第57話 甘酸っぱいですね

「単なる噂ですよ 私にそんな力はありません」


リリーちゃん 帰ってきてくれました。

聖女さまがすぐ側に付き添ってます。お姉さんが近くに居るだけでも安心しますよね。

落ち着いたみたいで安心したよぉ よかったぁ



「でもカップルが何組もできてるって聞いたよ」


「それは姉さまの祈りです。私は姉さまの祈りをお伝えしただけです」


「聖女ちゃんのお姉さんも聖女さまって聞いたのですが・・・」



となりに聖女さまがいるので控えめに質問 初対面ですよね。



「姉さまは立派な聖女さまですよ。『世界樹の聖女さま』として活動されています」



リリーちゃんがとっても誇らしげです。自慢のお姉さんですからね。




「ごきげんよう 妹がいつもお世話になっていますね。これからもよろしくお願いします」



聖女さまもリリーちゃんのお姉さんとしてご挨拶です。スカートをちょんと摘まんでお嬢さま挨拶

特別な妹としてはこれが嬉しいのですよね。



「「こちらこそ いつもお世話になってます」」


あれ 私の時と違って大人の対応ですね。どういうことですか



「聖女ちゃんとそっくり」「お姉さんだから当たり前でしょ」

「でもしおんちゃんは・・・」「大人になったらきっとすごいんだよ」



みんな何の話をしているのですか



§



賑やかな雰囲気が戻ってきて良かったよぉ



そんなところにコスプレをしたマスクさんがcafeに来てくれました。



可愛い魔法少女のコスプレですよ。うすい緑のミニスカートひらひらドレス スパンコールがきらきらしてます。

なんとマスクさんが考えたオリジナル魔法少女だそうです。世界樹をイメージししたそうであちこちに葉っぱがデザインされてます。


これから舞台で魔法少女ショーが始まります。

もちろん主役は魔法少女のマスクさん  

魔法少女なのですが・・・ 少女のはずですが・・・ いろいろと大人です。



「ここでマジックポーションは注文できますか」



そういえばマスクさんは聖女の術に参加してました。マジックポーションがあることを知っていますよ。


えっと えっと てんちょぉ どうしたら良いですか



「マスクさんのために用意しておきましたぁ」


いまさらですけどアリス店長 どうやって用意したのですか




「不思議の国にある花の蜜と魔法の果実を使ってつくったのですよ お姉さんはすごいでしょ」


店長の説明が説明になってないです。でも可愛いドヤ顔店長はすべてが許されるのです。



「アリスお姉さん すごいです。あの時もセイ姉さまのためにありがとうございました」


リリーちゃんは納得しちゃうんだ・・・




「でもまだ仕上げがしてないんですよ 聖女さま 出番ですよぉ」


「セイ姉さま マスクさんのために祈りを込めましょう」



アリス店長さんが持ってきたのは黄色いビンのマジックポーション


私もマスクさんのために何かしてあげたい気持ちでいっぱいです。聖女見習いですからね。ダリアちゃんも集合ですよ。



聖女さまがテーブルに置かれたマジックポーションを前にして真剣な顔になりました。



「世界樹の加護をいただきましょう」



指を絡めて祈りのポーズ 聖女見習い三人も遅れずに祈りのポーズ 


様子を見ていたクラスの友達も一緒に祈りのポーズ まわりのお客さまも祈りのポーズ なんだかうれしいです。



「恋する乙女に世界樹の加護がありますように」



§



みんなの祈りが込められたマジックポーション マスクさんは美味しそうに飲み干しました。



「なんだか 甘酸っぱいですね」



恋に効くマジックポーションは甘酸っぱいそうです。



「ショーが終わるまでcafeの注文はお休みしまぁす。みんなで応援しましょぉ」



cafe不思議のアリス 店長の宣言で臨時休業です。



――――

――――



舞台ではアイドルさんたちが踊ってます。歌ってます。


オタ芸で応援してもらっていたオタクさんたちはペンライトふりふり 今度は観客席で盛り上がってます。

打合せもしていないのになぜ掛け声が合うのですか ペンライトの振り方まで一緒ですよ。


アイドルさんたちほとんどが今日が初めてのコスプレって聞いてますよ。信じられません。

マスクさんのお話を聞いて応援したいと集まった人ばかり コスプレ必須のイベントだからと話し合って決めたのがアイドルさんのコスプレだそうです。


いろいろなアニメ作品のアイドルさんが夢の競演です。とっても上手で可愛いです。デビューしちゃいますか プロデューサーさんがスカウトに来ちゃいますよ。


スタッフ本部席のお姉さんまでお仕事しながら踊ってますよ。可愛いコスプレも似合ってます。


踊るスタッフお姉さんに気が付いたオタクさんがお姉さんに向かってペンライトふりふり

オタクさん優しいです。スタッフお姉さん ちょっと照れながらも踊ってます。


ここにも恋の予感っ



§



曲が終わって次のグループと交代・・・



「おっほほほ 可愛いお嬢ちゃんたち このステージは私たち『ヤミーズ』が頂くわ」


突然の高笑いに驚いているとフルフェイスヘルメットをかぶった人たちがわらわらと出現して客席を取り囲まれました。

舞台の上ではアイドルさんたちが取り囲まれています。悪い人たち登場のようです。『ヤミーズ』だそうですよ。こわいですね。名前からすでに悪い人丸出しですよね。



これはだれもよそうしなかったてんかいです。ふそくのじたいです。ふううんきゅうをつげます。スタッフさんも大慌て・・・ 大慌て・・・ しようよぉ



悪い子『ヤミーズ』に取り囲まれてアイドルさんたちが大変だぁ でも手は触れないんだ・・・



おっ 怪しげな怪人も出てきましたよ。一緒に出てきたのは「おっほほほ」と言っていた『ヤミーズ』お姉さんですね。

本格的なコスプレですが・・・かなりえっちです。ぽろっとしちゃいそうですよ。『ヤミーズ』お姉さん



「こんな子たちよりも私を応援しなさい。さもないとこの子たちは・・・」



わぁ 大変だぁ アイドルさんたちがひどいことされちゃいますよぉ(棒)



「こうなるのよっ おまえたち やっておしまい」



ヘルメットさんたちが羽の付いた棒でこちょこちょ でも手は触れないんだ・・・

きゃっきゃと笑ってしまうアイドルさん 平和です。でもちょっとえっちです。



「「「きゃああ だれか助けてぇ」」」(棒)



声を合わせて助けを呼ぶアイドルさん 助けを呼ぶ前に小さな声で「せーの」ってタイミング合わせていたのは気のせいだよね。


さあ緊迫してまいりました。このままでは何かが大変なことになってしまいます。



「助けなければっ」


勇気あるオタクさんが舞台へ駆け寄ろうとしますが悪い人につかまってしまいました。



「くそっ どうしたらいいんだっ」大声で叫ぶオタクさんもいます。


観客席のオタクさんたちが一番上手な気がします・・・ 打合せなんてしてないですよね。



こんな時はどうすればっ なんとか仮面を呼ぶべきでしょうか なんとかレンジャーの方が良いでしょうか


ギターを背負ったさすらいのヒーローは助けに来るでしょうか



仕方ありません。お優雅戦士仮面ローズちゃんの出番でしょう。



その時 舞台に凛と響くカッコいい声



『やめなさいっ 私が相手ですっ』




助けが来ましたっ


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