第36話 おっきいメイドさん

ついに土曜日です。カレンダーにまる付けた日です。あかねさんとお泊りデートです。


早起きしました。自分で起きました。


髪もゆっくりとブラッシング100回 リリーちゃんに教えてもらった通りにていねいに

リップも付けました。今日は香り付きのリップです。


お洋服は可愛さよりも動きやすさ お手伝いに行くのですからね。

でもおパンツは可愛いのを買ってもらいました。お泊りデートです。気合を入れましょう。



最後の仕上げ ダリアちゃんから教えてもらったおまじない


鏡に向かってにっこり笑顔


『きょうの私 かわいいよ』


――――



あかねさんがお迎えに来てくれました。

黒いワゴン車のドアが開いてあかねさん登場


おはようございます あかねさん


運転手のお姉さんもおはようございます


「おはよう ローズちゃん 今日はお願いね」


任せてください 私が手伝うのです。大船に乗った気分で良いですよ。豪華客船タイタニックです。


「それ 沈むよね 確実に」


朝からツッコミをありがとうございます。さすがあかねさんです。



「またお世話になります。言うこと聞かなかったら追い出してくださいね」


お母さま そのようなことはございませんよ。役に立つローズちゃんです。心配はいりません。


「しおんがローズちゃんねぇ ぷぷっ」


失礼ですね。お優雅な聖女見習いでございますよ。


あっそうだ お土産があります。今日のローズちゃんは美味しいおまんじゅう付きですよ。



「お気遣いありがとうございます。これからは用意なんてしないでくださいね。姉妹ですから気軽にお願いします」


「美人で仕事の出来るお姉さんがいるなんて贅沢ね。これからもよろしくお願いします」


「仕事なんてしていませんよ。じゅうななさいですからね」


「そうでした。私と同い年の十七歳でしたね」


「「あははは」」


お母さま 嘘はいけません。私を何歳の時に産んだのですか


「時空のゆがみがあるのよ」

あかねさんが言うなら仕方ありませんね。


――――


となりの席にはあかねさん あかねさんだぁ うれしいなぁ


シートベルトしているとあかねさん おっきいです。いつもよりおっきいです。

私は・・・ いつもと変わりませんね。おかしいですね。


運転手のお姉さん お姉さんもおっきいですよ。どぉんですよ。

お姉さんはメイドさんですか それともあかねさんのお世話係ですか


「どうしたの 気になるかな」


えっとね 聖女さまの車に乗せてもらった時の運転手さんがメイドさんだって教えてくれたから

お姉さんもメイドさんかなって


「あはは 聖女さまの運転手はメイドさんだったんだね」


メイド服は着てなかったけどメイドさんでした。お姉さんもメイド服を着ていないけどメイドさんですか


「彼女はね 私の父が 『メイドですよ』」

やっぱりメイドさんでしたか きっとメイド服が似合いますよ ミニスカでバインバインですよ


「いや 彼女は 『メイドさんですよ』」

雰囲気まで聖女さまのメイドさんそっくりです。聖女さまのメイドさんも楽しいお姉さんでした。


「やっぱり聖女さまも 『メイドさんですからね』」

なかよしですね。


『到着しましたよ お嬢さま』


メイドのお姉さん ありがとうございました。

どうしたのですか あかねさん 疲れた顔してますよ。


――――

――――


受付のおじさまもおはようございます。


今日もあかねさんが手をかざすと自動で動き出すエレベーター 15階へ一直線


謎です。不思議です。魔法です。


お部屋の前でも黒い板に手をかざすだけでカチャ やっぱり何も持っていないです。触ってもないです。



お姫さまの魔法のお城へおじゃまします。



§



やっぱり大きなお部屋です。


「今日は来てくれてありがとね。嬉しいよ」


私も楽しみにしていました。とっても嬉しいです。


「明日まで二人きりだね。ふふふ」


急に緊張してきました。あかねさんがせくしぃです。


「さあ 荷物は寝室に置きましょうね。今夜は一緒のベッドだよ。ふふふ」


やっぱりせくしぃです。これは大人のお誘いでしょうか リリーちゃんよりも先に大人になってしまうのでしょうか



「お洋服を出してハンガーにかけてね。カバンの中に入れておくとシワになるよ」


いつものあかねさんに戻ってしまいました。



――――


さあ あかねさん自慢のキッチンです。お揃いのエプロンも付けました。お揃いですよ。もう新婚さんですよね。


「イベント用にクッキーはたくさん作るからね。体力勝負よ」

クッキーを作るのに体力なんて言われるとは思いませんでした。ローズちゃん強い子です。頑張ります。



「まずは材料を並べましょう」


クッキーの粉 どぉん 砂糖がどぉん すごい量ですよ。いくつ作りますか


「イベント一日に百人分 二百人分作ります。ひとりに三枚の予定だから六百枚焼くよ」


ろっぴゃくまいっ これはひとりだけでは無理です。


大きなボールがどぉん レンガみたいに四角いバターがどぉん どぉん どぉん

こんなバター スーパーで見たことないですよ。


「取り寄せたからね。材料は重要よ。ちょっと良いバターだからおいしくなるはず」


あかねさんの『ちょっと良い』が気になります。お取り寄せのバター おいしそう


「こっちがちょっと良い卵と牛乳だよ」


どぉん 大きなビンに入った牛乳にたくさんのたまご たまご たまご



「三つの味を作るからちょっと良いココアと抹茶もあります」


ココアもどぉん 抹茶がちまっと小さな缶 ちょっと安心しました。


「聖女さまからもらった抹茶だよ。ちなみに抹茶が一番高いからね。普通はお菓子になんて使わない高級品」


うわぁ まさかのちまっとしたのが一番でした。



「さあ 気合入れて作るわよっ」


はい お姉さまっ

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