第49話 結界破壊班

「炎剣―――ファフニール!」


淡く輝く橙色の壁に、炎のレーザーが直撃する。対人ではないため、本気でぶっ放したためレーザーの色は赤ではなく白。しかしそれでも、壁は少しへこむだけでありすぐに修復され元通りとなった。


「そっちはどうなの、向日葵?」


「……びくともしませんね」


向日葵の右腕は武骨な鉄柱に変わっており、壁……いや結界を押している。背中からは機械の翼のほかに、もう一つの翼が顕現している。


重機の翼だ。確かに翼は武骨な鉄骨やクレーンで構成されている。それで押しているのだ。無翼原理アーラレビスの身体強化が赤子に見えるほどのパワーが出るはずだが、結界にひび一つ入る気配がない。


「『不』の翼で不可能を可能にすることはできるの。ただ、そのあと20分は僕が使い物にならないの」


「それだと間に合いません。時間的には間に合いますが、そのまま楓が帰ってこれなくなります」


わっちにもっと、とつぶやき重機の翼をしまう向日葵。武骨な鉄骨は向日葵の腕に収納されるように吸収され、傷一つない右腕となる。


それが、二人の合図でもあった。


「準備はできてるの。あとは、お願いするの」

左手に炎を集めている真百合。


「では、行きます。『変幻時在ファント・アスシア』」


「炎刀―――彼岸花」

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