第8話(トリガーシーン「誰にも言えなかった話」)

シーンプレイヤー:全員


机の引き出しから出てきたのは無数の遺書だった。

いつ書いたのかはわからないが、彼のそばにいた人物への無数の遺書が。

もちろんあなたたちへの遺書もあるが、どれも書いて、消して、書いて、破っての繰り返しだ。


「この言葉をどう残せばいいのかわからない」

「日常を大事にお元気で←他人行儀すぎやしないか」

「お前たちなら大丈夫←無責任すぎやしないか」


「何を残そう、何を遺せるだろう」

「短時間で何を遺せるだろう」

「直感的に思うーーーこの事件で俺は死ぬんだろう。だから、せめて、せめて、支部員たちには、恋人には何か残したい」

「けれど圧倒的に時間がない」

「この国の言葉は不便だ。発言の裏の意味まで考えないといけない」

「そこまで器用じゃない俺に一体何ができるだろう」


そんな言葉が、破り捨てられた紙を繋ぎ合わせると浮かび上がるような気がする。


引き出しの奥に、2通の便箋がある。

読みますか?


____


支部員へ


俺だけは迂闊に殺せない。

だから、おまえ達は置いていく。

この作戦には連れて行かない。


支部長として最後の命令を

「何があっても生きろ」

「俺のことは忘れろ」


心残りがある

しかし悔いても、もう遅い


襲撃事件で何か細工をされたらしい

おまえ達を、殺す妄想をする

気がつけば、血を求めている


アイツより先に逝く

わかってはいたことだが

…帰らなければ、これを俺の恋人へ。


____

2通目


(恋人の名前)へ


お前だけはどうか幸福に


俺のことは忘れろ


ーーーーー

ここから先は破かれていて読めない


スズランのキーホルダーが、一緒に入っている


_____


あなたたちが読み終えた頃、霧谷雄吾からの通信が入る


他に宣言がなければシーンエンド

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る