第41話 あまえっこ

ふたりそろって牛乳を ぷふぁあ


バスローブを着てグラスに入れた牛乳飲んでます。クッキー用にお取り寄せしたちょっとお高い牛乳です。

冷たくておいしいっ ぷふぁあっ


ふわふわタオルでさっと拭いてバスローブを着たらもう快適

濡れた髪もささっと拭いただけでほとんど乾いてます。このタオル欲しいです。


「気に入ったなら何枚か持って行ってね」

でもお高いんでしょ


「ちょっとだけね でも妹の為なら何十万でも出すわよ」

そんなに使ったら怒られちゃいますよ。お年玉貯金なくなっちゃいますよ。


「お年玉貯金してるの えらいね」

きちんと貯金してますよ 安心安全のおかあさん銀行です。


「メガバンクの中で一番信用できない銀行だと思うよ」



――――


ドライヤーで乾かしてもらってます。


寝室にある化粧台 鏡の上にも右にも左にもやわらかなライト 女優ライトです。

引き出しを開けると化粧品がいっぱい これ全部使うんですか


「その時に合わせて使い分けるの 女はね これで恋の魔法をかけるのよ ふふふ」

恋の魔法ですか 男の人に使っちゃだめですよ 彼なんて作っちゃダメですからね


「彼女なら許してもらえるかな」

彼女なら・・・ 私と仲良しになってくれる人でお願いします。


「それなら大丈夫そうね ほら乾いたよ」

えっ何が大丈夫なのですか わぁ さらさらになりました。ふわっとします。


「まだ終わりじゃないよ もっと綺麗にしてあげる」

引き出しから小さなビンが出てきました。なんだかかっこいいですよ。魔法の薬が入ってるみたいなビンです。

ビンの中身をちょんちょんと手のひらにのせて髪をさらさらなでなで


つやつやになります。さらさらでつやつやです。魔法みたいです。


「私専用に作ってもらったんだよ 良い匂いでしょ」

これ あかねさんのにおいがします。おそろいのにおいです。えへへ どこで作ってもらったのですか 私もおそろいのにおいが欲しいです。


「これはリズさんが作ってくれたの 妹とお揃いにしたいからってお願いしておくね」

リズさんってお金持ちのお嬢さまですよね。お願い聞いてくれますか


「リズさんは優しいからね きっと作ってくれるよ それに聖女さまも妹とお揃いで作ってもらっているからね」

だから姉妹揃って髪がさらさらつやつやなんだね。これはなんて名前の化粧品ですか


「う~ん 名前はね・・・ リリーちゃんは『聖なる水』って呼んでるよ」

なんだかぴったりの名前です。聖女さまのないしょのひみつですね。

でも聖女さまのないしょのひみつをどうしてリズさんが作れるのですか


「イベントであったら聞いてごらん 教えてくれるかもしれないよ」

聞いてみます。それに私からもおそろいの『聖なる水』作ってくださいってお願いしなきゃ 今から楽しみです。


――――


ぱじゃまに着替えて歯みがきぶくぶく 私用の歯ブラシまであって嬉しいです。お揃いですよ。


あれ もうひとつ歯ブラシありますよ。彼のではないですよねっ 違いますよねっ


「それは聖女さま用だよ ふらっと来るからね いろいろ用意してあるの」

今日もランチ持ってふらっと来てお手伝いしたらすぐ帰っちゃいましたよ。不思議なお姉さんですね。


「聖女さまだからね」 良くわからないです。


「磨いたらお部屋に来てね 着替えて待ってるから」

あかねさんだけ着替えていませんでしたね。すぐ行きまぁす。


――――


お部屋に行くとガウン姿のあかねさん

小さな机でパソコンぱたぱた お仕事ですか


「寝る前にちょっとだけチェックね すぐ終わるからベッドに入ってて」

ベッドで座ってみてましょう。

ぱたぱた ぱたぱた ぱたたたたたたた ぱた いつ見ても早いです。

私のお姉さんはすごいのです。


――――


「はい お待たせしました。眠くなるまでベッドでお話しましょ」

寝ながらお話しするなんて夢みたい 大好きなあかねさんと一緒ですよ 一緒におふとんですよ。でへへ


私が奥に移動して あかねさんが手前 どうぞ入ってください

ガウンを脱いで・・・  えぇぇ あかねさん すけすけですよ。えっちですよ。見えちゃいますよ。


「きちんと着けてるわよ 形が崩れちゃうからね 夜用があるの」

そうではなくてですね。なんと言いますかですね。すごいんですよ。


「妹と寝るだけよ 問題ないでしょ」

そう言われますと・・・ はい


――――


横を見ると大好きなあかねさん 私の大好きな人


それにですね おふとんの中で手をつないでます。いちゃいちゃです。

手もやわらかいなぁ すべすべしていて 指の先だけちょっとだけ硬くて 爪もきれいにつやつやです。

お仕事でパソコンぱたぱたしてるから指の先だけ硬いのですね。

おしゃれなのに指輪はしてません。いつもネックレスだけです。


手を見つめながらさわさわとしているとあかねさんが私をじっと見てました。

まつげが長くてぱっちり大きな目 小さくてぷっくりとしたくちびる

寝る前だからお化粧してないのに美人さんです。


「あの時一生懸命に走ってきた女の子が妹になるなんて今でも信じられないわね」

かっこよかったです あかねさん 初めて会った時からずっとかっこ良いです。

妹になれたのがうれしくて今でも夢を見てるみたい 大好きなお姉さんといっしょにお泊りですよ


せっかくなのでもうちょっといちゃいちゃしても良いですよね。腕にぎゅっと抱き着いちゃいます。やわらかいです。優しいやわらかさです。なんだか安心します。


「やっぱり妹がいるっていいなぁ 可愛いなぁ」

そんなこと言うともっとあまえっこになっちゃいますよ。


「私はね 聖女さまが昔から妹を可愛がっていたのをずっと見ていたの 妹のためなら何でもするお姉さん 嫉妬していたわ そんなに私よりも妹がいいのかなって」

あかねさんでも嫉妬するんですか こんなに美人さんで何でもできるのに


「聖女さまがつらい時にいっしょに泣いてなぐさめるのは私だけって思ってたの 助けてあげるのは私だけって思ってたの でもね 妹の存在はとっても大きかったわ 妹の写真を見て 妹と電話して それだけで立ち直った姿を見てね 勝てないなって 妹には勝てないんだなって ちょっと寂しくなっちゃった」


私 助けてもらいましたよ あかねさんに助けてもらいましたよ 何回も助けてもらいましたよ あかねさんが一番ですよ


「ありがとう でもね 助けられたのは私の方なんだよ つらい時 写真を見てたの あなたの写真を見てたの あなたの為なら頑張れたの」

何でも出来るのは頑張ったからなんですよね。私の写真で頑張れたなんてうれしいです。


「あの時手紙を持ってきてくれたよね その手紙で聖女さまに言われたの 『目の前に可愛い妹がいるでしょ 今まで大切にしてきた妹がいるでしょ』 ようやく気が付いたの 私にも大切な妹がいるって 妹になってくれてありがとう」


あかねお姉さん 妹にも甘えてくださいね なでなでしてあげます。


あかねさんをぎゅっとして頭なでなで あかねさんつらくても頑張りました なでなで


「しおんちゃん 私の妹 しおんちゃん 大好き・・・」

あかねさん 泣いちゃだめですよ あまえっこになってくださいね なでなで


ふたりで抱き合いながら眠りました。大好きな人の温かさを感じながら意識が溶けて行きます。 


大好きなお姉さん おやすみなさい

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