第34話 “かっこいい”俺でいたいから。

 文化祭当日。


 今日までにたくさんの準備をしてきた。


 この学校の文化祭は二日間に分けられている。


 一日目は、俺はミスコンに出て、結果発表もある。


 出番は午前で、午後は学級クラスの店の接客をやる。


 明日は、午前に海里の出るミスコンがあって、午後はまた店の接客だ。


 取り敢えず、今日の俺の出番までは海里と店を回ることにしている。


「海里、行こーぜ」


「うん!」


 海里が明るく答える。


「どこに行くか~?」


「このカフェに行きたい! 生徒会長の人の学級クラスで、なんかスゴいっていう噂があるんだよっ!」


 海里が自慢するような話し方をする。


「別にお前が考えた訳じゃないんだろ?」


「うー。まあねー?」


 海里が唇を尖らせて、笑う。


ーー


「すごかったな。いろいろと」


 俺らは、生徒会長の先輩がいるという学級クラスのカフェで少し食べてきた。


「うん。設備もおしゃれで、ご馳走も豪華で、どうやったらあんなカフェを作れるんだろうね~」


「あぁ。まあ、来年は俺らがあれ以上のものを見せないとな」


 俺は調子に乗ったような表情で海里に言う。


 海里は、笑ってうなずいてくれた。


ーー


 あっという間に海里との文化祭デートが終わって、俺のミスコンの時間になった。


 担当の人が俺に衣裳を渡してくれて、それに着替える。


 セリフとかもちゃんと覚えておいた。


 今日は学校外の女子も来れるから、張り切っている人が多い。


 控え室に入って、すぐに出番が来た。


「雷斗、次だよ」


 ここの担当なのか、伯斗が声をかけてきた。


 ステージの司会は生徒会長っぽい。


「次は、二年生に移ります。最初はこの方──、、雷斗」


 俺の名前が呼ばれ、ステージに向かった。


「呼ばれました。雷斗で~す」


 そう言うと、観客から拍手と歓声が上がった。


 まあ、俺はイケメンだし、こんなもんだろう。


 ノリがいいな。


ーー


 何だかんだですぐに終わって、次の人になる。


 次は、朔らしい。


 なんで、ミスコンに出ることにしたのかは、知らねーけど。


 その後は、流架が出るらしい。


 そういえば、快凪も出たがっていたな。


 好きな人にアピールしやすいイベントなのか?


 でも、一番歓声が大きかったのが俺なのには自信があるし、海里の前で優勝以外のカッコ悪いところなんて、見せたくない。


 たぶん、学年での一位はいけそう。


 学校だと、先輩が最後という理由で優先されやすいから、微妙だ。


 俺の次は朔かな。


 そう考えて客席を見ると、俺を見つめる海里と、海里に話しかけようとしている藍にいがいた。


 藍にい、、気づかれてねーぞ?

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