第66話 国家機密

メッセージ暗号通信アプリ『フェアリー』


マルチモード通信に対応しながらもE2E暗号化を採用したセキュリティ強化メッセージアプリ


乙女の恋バナは国家機密よりもないしょのひみつです。




――――



白百合>ふたりともまだ起きてますか


トテトテ>起きてます。待ってたよ。


しおん>もちろん起きてるよ。どうだった パーリーナイだったよね。



白百合>本当にお赤飯が出てきました。お父さんが泣いて喜んでるし大変だったの


トテトテ>お父さんって反対しないのかな。家の娘はやらんって


白百合>いつ挨拶に来るか聞かれました。


しおん>お父さんわくわくだね。中学生で挨拶にって結婚の申し込みじゃないよね。


トテトテ>何度も顔合わせてるからいまさらだよ。それにもう婚約者って聞いたよ。私のおかあさんから



白百合>婚約してません。本当です。


しおん>でもお付き合いしてるよね。彼氏だよね。


白百合>


トテトテ>お~い いつもの「お付き合いしてません」が返ってきませんね。


白百合>


しおん>ビデオ通話にしようか


白百合>ダメ


しおん>とろけた聖女ちゃん見たいのに ちぇ



トテトテ>そう言えば表示される名前変わってるよ。


しおん>ローズちゃん気に入ってたのにな。聖女ちゃん『白百合』になってる。


トテトテ>私 トテトテになってる・・・


白百合>可愛いですよ。


しおん>あかねさんと聖女さまが管理してるからイベント終わってすぐに変更したんだね。私「お優雅なしおん」にしてもらおうかな。


トテトテ>きっとダメだと思う。



しおん>それで騎士くんは挨拶に来るの? 「娘さんをください」って


白百合>来ませんよ。


トテトテ>でもお父さん待ってるんだよね。


白百合>いつの間にか食事会をすることになってました。


しおん>きっとお母さん連合が決めたんだよ。



トテトテ>そこで婚約するのかな。


白百合>しません。


しおん>でもご両親ノリノリでしょ


白百合>だって


トテトテ>だって?


白百合>デートもしてないのに


しおん>わぁ


トテトテ>わぁ


トテトテ>聖女ちゃん可愛い


しおん>かわいい


白百合>からかわないでください


トテトテ>からかい上手のしおんちゃん


しおん>トテちゃんこそからかい上手だよね。


トテトテ>いやいや しおんちゃん おぬしもワルツよのう


しおん>ずんたった ずんたった


白百合>ふたりとも私で遊ばないでください。



トテトテ>デートどこ行くの?


白百合>騎士くんが誘ってくれるならどこでもいいな


しおん>わぁ


トテトテ>わぁ


しおん>あまい


トテトテ>オンラインなのに甘い


しおん>『フェアリー』はのろけ話のあまさも通信できるんだよ。きっと


トテトテ>そうだよね。あかねさんなら作れるよね。だから甘いんだ。なっとくぅ


白百合>ふたりとも私で遊ばないでください。



トテトテ>図書館はどうかな 


白百合>それはトテちゃんのデートコースです。


しおん>トテちゃんも甘い


しおん>私だけ甘くない


しおん>あかねさん あかねさぁん


しおん>私だけ寂しいです。


しおん>あかねさぁん


白百合>落ち着いてしおんちゃん


白百合>しおんちゃんもデートの約束してましたよね。あかねさんとドライブデート


しおん>えへへへ


トテトテ>しおんちゃんも甘い


白百合>甘いです。


トテトテ>でもあかねさん運転できないよね。十七歳だから


白百合>そうですね。でもメイドさんが運転してくれますよ。


トテトテ>メイドさん付きのデートって聞いたことないよ。


しおん>メイドのお姉さんも楽しいから良いのです。



しおん>騎士くんとデートなら歩いて行けるところになるよね。


トテトテ>それなら商店街のあたりかな。


しおん>ころっけ!


トテトテ>そうだ ころっけデートです。伝説のころっけデートですよ。


白百合>エンジェルお姉さんのころっけデートのお話ですね。騎士くんに相談してみます。



※エンジェルお姉さん:恋に恋する乙女たち ~恋する小学生とじゅうななさいの聖女~(第19話 百合さんとお泊まり会)をご参照ください。



しおん>デート楽しみだね。


白百合>はい


トテトテ>ちゅーしたら教えてね。


白百合>しません


しおん>しないの?


白百合>



白百合>たぶん


しおん>わぁ


トテトテ>わぁ



白百合>手をつなぐくらいは


しおん>わぁ


トテトテ>わぁ



白百合>でも騎士くんが嫌かもしれないし


しおん>こんなこと言ってますよ。奥さま


トテトテ>あらいやだ 断るわけございませんことよ。


しおん>おほほほ


トテトテ>おほほほ


白百合>ふたりとも私で遊ばないでください。



しおん>聖女さまとは話が出来たの?


白百合>電話が通じないのです。留守番電話になるのです。メールかメッセージをどうぞって


白百合>お礼とお詫びをメッセージしましたがお返事をもらえていません。


白百合>やっぱり心配になってきました。


トテトテ>大丈夫だと思うよ。きっとイベントの後片付けが残っていると思うし


しおん>あかねさんもメッセージのお返事返ってこないよ。きっと今日は忙しいよ。


白百合>もう一度メッセージしてみますね。


白百合>それではふたりともおやすみなさい


しおん>おやすみなさい 騎士くんの夢でも見てね


トテトテ>騎士くんとデートの夢だね おやすみなさい



白百合>もう  


白百合>おやすみなさい








しおん>行っちゃったかな


トテトテ>行っちゃったね


しおん>幸せそうだね。安心したよ。


トテトテ>きっとベッドの上で足バタバタさせて「騎士く~ん 大好きっ」って言うんだよ。


しおん>ベッドの上でごろんごろんして「騎士く~ん 大好きっ」だと思うけどな。


トテトテ>明日学校で聞こうね。


しおん>楽しみだね。


トテトテ>おやすみなさい


しおん>おやすみなさい




    §    §    §




白百合>姉さまのこと大好きです。


白百合>聖女になっても姉さまと一緒が良いです。ずっと一緒に居てください。


白百合>お願いします。


白百合>明日 またメッセージします。


白百合>大好きな姉さま おやすみなさい



――――



「何をにやにやしてスマホ見てるのですか お姉さんに見せなさい」


「リズさん 返してください」



「あら 姉妹揃ってシスコンですこと」



キッチンから新しい『ぶどうじゅーす』を片手に歩いてくるあかねさんにスマホを差し出すリズさん



「お嬢 良かったじゃない 大好きって」


「当然です。私の可愛い妹ですからね。お姉さんのことは大好きに決まっています」


「先ほどまで不安で泣いていた方がいらっしゃったようですが・・・」


「そんなことはありません。私はいつも冷静です」



「それではもう一度お祝いしましょうか」



「恋に恋する乙女たちに」



「「「プロージット」」」




――――



スノーホワイト>私も大好きですよ



スノーホワイト>良い夢を


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