第2話

 気がつくと、冷たい床の上に寝かされていた。


「あれ? 生きてる?」


 洞窟の中に入るみたいだ。


「体、痛くない。引き攣らないな。」


 体を起こす。やっぱり洞窟だ。


「起きたかの?」


 どこからか声がした。


「だ、誰?」


「ふぉっふぉっ。わしはピノ・ワイズ。偶然其方を見かけての。ここへ連れてきたんじゃよ。」


 うっすらと透き通る姿の老人が笑顔でコチラをみていた。


「あ、僕はロレンツォ・レッドウィザードです。7歳です。」


「ロランと呼んでもええかの?」


「は、はい!」


 いつのまにか現れたソファーとテーブル。僕はソファーを勧められる。ソファーに座ると湯気が立つ紅茶が現れた。


「すごい!」


「ふぉっふぉっ。廃れた技じゃよ。それで、ロラン。おまえさんを見つけた時、酷い怪我をしておったの? まあ、たいしたことない魔法の傷跡だったが。」


「あの、魔法? 魔術じゃ?」


「そういえば、そうじゃったの。それで、何があったか教えてくれんかの?」


 僕は、屋敷での仕打ちを全て話した。


「ふむ。小さいのに大変じゃったな。やはり、魔術では人を幸せにできんかったか。」


「あの、それはどういうことですか?」


 僕は思わず身を乗り出してしまう。


「魔術はな、すべてが一人の男の技を体系化して作られたものじゃよ。だから、その体系から外れたものは魔術が使えぬ。良かれと思ってやったのじゃろうが、この世界の魔術とやらは随分退化しておる。」


 ピノさんは悲しそうな表情を一瞬だけ見せた。


「魔法はの、この世界のありとあらゆる現象を再現する技じゃ。体も鍛えねばならんが、それなら其方にも使えるぞ? やってミンかの?」


「僕、魔法が使えるんですか!?」


「ああ。魔法なら誰でも使えるからな。」


「僕、魔法勉強します!!」




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