第4話 引きこもりの彼
ピーンポーン
俺たち玄関の前にあるチャイムを鳴らした。
「はーい」
お母さんだろう、女の人がでてきた。
「すみません、プリントを届にきました。」
「あら、かいくんじゃない。久しぶりに来てくれたのね。ありがとうね。友達くんも来てくれて」
「こいつ今、記憶がないんですよ… だから俺が付き添いにきました。」
「あら、そんなことがあったの?」
俺たちは中に入れてくれて、俺の事故の話をした。
「これ、うまいっすね。」
隣に座っている、優はテーブルに出してくれたケーキをガッツリ食べている。
こいつ、何しに来たと思ってんだ……
「かいくん、記憶がないのに悪いんだけど、あの子をそのに出してくれない?」
「あぁ… 夢さんですね」
「あの子、急に学校に行かなくなってそれから部屋にずっとこもってるの。ご飯はいつもドアの前に置いてるからいいけど、お風呂にも週に一回しか入らなくて健康にも悪いし何かあったら怖いの」
夢さんのお母さんは心配な顔をしていた。
あんな顔されたら断れない…
というよりも俺なら助けたい。
俺は、階段を登って彼に会いに行った。
優はソファーで待機してもらっている。
元々俺はプリントを届けていたんだ… わからない人が行ったら話になんないかもしれないからな。
二階のすぐ目の前のドアらしい
俺はドアにノックをした。
「こんにちは、夢さん。プリント届けに来たよ」
「かいくん!? 何週間何してたの?」
「ごめん、事故にあって入院してたんだ…」
「そ、そうなんだ、中には入っていいよ」
「あの子、かいくんだと部屋に入れてくれるの」
「そうなんですね。俺はわかりますよ。かいはいいやつですから、」
俺は部屋に入った。
部屋は暗く窓はカーテンを閉めている。
彼はベットに座っていた。
「ここに座っていいよ。」
彼は隣に座っていいと言っているんだろうか、手をベットにポンポンとしていた。
「分かった。」
俺は隣に座った。
「これ、プリント」
「あぁ……ありがとう」
俺はプリントを出すとすぐにプリントを取ってくれた。
「なぁ、夏休みに入る前に一日は行かないとまずいんだって、学校はいけないの?」
「私、まだ行きたくない…」
「そうなんだ、ならまずは外に出てみない?俺もついて行くから」
「分かった。」彼女はすんなりと頭を下げてくれた。
意外にかかると思ったがまずは外に出すことはできた。
俺たち3人は外に出た。
彼女は、パーカーを着てくれたみたいだ。やっぱり久しぶりの外は怖いんだろう。
「よし、行くか。」
俺の後ろに隠れて着いてきてくれている。
「この公園…久しぶりだ」
「じゃあ、行ってみるか。」
二人しか乗れないブランコに俺と夢さんは座り
優は自動販売機で飲み物を買ってくると言っていた。
「そういえば言ってなかったんだけど俺、記憶がないんだ…」
俺は、このまま嘘を付くのは良くないと思った。
もしかしたら彼女もう、出なくなってしまうかもしれない。
「え!? そうなんですか?」
「まぁ…さっきの事故にあった時、頭を打ってその衝撃で一時的に記憶が曖昧なだけだから」
「それならよかったです。」彼は微笑んでいた。
俺も彼に嫌われなくてよかったと思った。
「あの、私。学校でいじめられたんです。元々癖毛で人と関われないですし、色々な人にパシリにされたりされていて……」
「そうなんだ、俺もさ小学生の頃はいじめられていたんだよ。
それでも親友がいたから大丈夫だった、何があっても助けてくれる。もしまた、学校に行って嫌な事が会った時、俺たちが助けてあげる。だから俺の友達としていてくれないか」
俺ができるのはこれだけだ、彼を守る方法は、それしかやることは出来ない。人は傷ついてしまったらちゃんと治ることはない。一生傷がついている、それでも忘れさせることはできる。
「戻ったぞー はい、お茶」
「あ、ありがとうございます。」
戻ってきた優は彼にお茶を渡したみたいだ。
こいつも結構いいやつだな
「あれ?俺のは?」
「あるわけないだろ、自分で買えよ」
やっぱりこいつ、ダメだわ
くすん、鼻で笑ってるのが聞こえてきた。
笑っていたのは夢さんだった。
めっちゃくちゃええ顔をしていた。
俺たちは30分ほど彼の家周りを散歩した。
「じゃあ、また来るね。」
「うん、」
「じゃあ帰るぞ、優」
「あぁ… 先に行ってていいぞ。忘れ物した」
「たく、しょうがねぇな先行ってるから早く戻ってこいよ」
「夢さん、あなたあいつのこと好きでしょ」
「え!?」
「すぐには分かったよ、カイにしか心許してないようみたいだし」
夢は照れながら答えた。
「うん、そうだよ」
「なら、俺に考えがある。」
「考え?」
「それは学校に行かないとあいつを惚れさせることはできない、そのための秘策だ」
――――2日後――――
「おはよう優、行くぞ」
「おう、」
公園の話から2日がたった。まだ彼はきていない。
俺らはいつものように学校へ着いた。
下駄箱から何やら騒がしい。
「どうしたんだ?」
男たちが騒いでるみたいだ。
「おい、めっちゃくちゃ可愛いの子が転校してきたみたいだぜ」
何やら可愛い子が転校してきたみたいだ、
「2-Aらいしぜ」
「そうなんだ、俺たちのクラスじゃん なぁ、優」
「そうみたいだな……」
なんかいつもと違う優だった。
いつもだったら急いで観に行くのに……
クラスのドアを開けた瞬間彼女はいた。
彼女は、クラスの子と違うクラスの人から囲まれていた。
彼女は綺麗な髪、整った顔をして俺でも惚れてしまいそうだった。
「かいくん、助けて……」
彼女は、俺の方に抱きついてきた。
「ちょっと、なんで俺のこと知ってんの?」
俺は照れながらも問いかけた。
「私ですよ、夢ですよ」
「え!?夢さん、」
俺はその声が夢さんだとは分かったが、まさか女性だったのか……
「あの子って夢ちゃんなの」
「マジかよ」
クラスの子たちは夢さんだと分かって驚いているみたいだ。
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