雷斗side(31~40話まで)
第31話 かわいいから。
雷斗side
──それ以上“かわいく”なるんじゃねー。
俺以外もいるんだから。
もう少し、自覚持てよ。
ーー
「接客担当の人たち、集まれよ~」
快凪がそう言い、クラスの十人くらいが動いた。
数えると、十二人だった。
接客担当、多くね?
まあ、海里が楽しそうだからいいけど。
「みんなは何のコスプレする~?」
今はコスプレ衣装を出来るだけ安く買うために考え中だ。
「海里は?」
俺は海里の質問に質問で返した。
「う~ん。悪魔とか怖い系やってみたい」
あのさ、この雑誌の怖い系の衣装、全部露出多いんだけど!?
もう少し露出無いのにしてもらえないかな。
「あっ、雷斗と海里。これ着たら~?」
朔に言われ、俺たちは朔の指差すところを見た。
見ると、カップルが着るだろう、執事服とメイド服のセットだった。
こいつ、からかいに走っていやがる、、。
朔の顔が笑いをこらえている。
「女の子じゃん。...でも、らいくんとなら着るよ?」
朔に呆れた顔を見せながらも、俺に上目遣いで聞いてきた。
“かわいい”けどさ。
見てみたいけどさ。
でも、海里は“かっこいい”がいいんだろ?
だから、いいや。
——他のやつに見せたくねぇし。
また、俺の感情に振り回される。
もっと言えば、海里の行動に左右される俺に。
「別に。海里はこういう悪魔系も似合うんじゃね?」
俺は露出の少ない、他の雑誌のやつを指差した。
「うー。確かに」
「認めるん?」
「いいじゃん!」
俺が煽ると、海里は頬を膨らまして俺に突っかかる。
かわいっ。
無意識に思ったその言葉に俺の顔が赤くなる。
俺はそれを隠すように雑誌に目を背けた。
「俺はどれがいいと思う?」
そう海里に聞いてみた。
「えー、らいくんは執事服でいいんじゃない? らいくんがもっとかっこよくなると思うよ?」
海里は、俺を見つめるように首をかしげながら言う。
俺は思わず顔が赤くなった。
かっこいいって海里に思われていたのが、口に出してくれたのが。
嬉しくって、海里への愛おしさが膨らむ。
「ッ...あ、なら、それで」
声が小さくなった。
海里に俺のにやけた顔を見られたくなくて、そっぽを向く。
「おーい、お二人さーん。二人っきりの世界に入らないで貰っても~?」
そんな朔のからかいに俺はハッとさせられた。
ここ、教室でした。
海里は今になって恥ずかしくなったのか、下を向いて顔を真っ赤にさせている。
めっちゃクラス公認でイチャついてしまった...。
「あっ、わりい」
取り敢えず朔に適当に返事を返した。
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