魔法は使えませんが、その代わりに力があります。

 待機所に行くと、商人さんが待っていました。


「お疲れ様です。どうでしたか?」


「Sランク合格でした」


「おや、SSランクではないのですね」


「ゴーレムがいないそうです」


 私が言うと、あぁ、なるほどと商人さんが頷きました。


「となると、フェンさんのランキングは7,581,618ですかね」


「そう書いてありますね」


 手続きが終わり、登録が終わった時にもらったカードを見ると、ランクと、その下に数字が書いてあります。もらった時の説明では、確かこれがランキングの順位だと言ってましたから、正しいはずです。


「あ、そうだ商人さん。白金貨って何ですか?」


「大金貨までしか教えて無かったですね。覚えておりますか?」


「はい。小銅貨、銅貨、大銅貨、小銀貨、銀貨、大銀貨、金貨、大金貨ですよね?」


「そうです。そして、大金貨の上に白金貨、大白金貨、聖銀貨、となっています。そして、大金貨までは、一つ上の硬貨は、一つ下の硬貨の十枚の価値がありましたが、白金貨からは千枚となります」


 商人さんに歩きながら説明してもらいます。

 確か、りんご一つが大銅貨一枚だったから………白金貨一枚はりんご百万個分ですね。たくさんです。


「白金貨200枚って、物凄くたくさんなんですね」


「上位100位の方達は、装備や拠点の維持に莫大なお金がかかるんですよ。一部、そうで無い人も居ますがね」


 詳しく聞くと、200枚を生で渡すのではなく、専用のカードで渡されるそうです。誰がどのくらい使ったか送られるようになっていて、それを活用して未使用枚数が80枚以上だと、200枚ぴったりになる様になっているらしいです。


「ランキングが100位から落ちたら、未使用分はランキングカードへ移され、新たな100位以内の人は受け継がれる、という仕組みです」


 ランキングカードっていうのは、登録した時に貰ったカードのことですね。ぎんこう、っていう機能もあるらしいです。


「さて、話してるうちに食事処につきましたよ」


 商人さんが示した先には、お皿の上にナイフとフォークが交差しているマークと、そのすぐ下に『星振り亭』と書かれた看板が上にあります。


「ここの料理はどれも美味しいですよ」


「おぉ、それは楽しみです!」


 商人さんが言うことは殆ど正しいですからね。きっととても美味しいはずです。


「好きな物を食べていいですよ。成人したお祝いです」


「いいんですか?ありがとうございます」


 一番安くても銀貨5枚ほどなのに、ふとっぱらってやつですね。


「これにします」


「わかりました」


 メニュー表の一つ、『数量限定』地龍ステーキというものを指差します。そうすると、商人さんは操作ぱっとと言うものを使い、注文しました。

 ちなみに、地龍ステーキは2番目に高く、金貨一枚と大銀貨三枚です。一番高いものは『数量限定』飛龍ステーキで、金貨は四枚でした。飛龍は地龍と違って狩にくく、味もかなり良いそうです。

 商人さんにとって、このくらいは"端金"、らしいです。りんご一万個でも苦ではないとは……改めて凄いです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る