第37話

<高嶺涼花視点>

何が起きたか、わからなかった。

塁斗が刺された?

内藤が復活した?

情報量が多くてパンクしそうだ。

今、塁斗は意識不明の重体だ。

つまり、死ぬ可能性が高い。


塁斗のことが、好きだったのに、、、


数日後。

私は、彼がいる病院へと向かった。

一向に目を覚まさない。

彼は、悪いことをしただろうか。

何故、何もしていないのにこんな目に合わなければいけないのか。

これが夢であってほしい、私はずっとそれを願った。

美鈴やノア、暴露マスターなどいろんな人が塁斗の見舞いに来た。

みんなが願っている。

彼が目を覚まし、また元気よく過ごすことを。


-----

<朝霧塁斗視点>

―はっ


俺は目が覚めた。

でも、体が動かない。

周りには、たくさんの人がいた。

「「「塁斗!!」」」


その後、俺が安定してしゃべれるようになってから話を聞いた。

まず、俺を刺したのは「内藤」だった。

そして、内藤は今取り調べを受けている。

計画的犯行で、理由は「人生を壊された」から。


こっちが壊された側なのに。


冤罪をかけられ、学校で嫌われて。

クラスメイトに助けてもらったのに、その恩を完全には返せなくて。

部活のこともあって、転校してからもうみんなとは話せていない。

唯一話せているのは美鈴だけだ。


そのあと、数週間俺は療養していた。

毎日、たくさんの人が見舞いに来てくれる。

正直、今までのことで急に精神にダメージを負ったから上手く話せなかった。

でも、みんな優しくサポートしてくれたおかげで、少しずつ精神が安定してきた。

正直、メンタルが弱い人がこんな目にあったら死んでると思う。

俺も、もしほかの人の助けがなかったら死んでいたと思う。

ところで、内藤に刺された箇所はわき腹だった。

でも、なんとか一命をとりとめた。

誰かが、すぐに通報して軽い処置を行ってくれたようだ。

もともと、この町は犯罪や不祥事が多かったから俺は嫌いだった。

でも、優しい人がたくさんいるというのを今回のことで実感した。


それから、俺の回復力はすさまじくすぐに退院した。

そして、このことをメディアがこぞって取り上げた。

正直、俺はメディアに取り上げられることが嫌だ。

だって、また内藤から恨まれるから。

俺は、ただ普通に過ごしたい。

もう、願いはそれだけだ。

メディアは、このことについて「かわいそう」と言っていた。

当たり前でしょ。

何も関係のない人が、冤罪にかけられて、挙句の果てになぜか恨みを持たれて刺されるって。

でも、もういいんだ。

内藤は、俺が療養している間に自殺した。

もう無理だと悟ったのだろう。

だから、今のところ脅威はなくなった。

本当は人の死を喜んではダメだけど、内藤の場合は別だ。

やっと解放されるんだ、、、、、


この時の塁斗は知らない。

確かに「命」の脅威はなくなった。

でも、「恋」の脅威はたくさんいることを、、、

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やっと恋愛展開へと進めます。

あと10話以内に完結の予定。






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