第35話 他の男だから。

「ミスコン優勝者は────」


 司会者の生徒会長が焦らしながら発表する。























「雷斗さんです! ステージに出てきて下さい!」


 よっしゃ。


「やったー! らいくん、すごいすごい。」


 海里が隣でめっちゃ喜んでいる。


「海里にカッコ悪いとこ見せたくねーしな」


 そう言って、海里の頭を撫でてから、カッコつけてステージに向かう。


「こちらにどうぞっ」


 生徒会長の指示でステージの真ん中に立つ。


「優勝した、雷斗さんです。一言どうぞ!」


 マイクを渡されて、それを受け取った。


「はい。え~っと、優勝出来るかなとは思っていましたが、予想通りで良かったです」


 俺はそんなふうに他の出場者を煽る。


 俺の返事に生徒会長は何も慌てずにマイクを握る。


「ありがとうございます。続いて、二位と三位の発表です」


「二位は────。三位は──、朔。お二人は後で表彰があるので、生徒会役員が来るのを待っていてください」


 二位は三年生の先輩。


 かなり予想通りな結果だった。


 その後いろいろと生徒会長が話して、あっという間に午後の時間になった。


ーー


「注文はどうしますか? お嬢さん」


 俺は執事キャラというなんとも難しいキャラになりきる。


 流架にめっちゃ厳しく訓練させられた。


「え~っとぉ、このパフェ二つでお願いします」


「かしこまりました」


 えっと、ここでウインクだったか?


 俺は、調理担当の快凪のところに向かう。


 あいつは意外に料理が上手い。


 前に食べさせてもらったときも、プロレベルかと感心した。


「快凪、パフェ二つを三番席」


「了解。海里は大丈夫なん?」


 そんな会話で、俺は海里の方に目を向けた。


「注文はどうしますか~?」


 海里が“かわいい”声で客の男に声をかける。


 他校生かな。


「え~、君っていう選択肢はないの~?」


 男がデレデレとした口調で話す。


 俺はそこに近づいていく。


「えっと~、無いですね」


 海里が俺の方に助けを求めているのが伝わった。


「お客様、ご・注・文はどうなさいますか?」


 俺は満面の笑顔で聞く。


「え、あ、このパフェでぇ、、」


 男が怖がりながら、注文する。


 怖くなんかないのにな。


 てか、パフェ人気だな。


 午後の分、足りるかな?


「かしこまりました。海里、行こ」


 男に返事をして、海里の手を引きながらその場を去る。


「快凪、パフェを十四番に」


 俺は快凪に簡単に伝えて、クラスの奥に入る。


「ええと、らいくん、助けてくれてありがと!」


 俺が黙っていたら、海里が笑顔で言った。


 俺は苦しくなって、海里の後ろの壁に手をつく壁ドンする

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