第43話 やっと会えましたね
木曜日です。放課後です。初めてお店を見に行く日です。
なんと学校まで聖女さまが迎えに来てくれました。先生もお迎えのこと知っているみたい。聖女さま 学校とどんな関係があるのですか
正門にあるお客さま用駐車場にお迎えの車が止まっています。聖女さまが出てくるとちょっとざわざわ 聖女セイ・タカナシさんの衣装ですからね。かなり目立ちますよ。
「ごきげんよう みなさん」
スカートをくいっとしてお嬢さま挨拶をする聖女さま 面白がってやってますよね。目がちょっと笑ってますよ。当然私たちも返します。
「「「ごきげんよう 聖女さま」」」
まだセーラー服のままですがお優雅な聖女見習いですからね。お嬢さま挨拶です。
ざわっ
みなさん 実は私たちお優雅なお嬢さまなのですわ おほほほ
「お嬢さま方 どうぞお乗りください」
運転手のメイドさんまで合わせてくれますよ。鼻が高いですよ。えへんです。おほほほです。
今日はメイドさんらしくちゃんとメイド服ですよ。ミニスカではないの残念ですが見た目も本物のメイドさんです。
聖女見習い3人でお優雅に乗り込みます。
メイドのお姉さんこんにちは よろしくお願いします。でもメイド服で運転している姿って意外と違和感ありますね。まわりの車から注目を浴びています。メイドのお姉さんちょっとドヤ顔してますよ。聖女さまは苦笑いしてますが・・・
――――
イベント会場到着です。大きな会社の体育館みたいな建物を借りてお祭りです。わっしょい
展示品を運んでいる人がいっぱいいますよ。お祭りのプロのひとですね。わっしょい
聖女さまについて建物の後ろの方から入りましょう。
§
コンサートステージみたいになってますよ。会場の真ん中にステージの道が出来てます。アイドルが歌いながら走ってくるところです。手を振りながら『みんな 元気ぃ♪』って出来ますよ。
スタッフさんのほとんどが絵をかざってます。『元気っ♪』のステージ横は芸術の発表ですね。なんだかわからない物まであります。きっと芸術は爆発なのです。あとでじっくり見ましょう。
そして会場の後ろには私たちの・・・ 木が立ってるぅ
――――
このぉき なんのき 『世界樹ですね』 はい リリーちゃん きっと正解です。
聞いていたより大きいです。天井までどぉんと伸びてます。根っこのあたりも太いです。聖女さまの世界樹よりも太いです。
根っこを囲むようにお店が出来上がってました。カウンターもおしゃれで水道も付いてますよ。コーヒーをいれる機械もあります。スターポックスみたいなお店です。
世界樹を背中にしてお仕事するのです。かっこいいです。私は運ぶだけですけど・・・でもお優雅に運びます。
「世界樹とセイ姉さま すてきなお店です」リリーちゃんうっとり 大好きなお姉さんと大好きな世界樹 リリーちゃんの大好き贅沢セットの出来上がりです。
床は茶色の布かな シートかな 葉っぱも落ちていて本物の地面のように見えます。いろいろな植物が鉢植えで置いてあってちょっとした森のようです。 大きな岩までありますよ。もちろん本物ではないけどちょっとやりすぎですよ。これがリズさんの力なのですか よろしい 見せてもらおうか お嬢さまの実力とやらを・・・
「ローズちゃん練習しますよ」 はぁい
§
メニューはテーブルに立ててあります。端末を持って『ご注文はお決まりですか』
注文は端末にテーブル番号を入力して 品物の名前ボタンをぴっぴっ 注文ボタンをぴっ 終わりっ
『少々お待ちくださいね』ダリアちゃん可愛いです。『くださいね』がきゅーとです。それ採用です。
『少々お待ちくださいね』リリーちゃん可愛いです。おじぎの代わりに片手でスカートをつまんでくいっ ちょっぴりお嬢さまな感じで可愛いです。それ採用です。
「ローズちゃんも練習してくださいね」 はい・・・
§
注文はスタッフさんのパネルに表示されてすぐに作ってもらえます。番号の書いてあるところに置いてくれるのでワゴンに載せて同じテーブルに運ぶだけ 簡単です。あとはどれだけお優雅に運べるかですね。
「ご注文のコーヒーになります」お優雅にそっとテーブルに どやっ
「ローズさん 違いますよ 『コーヒーになります』ではなくて『コーヒーです』にしてください」
えっ間違いですか 聖女さま厳しいです。
「出来れば正しい言の葉を使いましょうね きっと役に立ちますよ」
はいっ
「ご注文のコーヒーです。ごゆっくりどうぞ」上手く出来ました。どやっ
「最後のドヤ顔がなければ完璧ですね」
リリーちゃんも厳しいです。ぐすん
――――
「みなさん 上手でしたよ。本番もよろしくお願いしますね」
聖女さまの合格が出ました。やりました。ローズちゃんはやり切りましたよ。
「まだ始まってもないよ」
ダリアちゃんまで厳しいです。ぐすん
「ローズちゃんの提案で特別なお茶も用意しましたよ みんな飲んでみてくださいね」
聖女さま あの時に約束した特別なお茶を用意してくれたんですね。嬉しいです。でも何が特別なんですか
えっと ふた付きの湯のみに・・・ お茶の葉がそのまま入ってますよ。お湯に葉っぱがみっちり入ってます。飲めませんよ。
「『すすり茶』と言うお茶です。ふたをちょっとだけずらして隙間からゆっくりと飲んでください」
飲み方が難しいお茶ですね。ふたをちょっとずらしてお茶の葉が出ないように注意しながらくちびるで受け止めます。ちびちび こくん おいしい 何ですかこれは
「甘いです。お茶がとっても甘く感じます。不思議です。お茶とは思えないほど甘いです。砂糖とは違った甘さです。セイ姉さま素敵です」リリーちゃんも絶賛です。
「特別なんですよね きっとお高いんですよね メニューに載せられないです」
ダリアちゃんよく気が付きました。そうです。メニューはどれも一品100円 お安く設定したのです。
お会計は出口の募金箱に自己申請でちゃりんです。いっぱい入れてもいいですよ。全部募金ですからね。
でも特別なお茶は100円ではお安くしすぎです。それに聖女さまがいないと煎れることできませんよ。
「それでは口コミだけのメニューにしましょう。名前は『世界樹のしずく』 誰かの紹介で聞いた人だけが注文できます。私以外にも日本茶の心得に通じた方がいらっしゃうのでスタッフの問題はなさそうですね」
それは特別ですね。名前も良いです。お店にぴったりです。注文されたらどうしますか 端末にボタンがないですよ
「ましろさんに追加してもらうように伝えておきます。すぐに出来ますよ」謎のましろさんですね。
「今日はゆっくりお茶を楽しみましょう。このお茶は二煎目もおいしいですよ。味の変化を楽しむお茶ですからね」
世界樹の下で『世界樹のしずく』 お優雅でございます。 おほほほ
――――
スタッフさん 大忙しです。でも楽しそう。
「イベントはもう始まっているのかもしれませんね だってこんなに楽しいのですよ」
リリーちゃんもそう思いますか もうお祭り始まってるよね わっしょい みんな楽しくわっしょいです。
ステージでバンドの人が練習してましたよ。みんな上手です。さっきはエレキギター持ったおばあちゃんがいましたよ。カッコ良かったです。
「年齢なんて関係ないよね 私もかっこいいおばあちゃんになりたいな」ダリアちゃんはカッコ良いよりも可愛いおばあちゃんになりそうです。
「セイ姉さまも発表するのですよね いつものバイオリンですか」
聖女さまはバイオリンなんですね。いつもってどこかで発表会があるのですか
「そうね 聴いてくれる人がいればどこでも演奏しますよ」
楽器できる人っていいなぁ リリーちゃんもピアノ出来るよね 姉妹で合奏できるよ いいなぁ
ダリアちゃんもピアノ出来るしお優雅な聖女見習いは楽器が出来ないといけないのかも
私も聖女さまのバイオリン聞きたいです。お勧めの曲を聞かせてください。
「練習用のバイオリンしかないけれど良いですか」もちろんです。きっと練習用でも違いがわからないローズちゃんです。バイオリンって練習専用って有るんですか 知らなかったです。
アタッシュケースみたいなバックからバイオリンをシャキーン 格好いいです。
肩にハンカチを乗せてバイオリンを構えます。そしてにっこりと笑うと演奏が始まりました」。
♪
とってもきれいな曲でした。お上手です。カスタネットの名手ローズちゃんも絶賛です。
ところで この曲どこかで・・・ 聖女さま 今の曲は何という名前ですか
「『シャ・リオン』と言う曲ですよ」
この曲聞いたことがあります。
「セイ姉さま 私初めて聴きました。美しい曲ですね」
「私も聴いたことがないです。どこの曲ですか アニメの主題歌ですか エンディングぽいです」
私 この曲聴いたことがあります。歌も聴いたことがあります。英語じゃない外国語の歌でした。
「それではもう一度演奏してみます。今度は楽器も増やして歌も付けますよ」
♪~
聖女さまが演奏していないのに曲が始まります。誰かが演奏しています。どうして どこから
音の聞こえるのはステージの方 誰かエレクトーン演奏してます。遠くてちょっと暗いので顔が良く見えません。まだ照明がテスト中みたいです。
誰ですか えっと・・・ 短いブラウンの髪 紺色のマント そうです。聖女セイ・タカナシさんのお友達『アイラ・ミソノ』さんが演奏しています。
♪~
アイラさんの歌声に合わせて聖女さまのバイオリン アイラさんの演奏が始まることをわかっていたのですね。
マイクも使っていないのに響く声 不思議な言葉が響きます。
「これは聖女さまの曲なのですね」リリーちゃんがお祈りのポーズ 何か感じたのですか
メインステージの上と世界樹の下 離れた場所で始まったエレクトーンとバイオリンの合奏
突然の演奏にスタッフさんの動きも止まっています。
♪~
私 この曲知っています。歌詞はわからなけどこの歌を知っています。 そしてこの声知ってます。
大好きな大好きなこの声を忘れるわけがありません。姿が違っても聞き間違えることもありません。
やっと会えましたね アイラ・ミソノさん
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