Column6 「椅子」の「す」はなぜ「子」と書くの?
今回は、「椅子」の「す」が、何故「子」と書くのかについて取り上げてみようと思います。
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日常で使っている「椅子」ですが、何故、漢字に子どもの「子」が含まれているのでしょうか。
……ということを何気なく思ったので、ちょっと調べてみました。すると色々な面白いことが分かりましたので、下記に記してみたいと思います。
「椅子」は元々「いし」と呼ばれていたようです。漢字で書くと「倚子」。「倚」は「寄りかかる」という意味があり、腰掛を示すにはぴったりの漢字ですね。
では「子」はどうか。
この漢字にはもちろん、「子ども」とか「人」などの意味があったり、ときには尊称として用いられることもありました。
ですが、そのほかに「小さいものや道具などの名詞につく」こともありました。つまり「倚子」は名詞だから、「子」が付いているということなのです。
これで「椅子」に何故、「子」が使われていたのは分かりました。
ですが、もともと「いす」は「いし」と呼ばれていたと書きましたね。一体どこから「いす」という呼び方になったのでしょうか。「いしいしいし……」と言われ続けて「いす」と誤って伝わるようになったのでしょうか。
実は言い間違いで伝わったわけではなく、唐音(平安時代の中期以降に伝えられた中国語の発音の一つ)で発音するようになったからです。唐音では、「子」を「す」と発音するので、「椅子」の「子」は「す」と読みます。
では、「倚」はどうでしょう。どこで「椅」と変わったのでしょうか。
『明鏡国語辞典 第三版』によれば、「宮中で高官が使った『倚子(=腰かけ)』を、のち禅僧が用いるようになり、『
実際、「倚子」というのは宮中のなかでも高官だけが使用できたものらしく、それ以外の人たちは使えない代物だったようです。
よって「『宮中で高官が使った『倚子(=腰かけ)』を、のち禅僧が用いるようになった」という辞書の見解から、「倚子」が「椅子」の表記になったのは、高官たちが使う「倚子」と、禅僧が使う「椅子」を区別したからかなと想像します。
ちなみに、禅僧は説教をするときに椅子を使っていたのだとか。
寄りかかりのある木製の椅子だったようなので、座ることで楽だったのかな……と思ったり思わなかったり……。どうだったのでしょうね。
以上、「椅子」のお話でした。
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