10 現在

【転生者殺し】【スキル】

 プレイヤーの攻撃により転生者を殺した場合

 現実世界の転生前のプレイヤーを殺害することができる。

 なお、このスキルは、いかなるスキル、アイテムの

 スキル、効果の対象になならない。


 ゲートをくぐり喫茶店で待っている

 カロリーナの元に向かう。

「お疲れ様です」

「ああ」

「では、次のクエストお願いしていいですか?」

「ええ、仕事するしかないですからね」

「では、こちらを」イーサンは、カロリーナから書類を

 もらう。


 リンガーを殺害後、ネレー自治国は、

 前面降伏今現在も散発的にテロは、起きているものの

 今までのような大規模内戦は起きなくなっている。

 貴族を目指しのし上がってきたレベッカは、

 イーサンが準備した王座を蹴って

 メイドと共に隠居してしまったららしい。

 生まれ育った小さな街で美魔術師育成の教室を

 開き後身を粗朶れているらしい。



 俺は、佐藤正人しがない三十代のどこにでもいる

 サラリーマンだ。今日もいつも通り職場

 数字をバチバチに詰められうんざりしながら家に帰ってきた。

 そんな俺の唯一の楽しみと言えば

 オンラインゲーム 

【史上最強の転生者の俺、異世界の女

 エルフなど百種 40億人(匹

 が俺に惚れて俺を追いかけてくれるが

 勘弁してまじで】

 をプレイすることだ。彼女も友人もいない

 自分は他にやることなんてない。


 このゲームは、最初から主人公のレベルが百レベルになっており

 なんの苦労もなく敵を倒していけるゲームになっている。

 なんで? 最初から最強かって?

 そんなの知らん意味などないとりあえず最強なんだ。


 あと、基本的にこのゲームは、すれ違う

 あらゆる女性キャラから主人公がもてる

 理由? そんなの知らんもてればなんでもいいだろ。


 あーはら減ってないけど何か喰いたいな。

 老化のせいだろか最近空腹を感じない

 だけど何か食べたい。多分胃腸が弱っているんだろう。

 そのくせ少し喰えば腹が破裂しそうなぐらいはる。


 

 佐藤は、異世界では、ブラッド・フレイムという名前だった。

 転生早々お約束の女神のスキル選定が始まる。

「これは!」目の前の運命の水晶を見ていた女神が

 衝撃を受け目を見開く。

 何かを意味するのだろうか水晶にヒビが入る。

 圧倒的な力のせいだろうが、天井が落下してくる。

「あなたのスキルは、コズミック・ウィルです」

「なんだ? それ? すごいのか?」

「あなた? コズミック・ウィルをしならないのですか?!

 コズミック・ウィルは、この全宇宙のあらゆる法則を

 自由に動かす能力六代究極スキルのうちの一つ」

 どうやら俺は、最強のスキルを引き当ててしまったらしい。


【実際】

 ぼけた老婆の前に上半身裸のみすぼらし男が座っていた。

 男は、何やら勝手に老婆に向けて熱弁していた。

「俺は、ねコズミック・ウィルを持ってるの!」

「へ?」耳の遠い老婆は意味不明のクソカタカナに

 首を傾げながら聞き返す。

「最強スキルのうちの一つで」


「ちょっといいかな」憲兵が話に割ってはいってくる。

「なんだ?」

「服は?」

「ああこの装備かバーサーカーの甲冑だよ。

 そうか、あまりにもレアだから見たこともないのも

 無理はないな」

「は? さっきから何を言ってるんだ? とりあえず

 身分証明書を出しってもらっていいいか?」

「どうぞ」

「教会福祉カード…」教会福祉カードは、日本でいえば

 生活保護を示すカードに該当するものだった。

「とにかく服を着てくれないか?」憲兵は、取り合ず

 男に服を恵む。


 ブラッドは、そのままの足でギルド紹介所に向かう。

「いらっしゃいませ」

「あの、所属するギルドを探しているんですけど」

「そうですか。では、身分証明書をお願いします」

 身分証明書を見ると紹介所のお姉さんは、みるみるちに

 困った表情になる。

「あの…」

「なに?」

「すいません。今現在特に紹介できるギルドが…」

「え? あっそうか」無理もない俺の中に秘められた

 アドバン・デーモンの力に気づける奴なんて

 いるわけないな。

「いいよ。気にしなくてごめんね無理いって」


 とりあえずウィスパーウッドの森に入る。

「この先は、危ないわよ。ここから先は、

 Aランクギルド以外は侵入禁止よ」偶然遭遇したギルドのお姉さんが

 警告する。

「そうですか。ありがとうございます。それよりも

 自分の心配をした方がいいんじゃないんですか」

 だいぶ余裕をもって言い返す。

 お姉さんが振り返るとそこには、巨大なゴーレムが

 そびえたっていた。

「レイブン!」

「はいよ!」同じギルドの騎士が、ゴーレムに斬撃を加える。

 しかし、圧倒的HPの前に全く歯が立たなかった。

「どうしてただのゴーレムが」ゴーレムの攻撃で

 ギルドメンバーがボコボコにやられる。

 

 


「レジェンドゴレーム!」ギルドメンバーのうち

 魔術師のリリスが、即座に鑑定して結論をだす。

 レジェンド級のゴーレムはゴーレムの中でも最高ランクの

 モンスターで勇者パーティーなのでなければ

 到底倒せなかった。

「どうする?」

「逃げるしかないだろ」

「時間を稼ぐは!」魔術師が、霧の攻撃で

 ギルドメンバーが逃げる時間を稼ぐ。

 あたり一面が霧に覆われる。

 

 ゴーレムは、困惑する。

 レジェンド級の自分の前に能天気につったいる

 冒険者がいるからだ。

 お前馬鹿なのか? 見るかに普通の冒険者だった。

 絶対自分なら勝てるその自信があったから

 直ぐには攻撃せずジロジロ見つめる。

 ビルほどの巨体が影をつくり見下ろしてくる。

「ん? 攻撃しないのか?」その様子を

 むしろ逆に見上げる。


「はあはあはあ」ギルドメンバーに逃げ延びて

 息を切らす。

 召喚士サリアが、シルバーウィングという

 現実世界で言うとことの伝書バトに

 応援要請を書いて持たせる。

「ちょっと、さっきの冒険者は?!」

「いや、ついてきてなかったけど」

「嘘!」リリスが駆け出す。

「ちょっと! 何考えてるの!」

 リリスを止めようとするが静止を振り切り

 走り出してしまう。

 

 「ちょっと! 馬鹿! 何やってるの!

 早く逃げなさい! あんた初心者だから変わらないかもしれない

 けどね。そんなゴレーム絶対初心者には

 倒せないから!」少し離れた位置からリリスが

 ブレッドに大声で呼びかける。

 

 あっちからつぶすか…。その場のノリで

 ゴーレムは、リリスに目をつけてリリスに突進していく。

 巨体の熊が意外に早いと同じぐらいに

 巨体が突進する姿には違和感があった。


「サンダーバースト!」電撃の攻撃をゴーレムに加えようとするが、

 ゴーレムは、片手で払いのけて襲い掛かる。

 リリスは、目を閉じる。


「終わったね」

「え?! どういうこと?」目を見開いたリリスの目の前

 眼球のふくらみの直前にゴーレムの拳が迫っていた。

 リリスの見開いた眼球には、ゴーレムの拳が

 しっかり映りこんでいた。

「ほらね」

「バン!」ゴーレムが突然砕け散る。

 驚き固まるリリスの目の前でゴーレムの砕けた

 キューブ状のブロックが下へと落下していく。

 

「どうして?」

「とりあず勝ったんだよ。それでいいでしょ」

 どういう風に勝ったとか、そんなことお前ら興味何てないだろ。

 どうせどうでもいいんだろ。どうせ絶対勝利なんだろ?

 だから勝った以上終了!俺は、最強なんだから。

「おーい! リリス…」他のギルドメンバも到着するが、

 ゴーレムがバラバラになっている様子に驚く。


 そして、意味は、分からないがギルドメンバーのおんな(全員メス)

 頬を赤く染めブラッドに惚れる。

 意味などない。とにかく全員俺のことが好きなんだ。


【実際】

 ギルド協会で、門前払いされた。

 紹介所のお姉さんは、無能極まりないこの冒険者

 無敵太郎に追い払うためだけに無茶苦茶かんたんな

 クエストを与えた。

 無敵太郎は、大喜びで誇らしげに

 肩で風を切り威風堂々と出ていった。

 ちなみに生活保護とばれていたの他のギルドメンバーを

 探すことは、できずに自分ひとりで冒険することとなった。

 

 無敵太郎は、クエストの指定された場所である

 初心者用の森に到着する。

「みんなこんなとことろで、大丈夫?」子供たちのギルドに

 遭遇したので無敵太郎は、心配して声をかける。

「いや、大丈夫です」森の中で突然見ず知らずの

 浮浪者に声をかけられたので驚き

 恐怖を感じながらお断りする。

「いや、そんなことないでしょ。君たちみたな子供が

 こんな危険な森にいたら危ないよ気をつけてね。

 一緒についていってあげるからね」相手の拒否を一切

 意に返さずにまんべんの笑顔で良かれと思って

 回答する。


 平凡なスライムが姿を現す。

 平凡なスライムは、相手をみるなりめんどくさそうに

 ため息をつく。見るからに弱そうな男が目の前に一人。

 どうせ初心者のレベル上げだろう。

 あ~あだるいけど相手したるか…。ルライムの眉はハの字なっていた。


「あああああ! 逃げろ! レジェンドゴーレムだぞ!!」

 急に無敵太郎が大声で喚き散らし始める。

 他のパーティメンバーとスライムが困惑に包まれる。


 スライムの攻撃! ニダメージ!


「ああああ!」無敵太郎は、大声を出しながら大げさに

 倒れる。

「気をつけろ! このゴーレムは特殊なゴーレムだ!

 いいか! これは、俺とゴーレムの一騎だ。

 手を出さないでくれ! 助は無用だ!」


 スライムは、冷や汗をかく。

 俺何かダメなことでもやっちゃったかなぁ…。

 無茶苦茶な無敵太郎のリアクションに驚く。


「あああああああ!」無敵太郎は、拳をスライムに

 向けて振るう。

「物理零点一ダメージ」

「ああああああ!」何回も拳でスライムを殴りつける。

 汗だくになりながら息を切らしながら

 何発もスライムを殴る。

 攻撃力があまりにも弱いため何回長くっても

 スライムを倒すことができない。

 必死に殴り続けた末に何とか物理で倒すことができる。


「ふう…ちょっと手こずってしまったかな?」

 無敵太郎が汗だくになりながら笑顔でかっこをつける。

「これがちょっと?」たかだかスライム一匹にここまで

 苦戦する冒険者を見たことがなかったので

 ギルドのメンバーは固まる。


「いや、いいんだ。別に君たちのギルドに入ってほしいとか

 そいうのはいいんだ」

「いや、別に求めないんですけど…すいませんじゃあこれで…」

 ギルドフェアリークラブのメンバーは、この

 不信なおじさんから離れるため刺激せず

 離れていく。


 「ああああ! そうかそうか遠慮しているのか

 きにしなくてもいいぞこの俺が来たからには大丈夫」

 無敵太郎は、フェアリークラブの一人の腕強引に引っ張る。

 「ちょっと! 止めてください!」

 「離して!」他のメンバーも無敵他太郎から離そうとする。

 

「なんだ貴様ら! 俺の言うことが聞けないのか!!」

 突然無敵太郎の怒りが臨界点に達し大声でどなりながら

 無敵太郎は暴れ始める。無敵太郎は、スキル理不尽暴力を

 発現して大声で叫びながら暴れ始める。

 周りの木を拳で殴り破壊し始める。

「誰か!!」フェアリークラブのメンバーが助けを求め絶叫する。


「この森ですか?」イーサンは、地元のガイドの助けを借りて

 初心者用の森の中に入っていく。

「ええ」最近この森に転生者が張り込み暴走の限りをつくし

 現地民や冒険者の迷惑になっていいるので排除してほしいというのが

 今回のクエストの内容になる。

 時をな同じくしてイーサンも悲鳴を聞き急いで駆けつける。


「おい! 何してる! 離れろ!」無敵太郎は、

 フェアリークラブのメンバーに抱き着いて離れようとしない。

「何? だと? 彼女と愛し合ってに決まってるだろ!

 見れば分かるだろ!」

「違います! この人今会ったばかりなんです!」

「いいから離れろ!」突然無敵太郎が、殴りかかてくる。

 シールド+反射の合成魔法で無敵太郎の理不尽物理攻撃をはねのける。

 その後も何度も無敵太郎は、無茶苦茶なのうきん打撃を加えてくるが、

 イーサンは、ことごとく返していった。

 それは、無敵太郎が力尽きるまで続いた。


 その後憲兵たちも到着し無敵太郎の身柄を引き渡した。

「ありがとうございました」フェアリークラブのメンバーから

 イーサンは、お礼をされる。

「いや、別にただクエストの課題をクリアしただけですから

 お気になさらず」

「あのもしよかったら私たちのギルドに入りませんか?」

「いや、結構です。今ソロでやってるので」

「そうですか…残念です」

 もうじき引退する予定なのにギルドに入れとか勘弁してくれ。




 

 やれやれ、骨が折れたな。俺は、クエストがおわりしだい

 別の町に行くことになるのでギルドに所属してもほどんど意味がないんだよな。


【無敵太郎の脳内】

「ブラッド・フレイムに乾杯!」

「乾杯!」ギルド永劫の虚空のメンバーに無理やり引き止められ

 俺ことブラッド・フレイムは、謎の飲み会に強制参加させられてしまった。

「フレイム様ほんとうに素晴らしかったですは」リリスが、

 俺のことをほめちぎる。

「いったいどうやってレジェンドゴーレムを倒したんですか?」

 サリアとリリスが寄っているのかやたらと体を

 近づけてくる。

「いや、普通に倒せたけど」

「えええ! あのゴーレム最高ランクの星五ですよ!」

「まあそうかもな。おいちょっと酔いすぎじゃないのか」

 あまりのも体を密着させてくるので俺は、釘をさす。

「わざとじゃだめですか?」二人が目で訴えかけてくる。

「え…」まいったなぁ。


【実際】

「で、なんで暴行、脅迫をしたの?」無敵太郎は、

 警察署で取り調べを受ける。取り調べをしているのは、

 ムキムキの髭のはやしたおっさんが担当していた。

「脅迫? 見てなかったのか? 彼女たちは、自分から

 私にギルドに入るように要求したんだぞ!」

 魔術印を腕にかけられているため腕を動かすことが

 できない無敵太郎は両手を前にして椅子に座り

 取り調べを受ける。

 「いいですか? あなたは脅迫をしたとして捕まっているんです」

 なんで、俺がこんな目に合わなきゃならないんだ。

 無敵太郎の中でふつふつと怒りがこみあげてくる。

 無敵太郎の目に悪魔の紋章が現れる。


 現実世界の生物に生物学的法則があるように

 異世界にも異世界特有の生物学的法則があった。

 異世界の転生者は、敗北すると悪役転生するという

 特性があり敗北した瞬間から異世界では、悪役になる

 生物学的特性があった。

 現実世界に例えるなら、雌雄同体の生き物が近いだろう

 元々雌雄同体で、一匹が妊娠すると

 雄が役割を終えて残りが全て雌になり、

 一匹の雄とのハーレムを作る。

 いわばそういう生体が転生者にも存在した。

 

「ああああああ!」闇の力を取り込んだ堕落転生者は、

 大声を出しながら手錠の魔力印を破壊し立ち上がる。

「応援を頼む!」

「動くな!」魔法銃を無敵太郎に向けて取り調べをしていた

 憲兵が向ける。

「邪魔だ!」

「ドン!」壁を素手で無敵太郎はぶち抜き外に出る。

 

 街中では悲鳴が響きわたる。無敵太郎は無差別の

 人を打撲していく。次々に人が倒れていく。

 他の人たちは、慌てて逃げていく。

 道には、慌てて逃げた人々の持ちものが散乱してた。

 無敵太郎の腕や手は鮮血にまみれていた。

「止まマれ!」憲兵は、躊躇なく魔法銃を発砲するが

 その雷弾を受けて無敵太郎は、一時的に感電するが

 強引に動きづける。薬物中毒者のようになり恐怖、痛みが

 体から消えていく。文字どうり無敵太郎になる。

 無敵太郎の背景に無数の眼球が現れ黒い流線形の

 魔力を取り込み半獣へ変化する。

 瞳孔が開き牙をむき出しうなり声をあげながら

 よだれを垂らす。

 

「投降しろ! 出なければ殺す!」憲兵の呼びかけにも応じず

 不気味ふらふらと街中を徘徊する。

 応援に来た憲兵の雷弾を片手で止めて打ち消してしまう。

「いけるか?」イーサンも急遽呼び戻される。

「分かりました」

「どうするの?」

「どちらさん?」明らかに憲兵ではない赤髪の美少女がそばに張り付いていた。

「vtuberです!」

「ああ…」

「映えように倒してくださいね」

「え?!」

「いいねがつかないと生き残れないんで」無茶苦茶言いやがるなこいつ。

 まあ、vtuberは好きだし協力するか。聞いたことない弱小vtuber

 桜音サクラ

 だったが協力することにした。視聴者は百人ぐらいしかいなかった。

 しかし無敵太郎が暴れるにつれどんどん視聴者が集まってくる。

 

「おい! こっちだよ!」イーサンは、無敵太郎を挑発する。

 絶叫しながらよだれをたらして無敵太郎は、イーサンの方に向かっていく。

 映えるようにか…。無敵太郎の攻撃を受け流しながら考える。

 無敵太郎の荒々しい攻撃がイーサンを襲い続ける。

 イーサンは、わざと物理攻撃に反応する反射防御をつかい

 魔力反応を良い浮いて派手な閃光が出るようにする。

 そのためカラフルな閃光が無敵太郎の攻撃を受け止めるたびに

 飛び散る。

 よっしそろそろ決めるか…。防戦一方だったイーサンが、

 無敵太郎を蹴り上げる。空中にあがった無敵太郎に

 時間遅延の魔法をかけ停止した太郎をキンキン太郎から

 奪った剣できりつける。


「サクラ!」

「ありがとうございます!」サクラが一気に接近して

 停止した戦闘シーンを回り込むようにしてカメラに

 収める。


 イーサンは、行かんの停止とき正常な状態に戻す。

 しかし、大ダメージを受けた無敵太郎は、爆発して

 負ける。


「どうだ? いい画は、撮れたか?」

「ありがとうございます!」視聴数は、一気に一万まで

 跳ね上がる。

 

 

 クエストを終え

 イーサンは、ゲートをくぐりカロリーネと会う。

「お疲れ様でした」

「ええ」

「次の仕事なんですが」

「あの」

「はい」

「仕事辞めます」

「え?」

「ええ」最後にカロリーネから転生者狩りのスキルを有している

 ことを証明できる紋章をもらう。

 これが、あれば魔力制限や星制限がかかっている。

 街中や区域でも魔量を使うことができる。

 通常街中では、一定のレベル以上の魔法と

 一定のレベル上のモンスターを使用することはできない。

 もし、悪用されれば人の多い街中では、大量の人が

 命を落とすためである。


 


 イーサンは、唯一の所持品だった。キンキン太郎の剣を

 質屋に売却して金に換える。

 特段ミニマリストというわけではなかったが、

 回復薬や武器のたぐいをほどんとといっていいぐらい

 所持していなかった。

 衣食住以外にほぼほぼお金を使用していなかった。

 サイドFireのために今までお金をため続けていただためだった。


 イーサンは、サイドfireの準備に取り掛かり始めた。

「こちらの物件になります」ドワーフに田舎の物件を紹介される。

「いいね」家賃も安く開墾し放題の物件だった。

 広い畑や森がセットについていたが僻地故にその

 大きさに反して大きかった。

「ここにしよう」イーサンは、この物件に住むことにした。


 どうせ、もうじきにお金が尽きて現実世界のクソ仕事の

 日々に逆戻りしないといけないんだがらそれはまで楽しいもう

 おもいっきりなまけてやるは。

 この世界には、まだ小作農の概念が残っていたので

 自給自足の昔ながらの生活ができた。

 現実世界では、農地を持つのにも地主の許可を取らないと

 いけかなかったがここでは、そんなことはなく。

 また事業計画書のようなまどろっこしいものも

 要求されなかった。

 さー新生活楽しみだなー。


 自給自足といっても調味料はどうしようもないので

 調味料を買い出しに行く。あとになって

 調味料もある程度は自給自足でなんとかなることが

 分かる。


 ゲートをくぐり大きな街にたどり着く。

 あ、やばい。到着した瞬間やばいさに気づいた。

 街と街をつなぐゲートには長蛇の列ができていた。


「おい! どけ!」

「割り込んだのはお前の方だろ」

「やんのか!」街から逃げようとしていた群衆がそこら中で喧嘩をしていた。

「ここまでね」チケットを配布してたゲート管理官が一旦チケットの配布を

 打ち切る。

「誰か! チケットを分けてくれませんか!」チケットが

 なければゲートをくぐって街から逃げることはできない。

「これよかったら」イーサンは、帰りのチケットを

 手渡す。

「え? でも…」

「いや、別に普通に帰るから大丈夫」


 イーサンは、退路を断って街へと向かっていく。

 街は、真っ黒な雲に覆われていた。

 それも雷雨などではなく。きわめて不自然なアニメ的な

 黒い雲に覆われていた。

 ちょっと調味料解買いたいだけなんだけどな…。

 はぁ…。


 街に入ると悪魔の巨人ダモクレスが天帝の斧を振るっていた。

 この異世界で神話に出てくる悪魔のはずだった。

 実在したのか…。

「キンキン!」大声でキンキンどなる声が聞こえてくる。

 まさか?! いやまさかな…。

 嫌な予感がしたので音の方へ急ぐ。

 ん? 思っていたのと風景は少し違った。剣を振り回しながら

 キンキンと騒音を口から放ってダモクレスに襲い掛かっているのは、

 間違いなかったが女だった。確かキンキン太郎は男だったはずが…。

「あ! あんた! なんでここに!」向こうはどうやらこっちのことを

 認識しているらしい。

「どちらさん?」

「どちらんさんって! あんた私のことボコボコにしといて

 良く言うは! ってそうね体が女になったから判別できないか」

 どうやらキンキン太郎の中の人は女だったからしい

 そしてキンキン太郎からキンキン花子に転生したらしい。


「どうでもいいけど、お前剣士として低レベルだから剣士

 やめたほうがいいぞ」

「よ・よけいなおせわよ!」真っ赤になりながら反論する美少女

 しかも、甲冑に課金したのかURクラスの甲冑を身に着けていた。

ダモクレスに必死に斬りかかっていたが全くといっていほど

 ダメージが入っていなかった。視力検査程度しかHPが減っていなかった。

 

「ちょっと! 言うこと聞きなさいよ!」イーサンの頭上から

 言い争う声が聞こえる。見上げると妖精をチェーンで

 つないで使役しているテーマーの美少女がいた。

 相当仲が悪いのか使役されている妖精は、まるで言うことを

 聞かず悪態をついていた。というかそもそも妖精を使役するために

 首輪にチェーンを使用しているテーマーなんて見たことなかった。

 妖精と使役者の信頼関係のなさのすさまじさをものがっていた。

「嘘でしょ…」

「ん?」

「あんた転生者狩りのイーサン!」妖精たちでハーレムを気づきあげていた

 元カリソンだった。どうやらこの男も中の人は、女で

イーサンに負けた後は、キャラコンを女に戻して再転生していたらしい。




「こんなところで何やってるんだ?」イーサンは、能天気に尋ねる。

「見りゃ分かるでしょ。世界滅亡の危機よ。世界が終わる三秒前よ」

 どうやら、ゲームマスターが機嫌をそこねたらしく

 このゲームの破壊するといいだしらし。

 そして今絶賛破壊中らしい。つまりゲートに殺到していた

 あの人々もいずれいなくなる運命。

 

「ちょっと! どこ行くのよ!」イーサンは、飲食店の方に向かう。

「いや、もうじきこの世界が終わるならラーメンでも食べようかって」

 異世界サイドfireのためにせつやくをしていたので今日ぐらいは、

 暴飲暴食していいかな。まあ健康が気になるので酒とタバコはやる

 つもりないけど。酒とタバコギャンブルするぐらいなら

 fireに向けて貯金の精神で今まで生きてきたので酒とタバコには、興味がなかった。

 そもそも金がないことが全ての原因なんだけどな。

「ちょっと! 手伝いなさいよ!」

「いや、もうなくなるんだから戦ってもいみないだろ」

「いや、だからなくならないように戦ってるんしょうが!」


「おお、わがこらよ」この異世界全体を見下ろすかのような巨人が

 姿を現す。

「あんたがゲームマスター?」キンキン花子がその巨人の女性に

 問いかける。

「そうだ。このつまらない世界を浄化し全てリセットしなければ

 ならない」

「そんな勝手認めるわけないでしょ!」

「人々は、争わなければならない。しかし、どうだ異世界転生者たちは、

 みな人生を謳歌して楽しそうではないか。実につまらん。

 もっと苦しみがみたい争いがみたい。こんな世界とはおさらばじゃ」

 アイコンには仏と表示されていた。


「あーちょっと考え変わったは」イーサンは、仏という一文字を見た瞬間

 回れ右をしする。

「やっと戦う気になったのね」キンキン花子は、攻撃しすぎて声がかれていた。


「このままじゃ絶対勝てない。とりあえずその剣すてろ」

イーサンは、振り回すだけ振り回して一向にダメージを

 あたえることのできない剣をいったん捨ててるように指示する。

 キンキン花子の剣は、ゴテゴテと装飾がほどこされていて

 高級感が漂っていたが、パチもんだった。

 強そうに見えるが非常に弱かった。現実世界でいうところの

 ニセブランドバッグのようなものだった。

「よけいなお世話ね! 伝説の剣士に向かってよくそんなことが

 言えるわね!」


「カリンソン! その妖精をチェーンからはずしてやってくれ」

「え? そんなことできるわけないじゃない。こんなに仲良しなのに」

 カリンソンと使い魔は、ずっともめ続けておりとうてい仲がいいと

 思えなかった。そこもそも攻撃指示すらまとも通っていなかった。


「このままじゃ二人とも死ぬぞ。リミットブレイク」

 イーサンは、魔力の上限を開放する魔法を使う。

 空間中にある魔力が二人に多量に流れ込む。


「ちょっと! 何したのよ。体が…」キンキン花子とカリンソンの

 体が無尽蔵の魔力を吸い取り重くなる。

「まだ、剣を振り回し続けるつもりか? 口からビームを吐け」

「は?」

「いいか、お前は剣士ではない。音声攻撃の能力者だ。

 このままだとこの世界なくなるぞ!」


「カリンソン。融合だ」

「え?」

「お前の使い魔と融合しろ」

「は? 私にモンスターになれって言うの!」

 モンスターは、基本的に使役される存在で

 人間の下というの異世界では、一般的な常識だった。

 わがまま放題している転生者にとってモンスターになること

 など屈辱にほかならなかった。

「ほら、うかうかしてると使い魔ににげられるぞ」

「モルフォ!」

「ベー」モルフォは、下を出してカリンソンを挑発する。

 いつの間にか鎖ははずれていた。

「ちょっと! 戻りなさい! あんたまた変なことしたね。

 体も重いし早くなんとかしないさいよ」イーサンが、

 魔力のリミッターを外したことによりモルフォの力が

 強くなりすぎたせいで鎖をちぎってしまっていた。

「カリンソン! 融合だ!」

「融合?!」


「あーもう。分かったわよ。あああ!」キンキン花子は、

 不満げだったが、やはり以前完膚なきまでにたたきのめされたことを

 忘れていなかったのだろうか、結局素直に言うことを聞き

 くちをおおきくひらき大声で叫ぶ円形の波紋が生まれ

 そこから一直線にレーザーが伸びる。

 今までほとんどダメージを受けていなかった

 ダモクレスに大ダメージが入る。

「嘘?!」想像以上の大ダメージにキンキン花子は驚く。

 口からでる変なビームにも驚く。


 カリンソンは、使い魔と融合して羽の生えた半人に

 変化して宙に浮く。そして使い魔の使用していた

 攻撃をダモクレスに放つ。ダモクレスには、

 さっきまでの使い魔の単独攻撃とは比べ物にならないような

 ダメージが入ることとなる。


 イーサンの補助でカリンソンとキンキン花子が同時攻撃を

 こないダモクレスを破壊することに成功する。


 「あんた転生者殺しをしてたんじゃなかったの?」

 成功のハイタッチをしながらもいぶかしむ。

 今まであらゆる転生者を殺害してきたイーサンが

 自分たち転生者と手を組んで戦闘をおこなったことに

 疑問が生じたのだ。

「ただのボランディアだよ」イーサンが、立ち去る。

「ちょっと! 冒険するなら一緒にパーティ組まない!」

 イーサンは、何も言わずに立ち去る。

 

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