第3話:光の国・ブレイザブリク②

――光の国・ブレイザブリクは光の神の加護を受けた国

この世界には、属性を持った6つの国が存在している


光 闇 水 火 大地 風


光の国は、1000年間一度も戦争を行わなかった唯一の国、光と平和に満ちていた


しかし、とある国が領土を巡って他国に戦争をしかけた


争いを止めようと光の国は長い間交渉を続けてきたが、交渉は決裂


光の国に対しても侵略行為が始まり、今、この国は1000年ぶりの戦下にある


バルドール王は光の国の騎士を率いて、この国を守るために戦っている



「…………」

「だ、大丈夫ですか?」

「すみません……話が壮大すぎて」


 ナノンさんは私の身体をささえながらベッドへと誘導してくれた。


「今日はもうお休みされてください……お食事もどうか召し上がってください」


 何かありましたらいつでもお呼びくださいね、そう言ってナノンさんは部屋を出て行った。


 ひとりになって、改めて部屋を見渡す。

 光の国の王が住む場所……つまりここはお城や宮殿なのだろう。

 ここは日本でもなければ私が知っている現代でもない。

 天国でもなければ地獄でもない。

 まるで小説や漫画のような異世界に、私は確かに存在しているということだ。


 そして、ここでは私は光の国を救う女神で、明日、光の国の王と結婚する。


「ちょっと待ってよぉ……」


 ズキズキとまた頭が痛み始める。

 この世界のことは少しだけ分かったけれど、分かると受け入れるは全然違う。


 廃業寸前の農家の私が、ある日突然異世界に飛ばされて、光の国の王様と結婚するなんて。


 そんな……そんなの……


「無理無理無理無理無理ぃ……!!!!」


 そう、そうだよ。無理! 絶対無理!!

 そもそも私にはやることがある!

 結婚なんてしている場合じゃない!


「そうだ……畑……! 台風の後どうなったんだろう。お母さんも絶対心配してるよね……」


 ナノンさんが持ってきてくれた食事に目を向ける。ぴかぴかの銀色のトレイにスープとパンが乗っていた。


 私はスプーンを手に持ち、一口飲んだ。パンをちぎり、口へとばくばくと運ぶ。


「……絶対に戻らなきゃ、元の世界へ」


 方法は分からない。けれど、このままじゃいけない。へばっている場合じゃない。まずは食事だ。食べなきゃ頭は働かない。


 あっという間に出された食事を完食し、その日は遅くまで元の世界へ戻る作戦を考えていた。

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