどう」を取り上げたのは、知人に「『スナッえんどう』と『スナッえんどう』どっちが正しい言い方なの?」と聞かれたからでした。


 実を申しますと、かくいう私も春になってスーパーで買うたびに、「ああ、そうだっけ」と確認していたくらいで、どっちが正しいのか分かっていなかったんです(笑)

 いい機会なので調べてみることにしました。


「スナップえんどう」と「スナックえんどう」。

 結論から申しますと、正しいのは「スナップえんどう」です。野菜を買った袋などにも商品名が書いてあります。


 しかし、それならば何故「スナックえんどう」という言い方と迷ってしまうのかというと、「スナックえんどう」という言い方もあったからなのです。


「どういうこと?」と思いますよね。


 調べた限りですと、1970年代にアメリカから「スナップえんどう」が日本に入ってきた際、日本の種苗会社が「スナックえんどう」と付けたのだとか。スナック菓子のようなさくっとした触感だったり、軽く食べられたりという点から、そのように名づけられたそうです。


 ですが、本来の名前は「スナップえんどう」です。英語で書くと「snap pea」と書きます。


「snap」の意味を調べてみると、「ポキンと折れる」(『エースクラウン英和辞典』第3版』より引用)とあり、「pea」は「エンドウ豆」とあります。つまり、「ポキンと折れるエンドウ豆」ということですね。


 そのため「作った名称」と「本来の名称」の二つが存在することになってしまったのです。お陰で私の知人のように「どっち?」となる方もちらほら。


 そういうこともあってか、1983(昭和58)年に農林水産省が名称を「スナップえんどう」と統一したそうです。


 よって、どの辞書を調べてみても「スナップえんどう」という見出ししかなく、唯一『三省堂国語辞典 第八版』には「スナップえんどう」の語釈の中に、「スナックえんどう」という記載がありました(ややこしくてすみません……)。要は、「同じものだよ」ということを示しているのかなと思います。


 ただ、「スナックえんどう」も結構浸透した名前になっているようで、農林水産省のHPに載せてある、地域ごとのPDFの中には「スナックえんどう」と書いてあるものもありました(笑)

 もしかすると、地域によっては商品名を「スナックえんどう」としているのかもしれません。


 ということで、一般的には「スナップえんどう」で、地域によっては「スナックえんどう」としているところもある、というのが回答かなと思います。


 ちなみに表記は「スナップえんどう」でも、「スナップエンドウ」でもどちらでも大丈夫です。

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