フェンです

 昼食って、なんて言うんでしたっけ。朝はモーニング、夜はディナー………まあどうでも良いんですが。

 今日のお昼はサンドウィッチです。お野菜とお肉を入れてます。お肉は、何て言いましたっけ?なんたらかんたらドラゴンとかだった気がします。まあ、美味しい肉ということには変わらないので、どうでも良いことですね。


「フェンさんは料理がお上手ですよね」


「そうですかね」


「はい。フェンさんが振る舞ってくださる料理はどれも美味しいですから」


「嬉しいですね」


 あそこだと、趣味といえば商人さんが持ってきてくれる娯楽か、料理くらいしかやることないですから。趣味が褒められるのは良い気分ですね。

 人の街にはどんなものがあるんですかね。いまからとても楽しみです。


「あ、そろそろ見えますよ。門です」


「大きい壁ですね。あれなら、地竜程度の突進なら余裕で耐えそうですね」


「過去に何度かそう言うこともあったそうですよ」


 恐らく魔法で作ったんでしょうね。魔法が使えない私じゃできませんね、こんなこと。まあ、妨害なしで一年程取り組めばできますが。ですが、こう言うのは妨害がつきものですからね。やはり魔法はズルいですね。


 門に辿り着きました。近づくと、余計に魔法がずるく感じます。


「おお、ドレイクさんじゃないですか!3日ぶりです」


 鎧、と言うものを着た大きな体の人がやってきました。ドレイクさんと言うのは、商人さんのことでしょうか?


「これはこれは、団長殿。こんな所でどうされましたか?何か異常が?」


 商人さんもとい、ドレイクさんがやってきた人に挨拶を返します。団長、というと騎士団の一番偉い人でしたよね。たしか、第一から第五まである騎士団で、それぞれの団の中で最も実力のある人でしたよね。


「ええ。少し、ドラゴン達がうるさいと聞きましてね。何か知りませんかな?」


「なるほど、そうだったのですか。それならばお力になれそうだ。というのも、その原因に心当たりがありましてね」


「それは、そちらの少女が関わっていそうですね」


「さすがは団長殿。まさにその通りです」


 ?団長さんと商人さんがこちらを見ていますね。少し外の景色に夢中になってて、話を聞いていなかったのですが。


「この娘はあの山出身でしてね。恐らく、下山したことによる影響でしょう」


「あの山の…!それは誠ですかね?」


「フェンさん、こちら団長殿です。良い人ですよ」


 商人さんのお墨付きの良い人なのですか。信頼できる方なんでしょう。


「初めましてフェンです」


「これは丁寧にどうも。初めまして、第一騎士団の団長をしています、アルフです」


 手を出してきました。これはもしかして、握手というものですか?は、初めてなので少し緊張しますね。


「!?……これはこれは、なるほど。ドレイクさん、またすごい人を連れてきましたね」


 団長さんもとい、アルフさんの手を握ったら、アルフさんはすごい汗を出しました。どうしたんでしょうか?すごい動揺、というか驚いてますが。どこか悪い所でもあるんですかね?


「あ、そうだアルフさん。ドラゴン達なら大丈夫ですよ。下手に縄張りから出ようとしませんから」


「わかりました。ご協力ありがとうございます。フェンさん」


「フェンさん、中に戻っても大丈夫ですよ」


 はーい。


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「ドレイクさん。彼女はどこの誰なのですか?」


「あの山、『死の山』で育った女性ですよ」


 全く、そういうことを聞いてんじゃあねぇんだがなぁ〜…。


「フェンさんはあの山のピラミッドの頂点の存在です。魔法は使えませんが」


 魔法が使えない…まじか、初めて見たぞ。都市伝説かと思ってた………ってあの山の頂点!?世界ランキング一桁台ですら、少しでも隙を見せれば死ぬんだぞ!?そりゃ、あんだけ強いわけだわな……

 俺には少し変わった能力がある。それが、手を握れば相手の力量を測ることができるってやつだ。今まで、いろいろな強者を見てきた。世界最強とも会ったことがある。フェンという少女は、そのどれもが弱く見える。

 死の山の頂点なら納得だ…


「あの娘は、優しい良い子です。常識だとかは私が教えましたので、一応は大丈夫なはずです。…まあ、心配なので保護者として、見守っていこうとは思いますが」


「親代わり、ですか。……私の力がいる時は言ってください。いつでも貸しますから」


「ありがとうございます。では、私はこれで。頑張ってください」


 そう言って街の中へ入っていく。


「こりゃあ、近いうちにおもしれぇことが起きそうだな」


 さあ!今回の異変は解決だ!今日は早めに帰れそうだぜ。


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