第4話 でも嫌だから。

「らいく~ん。学校行く時間だよ~?」


 僕はいつものようにらいくんの家に行く。


 学校がある日は行きも帰りもいっしょにいれるから、嬉しい。


 クラスも一緒なんだよ?


「分かっているって。今行くから」


 担任の先生がお兄ちゃんなのは、らいくんと僕しか知らな、あっ、流架くんに口止めするの忘れてた!


 幼なじみだから、流架くんもお兄ちゃんとも遊んだことがあるからね。


 ラインしとこ~。


『流架くん! 僕の担任、お兄ちゃんだけど、言わないでね? お兄ちゃんはお父さんの方の名字だからさ、問題はないから』


 たぶん...。


 そう思って、送信ボタンを押した。


 らいくんと二人だけの秘密を流架くんも知ってしまう。


 その事が嫌で仕方なかった。


 流架くんからはすぐ返事がきた。


『分かったよ~。学校で藍斗海里の兄見るの楽しみにしとくww』


 あっ、流架くんがお兄ちゃんのこと呼び捨てしたら、怒られないかな。


 一応言っとこ~。


『うん。あと、突然お兄ちゃんのこと名前で呼ばないでよ? 大体の生徒は、藍斗先生って呼んでるよ。もしくは、A先生ww』


『了解ww じゃあ、とりあえずは、藍斗先生にしようかなww』


 相変わらず、ノリいいな~。


 そのノリがらいくんと合うんだろうな。


「おい、終わったけど。スマホいじってんなら、置いてくぞ」


「うわっ、らいくん、僕を置いてかないでよ~」


「じゃあ、行くぞ~」


 らいくんが笑いながら話す。


 それがいつもと同じなのがうれしい。


「もうっ」


 らいくんといつものようにふざけていたら、あっという間に学校についた。


ーー


「おっはよー!」


「おっはー」


「おはよー。雷斗~、海里~。英語の宿題持ってきたか~?」


 僕たちが教室に入ると、らいくんの親友の快凪かいなくんが話しかけてきた。


 ちなみに、快凪くんは僕がらいくんのこと好きなことも知ってる。


 それで、快凪くんの好きな人も僕だけ知ってる。


 らいくんも知らなそうだし、快凪くんの好きな人も気づいてないだろうし。


「やば、俺忘れた~。藍斗先生に怒られるじゃん」


「僕は持ってきたもんね~。らいくん、おっつー」


「雷斗また忘れたん? 俺、昨日ラインしたじゃん」


「いや~。まあ、その後忘れたわ」


「おいっ」


 いつものやり取りをしていると、藍斗先生お兄ちゃんが来た。


 昨日は家に帰ってくるの遅かったし、来年には家も買うって言っていたから、藍斗先生お兄ちゃんとは最近学校以外では話さないな...。


 そう思いながら藍斗先生お兄ちゃんを見ると、そわそわしていた。


 やっぱり、流架くんはここのクラスらいくんと一緒なのかな。

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