第16話 こっちはいいから休憩しろ

「まだやれます」

「ええから休憩せえ。床も濡れとる」


 僕はあらかじめ予定されていた。汗を吸い取るモップを持って体育館のフィールドに飛び出した。広いフィールドだが、実は使っている範囲は狭い。それと入場口辺りを拭けばいいのだが、このモップがともかく重い。



 僕はあまりにも非力なので、このモップを持ち上げて元の位置に戻すのに時間がかかる。



「先輩、無理してやって。すみません。手伝います」

 わらわらと集まる部員。


「いやそんなん休憩しといてもらった方が」


「これくらいするんやったら大丈夫です」

 労わらなくてはいけない側が労られている。


「それくらい元気あったらいけるな」

 マーチング指導の咲先生に声を掛けられ、モップを元の位置に戻された僕だけが戻った。僕はなるべく邪魔にならないようにモップを置き、カメラの前に戻った。


『ヤガミでファイト! オー!』


 バタバタとフィールドに出てきた部員。

 この人文字の完成図は小さく『YAGAMI』となるように作られている。

 この作り方を書いている一通りの構成表をコンテという。

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