第46話 頼み
残り一か月、九月末にマーチングの関西代表が決まった。
よくやるよ。僕だったら逃げだすよね。
あまり期待をさせたくないので、何分歩けたかは言わなかった。
「これで大阪城ホールと名古屋センチュリーホールに来ることが出来ますね」
大阪城ホールはマーチングの会場で名古屋センチュリーホールはコンクール会場だ。
コンクールの九月末のチケットは当たらなかったことを監督に連絡したらしい。今日のリハビリ終わりにビデオ通話で監督は静かに伝えてくれた。
「上にはすでに交渉しました。当日は新幹線で来てください。グリーンを用意しました」
「でも休学の身ですよ」
僕が言うと母さんはすでに泣いていた。
「でも在学中だよね。切符とチケットはお家に送ります。ご家族の分、四枚です」
後日、お父さんは行かないと言い、三人の他誰を誘うおうかしらと困っていた。僕は内心渡す相手を決めていた。母さんが帰った後、僕はロビーに下りた。
「久しぶりですね。光さん」
髪色を青く染めた松山がロビーの椅子で座って待っていた。松山と前に来た時に連絡先を交換したのだ。
「頼みがある。僕と一緒にセンチュリーに行ってくれ」
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