商人さんからは、『マイペースな性格』だと言われました

 とても美味しいです。ええ、とっても美味しいです!

 地龍自体、食べたことはありますが、ここまで柔らかく、独特の土の香りが無いようにできるとは…

 ソースもほんのり甘辛く、地龍のお肉の旨みを良く引き立てられており、ソースがない所も塩が良くきいていて、今までで一番美味しいお肉です。


「美味しいですか?」

「はい!今までこんなに美味しい食べ物は食べた事が無いです!」


「満足して頂けたようで良かったです」


 そろそろ食べ終わる、という時に外が少しだけ騒がしくなり始めました。


「何かあったんでしょうか?」


「もはや怒号ですね、これは」


 喧嘩でしょうか?


「ごちそうさまでした」

「ご馳走様でした。では、行きましょうか」


 扉を開けた瞬間、何かが飛んできました。


「?これってなんですか?」


「これは…鉄球ですよ。この色は、あの人でしょうね」


 黄色の鉄球をみながら、面倒そうに商人さんがため息を吐きました。


「誰よアンタ!」

「ちょ、喧嘩腰はだめだよ」


「わたしですか?」


「アンタ以外に誰がいるのよ!」


「お久しぶりですレミリア様」


 商人さんがスッと、私の前に出てレミリア?さんに挨拶をしました。


「む、ドレイク?久しぶりね」

「久しぶりですドレイクさん」


「こんなところでどうしたんですか?」


 こんな物まで出して、と私が持っている鉄球をちらっと見ます。


「そこの男がぶつかってきたのよ!」


「んな所で立ち止まってたら誰でもぶつかんだよ!」


 怪我してる男の人が、瓦礫の下から出てきました。大丈夫ですかね?


「大丈夫ですか?」


「おお、ありがとな嬢ちゃん!俺は見た目通り頑丈だから大丈夫だぜ!」


 サムズアップ、というやつをして笑うスキンヘッドさん。


「て、そんな事はどうでもいいのよ!!」


 商人さんと話してたレミリアさんが、叫びます。どうしたんですか?


「その子は誰なのよ!アキトの鉄球を受け止めるし、魔力は無いし、ドレイクが連れてるし!!」


「この子は、『死の山』で育った子です。今日成人して、山から降りてきたんですよ」


「あの山で…!?」

「うわぁ、凄いなぁそれは」


 わたしの話、ですかね?というか、あの山って『しの山』って名前なんですね。初めて知りました。じゃあ、しのさんだったんですね。


「うわ、見当違いな事考えてそうな顔ね…!」

「失礼だよ…」


「フェンさん、挨拶しましょう」

「あ、そうですね。わすれてました…」


 色々と、びっくりする事が多くて忘れてました。気をつけないと…


「遅くなりましたが…はじめまして、フェンです。よろしくお願いします」


「じゃあ、こちらも…西園寺彰人さいおんじあきとです。ほら、レミリアも」


「レミリア・ルーヴェルティよ。そんな事より!あなたどうやってアキトの鉄球を止めたのよ!」


「どう、と言われましても…」


 ただ、受け止めただけですよ?


「そんなわけ無いでしょ!魔法かスキルか…何か使わないと止められるわけないじゃない!」


「ん?でも、それだと扉壊れてましたよ?」


「ふん!アキトの《鉄球》は建物を壊さない様になってるのよ。そんなのありえないわ!」


「ほえぇ、便利なんですね」


 私がそう言うと、なぜか眉を吊り上げて、アンタね…!と怒ってきます。なんででしょう。


「二人とも、一旦移動しよう?ここじゃ往来の邪魔になるよ」


「では、私の家にいきましょう。ゲルドさんも、いらして下さい」


「俺もいいのか?そこの、フェンちゃんの優しさに触れてどうでも良くなったが…」


「フェンさんの交友を増やしたいので」


「そこまで言うなら、わかったぜ!」


 スキンヘッドさんはゲルドさんですね。


 レミリアさんがマジックバックから出した馬車の、御者に座って商人さんが言いました。わたしは商人さんの隣に座っています。

 初めにレミリアさんと、腕を引っ張られていたアキトさんが入り、『存分に話し合ってくる』と言ってガルドさんが後から入りました。


「では、行きましょうか」

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