第39話 6月12日 side 石手
コップにためた水が、不規則に振動する。
「遅いよ、紅葉」
指を水につけ、そう言う人影。
『悪いな石手。少しなじませるのに時間がかかった。体も、魂もな』
指に伝わる振動が、骨伝導なのかちゃんと耳で聞き取れている石手。
「それで? 連絡してきたってことは……」
『予想通りだ。今夜、動く』
「了解した。手筈は?」
『変更はない。それじゃ、健闘を祈る』
「了解」
そしてコップの水を飲み干す石手。
「準備は完了してる。すぐに動こう」
寝室から出る。そこには、巨大なスライム状になった水が、文字通り部屋を覆いつくしている。人ひとりが通れる空間を残して。
そして石手は剣を持ち、その部屋のベランダから飛び降りる。スライム状の水も、一緒に落ちていく。
最後には、水が勢いよく出ている蛇口だけが残った。
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