第30話 君がいるから。

 雷斗side


──俺以外に“かわいい”ところをみせるな。


 しだいに大きくなっていく独占欲に驚きを隠せなかった。


 そして、俺のだって見せびらかしたい気持ちもあった。


ーー


「僕は今年は出てみよっかな」


 らいくんの恋人になったから。


 いいよね?


 自信持っても。


 でもまだ、らいくんに“かわいい”って言われたことないな...。


「へ〜。雷斗は?」


「あ〜、、出よっかな」


 朔くんの質問にらいくんはそう答えた。


 らいくん、かっここいいから、一位取れるだろうな〜。


 去年は、一年生だったから、様子見って言って一緒に文化祭を回ったんだ。


 どっちのミスコンも拘られていて、楽しかった。


 女装してでるからか、片方は化粧がケバかったり、変だった。


 優勝していたのは、現生徒会長だった。


 髪が長いからか、違和感がなくて、普通に可愛かった。


 イケメンを競う方のミスコンは、らいくんには劣ったけど、みんなイケメンだったな。


「出るんだ! 一緒に一位になろ〜ね!」


 僕は元気よくらいくんにそう言った。


「...ああ」


 らいくんはどこか悲しそうだった。


ーー


「藍にいに、俺らが付き合ったことは言わね~のか?」


 帰り道、らいくんがそう言った。


「言わない! お兄ちゃんに言うのは何か...ヤダ」


 身内に言うのは、なんか恥ずかしいじゃん...。


 そう思って、下を向いた。


「ふ~ん」


 らいくんはそれ以上、深堀りはしなかった。


ーー


「それでは、クラスの出し物はコスプレ喫茶で決定します」


 みんなの前に立って快凪くんがそう言った。


 コスプレか〜、僕はかわいいのが着たいな。


 悪魔とか。


 コスプレするなら、接客かな~。


「それじゃあ、担当を決めていきます」


「はーい」


 快凪くんの言葉にみんながそう答えた。


ーー


「ねえねえ、らいくん! 僕さ、接客にする〜。らいくんは?」


 周りの人たちとの相談タイムの時に、らいくんと話すことにした。


「へ〜。じゃあ、俺も一緒にしよっかな?」


「やったー」


 僕はらいくんの言葉に素直に喜んだ。


「お前らは、接客なん?」


 快凪くんが僕たちがイチャついていたところに入ってきた。


「そーするかな。快凪は?」


「俺は裏方で」


 快凪くん、他の仕事もあるのかな?


 学級代表を集めて何かやっていたみたいだし。


「え~。快凪は裏なの~?」


 流架くんが会話に割り込んできた。


「まーな」


「え~。俺、接客にしようと思っていたのに...」


「お前は接客でいいんじゃね?」


 余裕そうに笑う快凪くんと流架くんの会話は、謎にバチバチしていた。

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