第30話 6月3日 リハビリ①
「走れ走れー! あと3周で追いつかれたら今夜も寝れないよ?」
「はぁ、はぁ、ぜぇ、ぜぇ……」
本物の体に意識が戻って1週間とちょっと。3週間ほど完全に寝たきりだといきなり立つことはできず、リハビリ中。今は体力を戻すためにひたすら運動をさせられている。
今日は10日目で、初めのうちは軽いものだったのだが、7日目はあたりに自主トレがばれたのか容赦がなくなり、最後の走り込みで捕まった。その夜は、その、極楽に搾り取られた、口で。処女はまだ捨てたくないらしい。
ただ、ネコミミ触られるとたち上がるしかなかった。こんな
「かぁーっ! 逃げ切った!」
後ろから自動で追いかけてきた玉から逃げ切り、そのまま倒れる。メガホン持ってドリンクを渡してくれる極楽。
「おつかれー圓明。ここまでハードなのは今日までだから」
「はぁ、はぁ、それは、助かる」
受け取るも飲めないドリンク。スポドリなのに胃が受け付けず、飲んでも吐いてしまう。
「休みながら聞いて。明日からは基本的に戦闘訓練になるね。
無意識に発動してる傾向があるから、と付け加えられる。
「多分だけど
「……それ、下手すると、はぁ、今日昨日よりハードになるのでは?」
「なるよ? でもまぁ、圓明なら大丈夫だと思うけど。だって、戦闘経験というか、実戦経験は私なんかよりずっと数も質もいい修羅場を乗り越えてるみたいだし」
「? それが何か関係が、ある?」
上体を起こし、床に座って聞く。ドリンクは普通に飲めるまで回復した。
「んー、それは明後日わかるかな?」
言葉じゃ説明しずらい、というかできないかな? と付け加える極楽。
「昨日の身体検査は問題なかったし」
「……おい待て、昨日の搾取は身体検査だったのか?」
「あれ? ……あ、そうだよ?」
唾液と精液の味で身体検査できるのは特技ですから! とどや顔で宣言した。確かにすごいが返答に困る。
「す、スゴイデスネ」
と、棒読みで返答する俺だった。
そして1週間後の6月10日。
「結局、
銃撃以外で、と付け加えられた。ま、拳銃の弾をデコピンで弾き返したり、そもそも銃弾が皮膚すら貫通しないやつがいるくらいだし、銃撃で有効打を与えるならアンチマテリアルライフルを至近距離でぶっ放すオーバーキルをしないと無理だろう。
「猫又の身体強化は常時発動型だからいつも鍛えてるが、空気と万有引力の
「戦うには困らないから大丈夫だよ楓。それに、
いつの間にか楓と呼ばれるようになった。ま、変なあだ名じゃないからいいけど。
「有効打判定にはならないけど、銃も含めた武器の使用は無制限。じゃ、1分後にアラームなったらスタート。私はここからね」
有効打入っても戦闘は継続だから、せいぜい楽しませてよ? と移動する俺の背中に投げてきた。戦闘狂の気がある、というか戦闘狂なんだろうな。
ある程度離れたところにある柱の陰に入り、極楽の視界から消える。そのあと、緩めのニット帽をかぶる。ネコミミはつぶれない。空間把握は若干弱まるが、尻尾もあるので問題はない。そして、銃を2丁―――一つはS&W 3566、右手にはデザートイーグル―――を抜いた後、目をつぶる。
そして、アラームが鳴る。極楽桃花の名乗りとともに、模擬戦……という名の、殺し合いが始まった。
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