人間というのは互いにちがう生物ですから、同じものを見ているようでも受容した情報は同じで無いらしいと言います。
林檎を見た人が感じ取った「赤」はそれぞれ違っている、ということです。
この小説では明確に、
「魚の見える人」と
「魚の見えない人」とが
分けられていますが。しかし見えたからといって、逆に見えなかったからといって、それぞれ同じものが見えているとは限らない。
そういう、日常では違和感を感じることもなく見過ごした微細の違和感に焦点を当てて書いた、極めて丁寧な作りの小説だと感じました。
また、内容もさることながら描写も丁寧で、作者の細かな気遣いを感じ取れます。
書き手の方も、描写の勉強にと一度読んでみてもいいかもしれません。