第19話 最大のピンチ

「喘息治ったら、光もフィールドで金賞とろな」


「もう治りますよね。最後は先輩と」


 困ったことになった。予想はしていたがこれはまずい。非常にまずい。


 これでもし喘息が治っていたら、もう嫌になっていたマーチングメンバーに入れられてしまう。最近はもう楽器も触りたくない。


 お前らよくやるよ。大変だなというモーションが取れない。

 大体、僕も間違えてしまった。


「僕の分まで頑張っていけるとこまで行こ。みんなで」

 いやね、喘息の発作が出まくりの時で、負担にならんようにならんようにと気を使ったアレはまずかった。


 まさか全国に行くなんて思わなかった。


「もしかして、楽器しんどいですか?」

 顔に出たか。


「吹くのキツいですよね」


「う、うん」

 びっくりしたよ。まさか楽器がしんどいのを見抜かれていたと思った。


「トランペットやったら持ちやすいかな」


「どやろ」


「歩くだけやったら、光さんでも行けるやろ」


「お前ら、ちょっと待て。それは光にプレッシャーかけすぎや」

 小藤先輩。


「そういうのはだんだん慣れていくもんやろ。光、今日から少しずつ歩いていこな」

 小藤先輩!

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