第2話:救国の女神①
さっきまで冷たく濡れた地面とは対照的に、雲の上に横たわっていた。
ふわふわと、温かく、いい匂いがする。これは花の香りだろうか。
曇ってこんな香りがするんだなぁ。
初めて知った。初めて死ぬから、そりゃそうか。
ああ、私、死んでしまったんだな。
死んだら、お父さんに会えるかな。
いや、それはないか。
畑も守れず、お母さんを置いて死んでしまった親不孝者だ。きっと地獄行きに決まっている。
――ん?
ということはここは天国じゃなくて地獄?
「お目覚めになられましたか!!」
目を開けると、今にも泣き出しそうな表情の男性が私を見下ろしていた。
「誰か! 誰か殿下をお呼びしろ!! 女神様がお目覚めになられたぞ!!」
男性は大声で誰かに話しかけながら走り去っていった。
何だったんだ、一体。私はゆっくりと瞬きをして、あたりを見渡す。
「地獄にしては……なんかゴージャス……」
目覚めの第一声がそれなの?と自分でも思いつつ、しかしその感想しか思いつかないほど視界に入る何もかもがすごかった。
高い天井。人生で初めて目にするシャンデリア。草花が緻密に描かれた壁紙。めちゃくちゃ高そうな壺や調度品。黄金と白を基調とした内装は、まるで海外のお城や宮殿のようだ。
身体を起こす。そこでようやく気が付いた。
「な、なんじゃこりゃぁ!!」
自分が何も身に着けていないことを。ようは裸だ。すっぽんぽん。
意識がもうろうとしていたのと、暖かい布団の中にいたから気づかなかった。
確かに地獄で罪人がきっちり服を着てるイメージはないけれど、下着すら剝がされるとは知らなかった。初めて死ぬからそりゃそうなんだけど。
うう、絶対さっきの人にも見られたよね。
恥ずかしい死にたい。
ひとりで悶えていると、バンッと荒々しく扉が開く音がした。
扉の方を見ると、さっきの男性と一緒にもうひとり、男性が現れた
「女神様、お目覚めか?」
「ぎゃーーーーー!!」
私は思わず悲鳴をあげる。
だって、だって……このヒトも、全裸なんだもん!!!!!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます