Column6 「USBメモリー」の話

 今回は、「USBメモリー」について取り上げようと思います。


     ☆


 何年か前に、ある刑事ドラマで、警察官が犯人に向かって「USBを出せ!」「USBだ!」というセリフを言っていたことがありました。


 しかしこれは、よく考えると違和感があります。


「USB」とは「Universal Serial Bus」の略で、「コンピュータと周辺機器をつなぐ規格の一つ」(『旺文社国語辞典 第十二版』より引用)のこと。ゆえに、「USB」と言っただけでは「USBメモリー」のことを指さないため、通常は「USBメモリー」というのが正しい言い方(もしくは表記)です。


 ですが、ドラマで「USBメモリーを出せ!」と言うと、正しいとはいえセリフが長くなってしまいますし、「メモリーを出せ!」とすると、今度は他のメモリーを想像する人が出てくることもあるでしょう。


 では、どうすればいいのかというと、こういう場合は「USBメモリー」というのを物語の冒頭に出しておいて、あとは「メモリー」もしくは必要に応じて「USBメモリー」とするのが、言葉の流れとしては自然です。新聞など文字の制限がある記事でも、このような流れで記しています。


 ただ、最近「USB」=「USBメモリー」と認識している人が多くなってきていることもあり、『三省堂国語辞典 第八版』では「『USB』=『USBメモリー』として認識することもある」と記載していました。(いつものように複数の辞書を引きましたが、認めていたのは『三省堂国語辞典 第八版』のみでした)


 よって、普通の会話では「USBメモリー」を「USB」と言っても通じるのでいいのかもしれません。ですが、語られる分野によっては違和感があるため、使う際はその辺りに気をつける必要があるかなと思います。

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