第6話 不穏

 その後、少年団に戻った一行は悠人の救出方法について長考が必要ということを感じさせられた。雷牙とガナリは横になって、安静を取らせた。

 

「さてと、どうしようか……悠人、かなり面倒な闇龍に乗っ取られてるんだな……」

 

「今回観測できたのは、氷と炎、そして鳴動影に槍の出現……」

 

「能力が全て厄介だな……」

 

 一行は頭を悩ました。その間、悠人は巣窟で独り立っていた。

 

「馬鹿だな、あの少年団とやらは……勝てないというのに」

 

「……お前は、いつかたおされる」

 

 ふと、闇龍の顔が悠人の視界から逸脱した位置で軋み、悠人を見下した。

 

「何が言いたい?依代」

 

「あいつらはただの餓鬼じゃない……俺もお前にいつまでもこき遣われるつもりも無い」

 

 闇龍は悠人のすぐ横に威圧というものを持ちながら迫った。

 

「お前が、この俺に文句を垂らすことができると?お前があの龍ウーユを逃したのは、その懐に不安があったからだろう?」

 

 闇龍はその鋭利な爪を悠人の心臓を覆った薄い皮膚に当てて、詰問する。

 

「別に、彼奴が少年団と戦うことを嫌がっただけだ」

 

「ほう、そうか……ならこうしてやろう」

 

 すると、闇龍は水晶の様に鋭く水色に光る物体で悠人を背後から刺した。悠人は声も出せずに、身体の中に何か穢らわしいものが広がっていく妙な感覚に苛まれる。

 

「さあ、俺にその小さな体躯を、捧げろ!」

 

「あ、あぁぁ……」

 

 悠人の意識は次第に虚の極限へと失墜していく。自我が保てられなくなる。そして、自分の身体が、自分の感覚から乖離かいりされていく。悠人は無い物強請ねだり、手を前方に伸ばしてみたが虚しく応えは無かった。軈て、悠人の身体は、悠人のものでは無くなった。刹那、少年団の廃墟では、ウーユが異変に気づいて、巣窟の方を見る。

 

「ウーユ、どうした?」

 

 そのウーユの姿に龍郎が気づき、問う。

 

「……切れた」

 

「え?」

 

「共鳴が、切れた……」

 

 一同はウーユの一言に騒然とし始めた。

 

「嘘!?それって悠人が!」

 

「殺されたか、あるいは完全に身体を乗っ取られたか……まさかここまで急にことが大きくなるとはな……」

 

 龍郎は再び長考に頭を回す。

 

「ハク、竜眞、ウーユと一緒に巣窟に行って、悠人の様子を見てて欲しい」

 

「俺たち?」

 

「嗚呼、引き受けてくれるか?」

 

「あ、ああ……」

 

 ハクと竜眞はウーユと共に、至急的に巣窟へ向かっていった。

 

「悠人、一体何があったのかしら……?」

 

「俺たちにできるのは、祈るだけだ……悠人あいつが生きて帰ってくることを」

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