第2話 繋がりがあったから。

「らいく~ん。じゃまするねー」


「おいっ、じゃまするなら帰れ」


 らいくんは、呆れながらも、部屋のドアを開けてくれた。


「ごめんって。ごはん食べさせて」


「ったく。まだご飯できてなさそーだし、ゲームしよーぜ」


「いいよー」


 まあ、僕たちが集まれば、ゲームだもんねー。


 いっちばん強力な繋がりかもしれない。


「なあ、この新しいやつやろーぜ」


「え~。絶対クソゲーじゃん」


「その方がおもろいだろ」


「一回戦だけね」


 クソゲー好きならいくんはたくさんクソゲーを知ってる。


 まあ、僕もいやいや言いながら、らいくんとやるゲームは好きだけど。


 そんなこと知らないんだろーな。


╴ピコン


「海里、ラインお前じゃね?」


「あっ、ほんとだ」


 ・・・・・・流架くんから。


『ねえ、二学期って明後日だよね? 明日からそっちにいるから、明日会えないかな?』


「流架じゃん」


 らいくんが俺の肩に顎のっけながら、前かがみに言った。


 やっぱドキドキするけど、嫌になる。


 なのに、嬉しい。


 流架くんにもやるし、何なららいくんの親友の快凪くんにもやる。


 まあ、快凪くんは距離感バグってるだけだし、好きな人いることも知ってるからいいんだけど。


「う、うん。会える?」


 スマホを見せながら、そう聞いた。


 “無理”って言ってほしかったけど、答えは分かってた。


「あー。いいよ。よく三人で遊んでたあそこにしよーぜ」


「分かったー。返事しとくね」


 あっ、作り笑いになってるな。


 僕は、自覚しながらもこれを直せない。


『明後日だよー。らいくんもいっしょに三人で、いつものとこで遊ぼう!14:00待ち合わせで』


 そう打つと、流架くんからすぐ返事が返ってきた。


『オケ。ゲーム機持ってくわ~』


『うん。じゃあ明日』


 流架くんは悪くないのにイラついちゃう。


 そう考える僕も嫌いだ。


 まだ、作り笑いが直んないな。


「よし、ゲーム始めよーぜ」


「あっ、うん」


 気づかれて、ないよね?


 そう考えたら、また作り笑いになった。


「これクソゲー過ぎん」


「らいくん、強すぎ。無理ゲー」


「海里もう一回戦しよーぜ」


「らいくんのお母さんご飯作ってくれたし、食べてからにしよ」


「ちぇー。わかったよ。あとでな」


 “あとでな”っていう約束事がやっぱり嬉しいな。


ーー


 知らぬ間に帰る時間になっちゃった。


「じゃあ、また明日ね~。2時待ち合わせにしたから~」


「了解。じゃあな」


「うん」


 少しだけでも長く話したいけど、ここに居すぎだよな~。


 そう思って、ちゃんと家に帰ることにした。

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