6 現在

喫茶店に入り転生者狩りギルドの事務担当のカロリーネに会う。

「業務完了しました」

「お疲れ様です。だいぶ転生者狩りにも慣れてきましたか?」

「まあ」

「今後の目標などありますか?」

「目標? せっかく現実世界から逃げすことに成功したのですから

 働たらかず生きていければいいですね」いつもドライなカロリーネに

 こんなこと言えばどんな説教が飛んでくるだろうとおびえながらも

 正直に本音を話す。

「そうですか? じゃあいっぱい稼がないといけないですね」

「え? ああ」なんか否定さると思ったらあっさり話が続いたのでイーサンは、

 拍子抜けする。

「いい仕事がありますよ」

「これは…」イーサンが、資料に目を通す。

「今までのクエストに比べれば格段に報酬が高いクエストです

 いかがですか?」

 金に目がくらんでしまった。イーサンは、クエストの書かれた

 書類をアイテムボックスに放り込んで。その場を去る。

 ほんと足元ばっか見てくるな…。


 ゲートをくぐり目的地にたどり着く。

 そぼくな、悪く言えばがらの悪い街並みを眺めなが目的地へと向かっていく。

「お兄さん一緒に遊ばない?」

 現実世界なら新大久保辺りにいそうな踊り子に話しかけられうる。

「いや、金ないんで」

「え~安いよ?」

「いや~すいません!」イーサンは、強引にその場を離れる。

「おい! 童貞!」イーサンが去った後に罵倒が返ってくる。

なんだよここクソ治安悪いじゃないか。

 イーサンは、だれにも絡まないように気をつけながら目的地へと

 急いでいく。

 

 目的地の居酒屋に入っていく。

 事前に渡されていた人相図を参考に合流する人を探す。

 しっかし、この人相図大丈夫か…。

 渡された人相図は、洋画でよく見る犯罪者が逮捕されたときに

 とられるような写真みたいただった。

 会いたくねぇ…。でも、金のためだし…。

 うわ…。あいつか…話しかけたくねぇえ。入れ墨を

 の入った露出の激しい赤い目に赤髪の気の強そうな

 筋肉質の女盗賊みたいな女が

 人相図の女だった。

「あのすいません」

「あ? なんだ?」

「傭兵募集されていると聞いたんですが?」

「あ? そうそうかよろしく」女盗賊みたいな女が至近距離から

 まじまじと顔からつま先まで見てくる。

 露出が激しいので谷間が目に入る。

「よし採用!」

「隊長いいのかよ!」そばにいたギルド? メンバーが苦言が呈する。

「じゃあロバンが誰か拾って来いよ」

「そりゃ無茶ってもんですよ。ギルドランクマイナスDのギルドに

 誰もはいりませんよ」

 マイナス? ギルドのランクにマイナスなんてあるのか?

 おいおい、大丈夫かこいつら。ただ、クエストと実行するには、

 このギルドに入らないといえけないらしい。

 マイナス…。嫌な予感がいした。

「じゃあよろしくな私は、ライこの傭兵部隊で隊長をしている

 よろしくな」

「ありがとうございます。よろしくお願いします」ライの周りにいる

 仲間らしき連中を見るが全員見た瞬間気の短さが伝わるような

 面構えだった。その割には装備品は、高価だった。


「いいか! ここで襲ういいな?」地面に簡略の図面を書き部下たちに

 ライは、支持を出す。十人ほどの部下がその話を聞く。

 イーサンは、ライについていき。森の中かまできた。さっそく

 今回がこの傭兵ギルドの最初の任務だった。

 いや、予感しかしない…。

「ひょっとして、強盗ですか?」

「あたりまえだろ。じゃあどうやって金稼ぐんだよ

 この辺りは、王宮が近くにあるから貴族や御用商人が

 良く通るんだよ」ギルドのマイナスランクは、犯罪行為によって

 ついたものだった。クエスト実行のためには、イーサンも

 強盗に参加せざる負えなかった。どのみちクエストの

 内容を実行するには傭兵しかなかった。

 戦争が終わると傭兵は、往々にして犯罪行為で生計を立てていた。

「姉貴!」強盗を実行する地点から離れた地点で見張っていた見張りが、

 急いで報告に来る。

「来たわね!」

「よっし」全員臨戦態勢をとる。

「大変だ。三百の騎兵がこっち迫っている」

「あ? 三百?! ほんとか?!」

「間違いない しかも正規の軍隊だ」

「めんどくさいの引き当ててたな…撤収だ」

「五名来ます!」別の傭兵から連絡が入る。

「五名?!」

「先遣隊か?」

「先遣隊にして少ない気が」

「ライ この際五名だけ襲って今日の飯にしましょうぜ」

「いや、ここでとこずったら残りの三百騎に俺たちがやられてしまうぞ」

「ここのまま手ぶらなんてまっぴらごめんだよ! ビビってるなら

 ととと帰るんだな! 手柄横取りするんじゃあねえぞ!」

「ビビってるだとじゃあこの場でやってやるよ!」

「望むところだかかってこいや!」気の荒い傭兵たちが勝手に喧嘩を始めてしまう。

 みなギルドでもほぼ個人事業主みたいないもんで、

 金に目がくらむと全く統率がとれなかった。協力しているのも

 特別帰属意識がるからでなく犯罪をやりやすいからという理由からだけだった。

「ライどうする?」

「少し襲ってみよう。しかし短時間で」

「短時間ですまなかったら?」

「その時は、逃げる。強要はしない降りてもらってもいいぞ」ライは、笑う。

 結局、ライの意見が決定だになり襲撃で決定となる。


「陛下!」五人の人間が通ると同時に側面から奇襲をしかける。

 こちらは、二十人通りすがりの人たちは、わずかに五人勝利は、

 間違いないもののように感じられた。

「おい! こいつ! 英霊の槍を持ってるぞ!」英霊の槍は、UR武器で

 貴族や、Sランクギルドしか装備していないような武器だった。

「たんまり稼げそうだな!」貴族は、ほとんど確定、強盗ガチャを成功

 させた傭兵たちは士気が上がるが、相手があまりにも強く倒すことができない。

「おい! もう! 追ってくるぞ!」

「引き上げるぞ!」

「ここで引き下がれるかよ!」

「なんなんだよこいつらなんでこんなに強いんだよ!」長いローブを着ているため

 相手が一体なにものなのかわからない。

「陛下!」傭兵の攻撃がかろうじて陛下と呼ばれている男をかすり

 ローブが外れ姿があらわになる。

「陛下!?」ライが驚き攻撃の手を止める。ライは、自分の顔を隠していた布をとる。

「まじかよ!」他の傭兵たちも驚き手を止める。

「ライか?」陛下と呼ばれていた男は、この辺り一帯を支配するゲルマグ公国の

 皇帝クロルだった。ライは、以前クロルの傭兵として働いていたことが、あり

 面識がった。

「皇帝! 大当たりじゃねえか! ささっと始末しようぜ!」

 別の傭兵が皇帝に斬りかかろうとするのをライが防ぎ受け止める。

「おい! 何すんだよ! どけよ! 女!」

「おい! あんま調子乗ってるとお前ごと処理するぞ!」他の傭兵たちも

 怒り始める。あくまでも、傭兵の寄せ集め全員が全員ライに忠誠を

 誓っているいるわけでなかった。

 ライの腹心の傭兵とそのほかの傭兵が対峙する形になる。

「どうでもいいから、早くしろよ! もう姿が見えるぞ!」見張りから

 三百騎が、肉眼で見えるところまで来ていることを知らされる。

「こままだと全員討ち死にするぞ」

「一つ提案んなんですが…」

「なんだ新入り黙ってろ!」イーサンは、おそるおそる提案する。

「あ、いや、もしよかったらみんなで皇帝を護衛しませんか?」

「は? お前何言ってるんだ? 馬鹿なのか? 俺たちが今なにやってるのか

 理解してないだろお前 強盗 強盗を俺たちはやってるの?」

 大ベテランの傭兵が、イーサンを馬鹿にしたように見下し言い放つ。

「じゃあこのままもめて全員死にます」

「おい、口の利き方知らないみたいだな教えてやるよ」怒ったベテランの傭兵が、

 魔法陣を展開し攻撃の矛先をイーサンに向ける。

「陛下、大変失礼な提案だろ思いますが、報酬をいただけないでしょうか?」

「貴様! 強盗しておいて報酬だと!」イーサンは、今度は陛下を

 護衛していた近衛騎士にまで殺意を向けられる。

「もう止めんか! ライお前はどうだ」皇帝が一喝する。

「陛下、ご無礼深くお詫び申し上げます」ライがその場で膝づき非礼を詫びる。

「決まりだな」その場誰もが、不満げだったがこのままだと全員討ち死に

 は免れなかった。イーサンたちは、皇帝を護衛しながら森脱出することなった。


「おい! このままだと追いつかれぞ!」すぐに追ってが追いつき

 魔力の攻撃の玉が後方から飛んでくる。

「陛下、提案なんですが」イーサンが、皇帝に策を授ける。

「何? そんなことできるか?」

「いや、理論上可能です」そばにた皇帝直属の魔術師がイーサンの案を支持する。

「分かったやろう。どのみち追いつかれる」

 

「セルネ様! まもなく追いつきます」皇帝クロルを追撃していたセルネ騎士団の元に

 待ち望んだ情報が入る。

「よっし! これで最後だ! 一気にけりをつける」勢いよく

 森の細道を抜け広い平原に出る。満月が広場を照らしだす。

「止まれ!」騎士団長のセルネンがすぐに進軍停止を指示して片腕を

 伸ばし部隊を止める。

 満月に照らされたのは、ゆうに三千を超える騎兵や魔術師たちだった。

 ゲリマグ公国の旗が数百ひらめいていた。

「待ち伏せ?!」

「セネル様、重装騎兵が相手前線で控えています 罠なです

 撤退を進言します。こんな狭いところで重装騎兵と当たれば

 我々は全滅します。退路は狭路で退却中に閣下のお命まで危うくなります」

 同行していた将軍が提案する。

「クソ…あと一歩のところだというのに…目と鼻の先に…」セルネが悔しがる。


「セネルか! ここで決着をつけよう!」静まった平原にクロルの声が

 響き渡る。

「セネル様、挑発に乗ってはいけません。我々の軍行がばれいたといことは、

 さっきの森の狩民のなかに内通者がいます。このままここにとどまれば

 最悪退路が断たれる可能性すらあります。くれぐれも我々が敵陣深くに攻め込んでいることを

 忘れてはなりませんぞ重装騎兵相手に退路が断たれれば

 最悪の事態になります」セネルの家臣がセネルをいさめる。

「どうした! 私は逃げも隠れもしないぞ!」ひたすら、クロルが煽り続ける。

「セネル様いけませんぞ」

「ああ、分かってる。クロル! 貴様の国など我が国からしたとるにたらぬ。

 すぐにひねりつぶしてやるわ!」セネルが騎兵隊を撤退させていく。


「ふっう…」セネルの騎兵隊が見えなくってからイーサンは、その場に崩れ落ちる。

 とともに、幻影の数千の騎士たちも姿を消す。

「すごいわね」クロルの部下がイーサンのことをほめる。

イーサンは、クロルの部下の幻影の魔法に自分の増殖の魔法を合成して

 大量の軍隊の幻影を作り出すことに成功していた。しかし、

 イーサンの合成魔法には、範囲も威力も時間も限られているため

 ほんとうにギリギリのとろだった。

「あと少し、幻影が解けるのがはやかった全員ここでガイコツだった」

「いや、助けになった」


「おい! ふざけるな! なんだこれ!」傭兵が怒りだす。

「これ以上ないといってるだろ」

「てめえ! 話が違うだろ!」

「ほら、だからこん奴らのことなんて信じるから!」その場で、

 クロルの部下から傭兵たちに報酬が渡されたのだが明らかに少なかった。

「こいつらここで始末してしまおう!」

「そうだ!」

「そうだ!」クロルの部下と傭兵たちが対峙してまた振り出しに戻ってしまう。

「あの…」イーサンが、おそるおそる切り出す。



 

「黙ってろ!」

「収入がたりないなら追加で仕事もらわないか?」

「たらない分は、王宮に到着し次第かならず支払う」金髪の長い髪がきれいな

 美人騎士ライストが弁解する。ライストは、非常にまじめそうな騎士で、

 見た目からは、なんとかなく気難しそうな感じだった。

 勝手にキャラ付けするならツンデレのキャラといったところだった。

「追加の仕事は、いくらでも約束しよう」クロルがイーサンを擁護する。

「強盗するぐらいなら正規の傭兵の仕事をもらった方がいいだろ」

 ライが決定をする。

「お前が言うならしゃーないな」イルマーがしぶしぶ応じる。

 イルマーは、どうやらライと長年の仲からしく、他の傭兵や

 俺には、とげとげしく当たり散らす癖になぜか、ライだけには

 すぐに従っていた。容姿は、ライと同じく女山賊のような見た目を

 していた。露出の激しい服から筋肉質な体が見えていた。

 他の傭兵たちも強盗を仕事としてやるぐらいには、お金に困っていたので

 皇帝直属の仕事断るのはもったいなかった。

 

「いい宿じゃねえか!」皇帝からは、今回の功績を認められ王宮内の

 正規軍に与えられるような部屋が与えられた。といっても

 現実世界のビジネスホテルの一室程度の質の部屋だったが、

 傭兵たちは、みなずいぶん喜んだ。普段よほどひどい生活を

 していたのだろう。

「ひやー」部屋を開けて傭兵たちは、ベットに飛び込んでいく。

「これで、野宿ともおさらばだ!」

「お前! よくやったな!」他の傭兵が、イーサンの頭を撫でまわり褒め

 てくれる。

「ああ、どうも…」


「二十三…」自分の部屋を探して廊下を歩いていく。

ここか…。ん? 鍵か? おかしいな…。

イーサンは、部屋番を再度照合するが、二十三番だった。

合成かけるか…。すべての部屋は、魔術式によりカギがされていたが、

案内される前に全て全開にされていた。事実、他の傭兵たちは、

鍵なしでみな部屋に入っていた。

しかし、この部屋だけは鍵がかかっていた。

なんであかなねぇんだよ。もらったカードをかざしても開かない。

イーサンは、解析+増幅の合成魔法でかったぱしから魔術式を照合して

強引にドアを開ける。

まあ、そりゃ開くわな。もう、疲れてるんだよ勘弁してくれよほんとに


 



 「あ!」ベットに向かうとベットの上には、先客がいた。

「どうして! お前!」

「すいません!」思わず情景反射的に謝ってしまう。冷静に考えれば

 割り当てられた部屋に入っただけなので謝る必要など一切ないはずだが、

 そこには…全裸で抱き合うライとイルマーがいた。

 意味が分からない状況だったが、取り合ずあわてて外に出た。

 その後もう一度部屋番号を見直す。

 合ってるな…。

「おい! そんなとこで何してる」ドアを開けてイルマーが、

 イーサンに呼びかける。

 いや、こっちのセリフだよ!

「いや、入ったらまずいかなと思って」

「じゃあなんなんで魔法鍵を開けたんだよ」

「あ…」なんだろ何も悪いことしていないのに無理やり悪役にされている感がすごい。

「早く入れてあげて」ライが部屋の奥から声がする。


 どうしよ。どう話を切りだせばいいか…。

 イーサンは、この状況の説明を求めるべきか、それともスルーすべきか。

「イーサンお手柄だな」ライが、話題に触れずに話を切り出す。

「え? あ?! ああどうも」

「いい部屋だ。私たちと一緒の部屋でよかった」イルマーも平然としている。


「いや、いいです」

「何言ってるんだじゃあどこで寝るんだ」

「いや、別に外にでも」寝るときになってもめ始める。

 あんなの見せられたら一緒になんか寝られるわけないだろ。

「いいですよ端で」

「何を言ってるんだ。真ん中でいいだろ。最大の功労者なんだから」

 イーサンは、無理矢理大きなベット中央で寝かされる。

 

 ね・寝れない。イルマーとライに挟まれてとてもじゃないけど

 寝ることがきなかった。

 イーサンは、起きて廊下に出る。

 ん? ライスト? 時計は、すでに夜中の二時を示していた。

 ライストは、書類の束をもって廊下を歩いていた。

 あまりにも寝られないので、後ろをついてく。

 ライストは、美しいつやのる長い金髪を揺らしながらあるいてく。

 そりゃこんな時間まで執務していたらああなるわな。

 じゃっかんピリピリしてる理由が、良く分かった。

 

 光が、漏れている部屋に入っていく。

 中から会話が漏れ聞こえる。イーサンは、のぞき見する。

 何やってんだ俺は…。

「なんで、あんなやつらを王宮に招き入れたのですか」

 ライストが皇帝に抗議していた。

「ライには、以前も世話になった信頼できる傭兵だ」

「陛下、お言葉ですが、彼女らは、ただの傭兵で我々を襲おうとしていのですよ」

 ライスト以外にも他三名ほどの家臣がその場にいた。

「命を助けてもらったことに変わりはない。それよりもソラヌ山の件を報告してくれ」

 皇帝は、ため息をつきながら眉間にしわをよせる。

「はい、すでに山全体を占拠山頂付近に拠点を設置したとのことです」

「なんということ。守備隊は?」

「すでに撤退したとのことです」

「なんということ」

「あそこを奪われれば、モリゾア自治領進行への道が断たれてしまう」


 話の内容をようやくすると皇帝以外は、俺たち傭兵を追い払いたい

 と思っていて。どうやら最近要衝の山を敵国に取られてしまったらしい。

 その山は、敵国へと続く狭路でその道を軍隊が通り抜ける際

 山から見下ろされてしまうため、その狭路を通るの極めて困難に

 なってしまったらしい。


 まあこれ以上聞いても仕方なそうだしずらかるか…なんか睡魔も

 少し襲ってきたし。イーサンが、戻ろうとすると古風な木製の廊下が

 きしむ。

「キィ」

 しまった!


「誰だ!」ライストが、音に気付き入口に向かってくる。

「ニャア!」

「ネコ」

「どうした?」他の家臣もライストを追ってくる。

「いや、ネコが…」

「ネコ? どこにもいなが」廊下を除くと誰も何もいなかった。

「いや、確かに」ライストの目には、確かにネコが見ていた。

「どうした?」皇帝が、尋ねる。

「いえ、なんでもありません 気のせいだったようです」

 二人は、部屋の中に引き返していく。


 あっぶね…。近くの掃除用具入れの中に隠れる。

 イーサンは、幻影と召喚獣の合成魔術を使用して

 なんとか事なきをえた。イーサンは、急いでその場から

 立ち去る。


「あのすいません」

「なんだ?」次の朝ライストにイーサンは、話しかける。

「ここは、図書館とかありませんか?」

「図書館?」

「まだ、この国のことをあまりしらないので、自分は、さすらいの傭兵で

 以前ライ隊長の関わった仕事にも参加していないので。それでは、

 皇帝やこの国にも失礼ではにかと思いまして」

「そうか! いいこころがけだな! この国の歴史をしっかり勉強してくれ

 この国は、いい国だぞ!」ライストは、この国によほど愛着でもあるのか

 うれしそうにすんなり図書館を教えてくれた。

 さてとこの辺の地形をまずは調べますか。イーサンは、地理に関する

 書籍を調べていく。

 ソラヌ山がここで…モリゾア自治領がここで…。

 最悪の位置だな…。

 

 一通り知りたいことを調べ終わったので、部屋に戻どろうとする。

「以前彼女には、世話になった信頼できる」

「しかし!」皇帝とライストが言い争う声が聞こえる。

「厳しいですね。この山を落とすとなると正直我々傭兵だけでは、

 到底…」ライも何やら困った様子だった。

「どうされたんですか!」

「おお! 君か!」皇帝は、イーサンが言い争っている部屋に現れると

 表情が明るくなり歓迎してくれた。

「はぁまたお前かなんだいったい」ライストは、呆れていた。

「ということだ…」昨晩盗み聞きした内容と同じ内容を皇帝から

 聞かされる。

「そうですね。では、こういう作戦はどうでしょう」

 イーサンは、図書館で調べた内容を含めて説明をする。

「ほー、なるほどそれは面白い さっそく準備をしてくれ」皇帝は、比較的肯定的な反応をする。

「陛下そんなに簡単に?!」ライストは、驚きながらすぐに止める。

「じゃあお前に何か案でもあるのか?」

「いえ、それは…」

「あそこは、要衝中の要衝何が何でもとりかえさないといけない ギュンター」

 そばの家臣に目で皇帝は、何か合図をする。家臣は、すぐに部屋出ていく。

 

「すいません」街の道具屋に準備ために買い出しに向かう。

「はい! い ら っしゃい…」最初は、威勢のいい声だったが、

 傭兵の身なりを見たとたんどんどんテンションが下がっていく。

 この辺で傭兵は、窃盗ばかりしているようなので評判が悪いのだろう。

 目から明らかに迷惑そうな表情が見て取れた。

「ペーロ邪魔するぞ」

「あ! これはこれは! 騎士様!」ライストが、続けて姿を現すと

 急に態度が豹変して下手に出て愛想がよくなる。今にも両手を

 もみもみしだしそうなぐらい愛想がよくなった。

「気をつけてください今、傭兵が店内にいます」小声のつもりなのか

 丸聞こえだった。

「いや、あの男は、今一緒にしている傭兵だ。心配しなくていい」

「そ! そうなんですか! 何にいたしましょう」急に店主がすっとでくる。

「あ、あの罠何かいいのないですか? ミスとベーアーを何匹か捕まえたい

 あと、火炎の攻撃力増強のアイテムが欲しい」

「さようですか ならばこれはどうでしょうか?」

「じゃあそれでいいよ」

「ありがとうございます」しかし、店主は一概に喜んでいる様子ではなかった。

「ああ、もちろんお金は私が出す」そう、店主はお金のない傭兵なんかに

 こんな商品買えないだろうという視線だったのだが、ライストの一声で

 すぐに態度を変える。

「はい、ありがとうございます」終始態度をころころ変える店主だったが、

 まあ手に入れるべきものは、全て入ったからいいか。

 そもそも、ここで何に使うか聞かれて情報が洩れても困るし。

 金以外一切興味のないある意味商人の鏡みたいな店主は、

 逆に楽かもしれない。まあ現実世界にもそういうやついたな…。

 あ~やめよ嫌なこと思いだしてしまった。

 イーサンは、顔を振り邪念を振り払う。


「せーの!」

「ドン!」森の中に成人男性と同じぐらい重さの罠が次々に設置されていく。

「おいおい! なんでこんなのが必要なんだよ!」傭兵の一人が不満を言う。

「作戦にミストベーアーが、必要なんだ」

「ミストベアー?! 意味がわからん」確かに、軍事作戦でミストベアーが

 使われる事例など俺もしらない。ミストベアーは、巨大な猛獣で

 ドラゴンを除くモンスターの中でも最大級のモンスターになるが、

 知能及びなつき度がひくくコントロールができないので基本的に

 戦闘で利用されることはない。

 傭兵たちは、二人がかりで運ばないといけないような罠を

 運ばされていたので不平不満をもらしていた。

「まさか、ハンターに転職なんて言わないだろうな!」

「いや、これはすべて戦略でこの要衝を落とすためにどうしても必要

 なんだよ」

 

王宮に戻ると野戦病院と化していた。

ヒラーや祈祷師が負傷兵の治療を行っていた。

「フロトー大丈夫か?」

「すいません。ソラヌ山を失ってしまいました」

 負傷した兵士たちは、どうやらソラヌ山の攻防で敗戦した

 兵士のようだった。ライストも介抱にまわっていた。

 負傷しているフロトーという兵士は、どうやらこの作戦の

 責任者のようだった。

「一体何があったんだ」

「魔女が…」

「魔女?」

「おそらく転生者です。猛烈な魔弾を浴びせられて」

 どうやら、転生者の魔術師が、無尽蔵の魔力で魔弾を撃ちまくって

 部隊が無茶苦茶になってしまったらしい。

 

「おいおい」

「何」

「私たちただの捨て駒になってない?」ライたち傭兵と正規兵たちが、

 ソラヌ山に向けてゆっくり森の中を道なき道を進んでいく。

 道なき道を進めばソラヌ山をかわしながら進むことができるが、

 それでは、大量の兵糧を輸送できない。

 そのため長期間の大規模侵攻ができないためソラヌ山を

 奪還することは、モリゾア自治領侵攻の際絶対条件だった。

「大丈夫だ今回正規兵も、かなり与えられている」ライが、傭兵たちを

 説得する。

「おい、どうするつもりなんだ」イーサンは、他の傭兵に聞かれる。

「大丈夫ですよ」

「まさか、あの山に玉砕覚悟でよじ登れとか言うんじゃないだろうな

 その時は、お前が戦闘で転生者の魔女の魔弾の弾除けになれよ」

「いや、まさかそんなの作戦のうちにはいらないでしょ」

 

「メルネス様! 敵襲です!」

「は?」全裸で寝ていた魔女メルネスがゆっくりと起きる。


「申し訳ありません。お休みのところ」ソラヌ山山頂指令所には、

 すでに参謀たちが集まっていた。

「敵は?」

「街道沿いに情報によればライスト率いる部隊とのことです」

「山頂から魔弾と矢による攻撃を」

「了解しました」


「おい! 本当にあの傭兵はなんとかしてくれるんだろうな!」

 閃光が炸裂し爆発し兵士たちが吹き飛ばされる。

「おい! こんなとこ通ったらハチの巣だぞ! 隊長!」

 山頂から魔弾や弓が次々と飛んでくる。

「傭兵たちの部隊が準備しているから大丈夫だ! 

 魔術砲撃隊!」ライストの部隊は、強引に街道から山頂に向けて攻撃をおこなう。

 しかし、山頂に布陣しているメルネスの部隊相手だと

 あまりにも分が悪く全く全く歯が立たなかった。


 メルネスは、山頂から魔弾を乱れ撃ちする。

「メルネス様、ライスト隊は街道を進めずに足止めされています」

 前線の兵士からの報告が入る。

「メルネス様、ここは、部隊を下に下しライスト隊にとどめをさしましょう」

 参謀の一人が提案する。

「そうね。まかせる」

「了解しました」メルネスの家臣が、部隊を率いて直接ライストの

 部隊を襲撃に向かう。山頂からの魔女と魔術師の支援砲撃を

 背後にライストに迫る。


「メルネス様、新手です」入れ替わりに兵士が伝令を伝えに来る。

「新手?」

「街道とは、反対から別部隊が侵攻しています」

「包囲される」参謀が地図を見ながら焦る。

「しかし、今からな十分間に合う。それにこっちの方が、

 高所有利には変わりない」別の参謀が、地図を前に自信をみせる。

 現状メルネス側が不利な要素はなかった。いくらライと

 イーサンが包囲したところで、高所を完全に抑えている

 メルネス側に攻撃されればかなう要素はなかった。

「私が直接向かう!」

 

「これは…」メルネスが最前線つまりイーサンとライの部隊が

 いる側に向かうと火災が起きていた。

「姫! 火計です! これでは降りられません」

「水…魔法…くっ」メルネスは、本来上級者上級者でしか

 使用できない魔法を異世界に転生したばかりにも関わらず

 使用できたが、術式の習得せずスキルにより攻撃を取得した

 ために、水魔法が使用できなかった。

 他の魔術師たちが、水系魔法で攻撃を行い突破口を開こうとする。

「火が強すぎるどうなっているんだ」しかし、全く火の手が

 弱くなることはなった。

「メルネス様! こままでは、包囲が完成して水源も

 補給路も絶たれます!」

「そんな…もっと水魔法力入れて!」

 

「いいか! 絶対火を絶やすな!」ゲルマグ公国側では、ライが

 召喚士たちに檄を飛ばす。

 火炎攻撃を得意とするドラゴン焔空龍が召喚され火炎攻撃を続けていた。

「ミスベーアーの肉は、大量にあるからどんどん食わせろ!」

 MPを使い果たしたドラゴンには、どんどんミストベーアの肉を

 食べさせ次々に回復させ攻撃を持続させる。

「火炎水晶もどんどん使用しろ!」火炎攻撃を強化する

 アイテムもどんどんドラゴンに使用していく。

 ソラヌ山麓一帯が、炎に包まれる。

 炎の包囲陣が完成する。


 その後、ゲルマグ公国軍、三日三晩包囲戦を展開し

 モリゾア自治領軍は、降伏をしソラヌ山を奪還することに

 成功した。メルネスは、少数の部下を率いて撤退に成功した

 ため捕縛することは、できなかった。

 



 

「イーサン見事だった」セネル皇帝が、イーサンを歓迎する。

「ありがとうございます」

「もうしわけありません。大将の魔女は取り逃がししました」

 ライストが皇帝に謝罪する。

「いや、今回の目的は、ソラヌ山の奪還だ。よくやってくれたな

 イーサン、これでクエスト完了だ。紙を」皇帝がクエストの

 完了書を出すよう促す。

「いや、でも転生者を取り逃がした…」

「いや、ソラヌ山の奪還は本来のクエストではなかったはずだ、

 それにモリゾア自治領軍からの逃走も支援してもらった

 これ以上は、頼れない。それに魔女も当面は、越境してこないだろう

 そうだ、どうだね。ここで正規軍として働く気はないかね」

「お言葉ありがとうございます。しかし、自分はあくまでも派遣された

 身なのでまた派遣先のギルドと相談したうえで…自分だけでは、

 判断できないので」

「おい! 皇帝陛下が直々に正規軍に編入していただけでること

 などめったにないぞ」断ったことにライストは、いら立っていた。

 イーサンとしては、まっぴらごめんだった。正規軍に入れば

 好待遇と引き換えに、大量の責任、労働、ルールを守らないと

 いけなかった。それでは、現実世界の窮屈な日々となんら

 変わらなかった。

 その後も多少の押し問答はあったものの結局は、

 あくまでもイーサンは、転生者狩り所属ギルドから派遣されていること

 が決定打になり所属先の意志を確認しないといけない

 という話で押し切られた。

「あのすいません。最後にお願いが…」

「なんだ? なんでも聞いてやろう」イーサンは、皇帝にお願いをする。


 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る