第3話

 霊のピノ師匠との魔法の訓練は、体づくりから始まった。


「ほれ、うまく寝返りしてみ?」


「ええっ? 全然できないんですけど!?」


 現在、僕は赤ちゃんからやり直し中です。筋肉を使わず、骨を動かす練習なのだとか。


「ほれほれ、もうちょっとで寝返りが打てるぞ?」


「はあはあ、しんどいです、これ!!」


 体づくりといえば筋トレだと考えていた。ピノ師匠曰く、骨と筋を鍛えるのが大切らしい。


 寝返りを打てるようになるのに半年、ハイハイができるようになるのにさらに半年。立ち上がるのに2ヶ月。歩けるようになるのに一年もかかった。


 そして、自由に走り回れるようになるのに、さらに二年を要した。


「関節をたくさん使うのじゃ!」


 10歳になった僕は森に出てきて、いろんな魔物と素手で戦っている。


「ぐおおおお!」


 熊型の魔銃、ブラッディデスグリズリーが腕を振り、爪で引っ掻こうとする。僕はその腕を掴んで投げ飛ばす。


 ずどーん!


「ロラン、トドメじゃ!」


 投げ飛ばされたブラッディーデスグリズリーに突きを放ち心臓を貫く。


「よくやったの。これで、この森の魔物はどれでも倒せるの。」


 魔法の訓練をしていたはずが、最強の武道家になってしまっているのですが!?

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