第3話 先生の頼み事
先生は、一瞬ためらう様子であったが、幹太に再び向き合うとこう述べた。
「ん。・・・では、その前にちょっと頼まれごとしてくれないか?」
「へえ、アッシで出来ることがあれば何なりと」
「実は、私は四十を過ぎてまだ一人暮らし。・・・・
西洋学で名を成し、生活も困らないほどになったゆえ、そろそろ後添えを貰って
も良いかなと思っていたところ、・・・散歩の途中で入ったあの団子屋にいる娘
に一目ぼれしてしまい、なんとかこの気持ちを伝えようとは試みたが、上手く
言葉が出ず、・・・向こうもこちらをどう見ているのか分からず、思案していた
ところ。・・・・幹太、お前の気立てを見込んで頼みたいのだが、あの娘は、誰
か好いているものがいるのかいないのか、あの娘は私のような者に嫁に来てみた
いと思うのかどうか、ちょっと探りを入れてはくれぬか?」
「へえ、お安い御用で。だんなも良い子に目をつけましたね。あの子はまだ誰も手
をつけちゃいませんし、うぶな子ですよ。先生は、学はあるし、財もある。
きっと上手く行きますよ」
そう言うと幹太は、先生の屋敷を後にし、早速、その足で団子屋へ出かける。
団子屋には、先生目当ての娘、お凛(りん)がいた。
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