ナイトプール

@Nico23

 水色のライトに照らされた水面をそっと片手で撫でると、ゆらゆらと揺れた水面とライトの水色が合わさって、アオにもアオにもアオにも色を変えていく。


 その水を両手で掬って、上へと腕を伸ばしてみる。

 掌から腕へと伝う水は、透明のままただ静かに流れ落ちていく。


 当たり前のことに、酷くがっかりとした。

 この目に確かに映った綺麗なアオのまま、掬いあげて頭から被ってしまいたかったのに。


 つまらない。

 そう心の中で呟いて、そのままゆっくりと天を仰いだ。

 頭からざぶんと水に沈む。

 ごぼごぼと頭に響くように音がする。

 水の中でそっと目を開けると、ゆらゆらと幾重にも重なるアオが目に付いて、あぁ、美しいな、と思った。


 大の字で水面に浮かび上がっていく。

 空には大きな月が浮かんでいた。

 満月よりいくらか欠けた月が濡れた瞳にぼやけて映る。

 水面に浮かんだままじっとしていると、自分が溶けて水になったような錯覚を覚える。


 ゆらゆらと溶けて水になってこの綺麗なアオが染み込んだなら、このどろどろとした心も綺麗な色になってくれるのだろうか。

 黒と灰と赤に染まったこの身の全ても。

 全部溶けてほどけて沈みこんで、何もかもなかったことにできたなら。






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