第29話 何故か強いメイドさん

聖女さまのお茶会から数日


あれからにやにやが止まりません。だってあかねさんにメッセージ送れるんですよ。お返事が来るんですよ。


「おはようございます」って送ったら「おはよう 良い一日にしようね」なんて返ってくるんですよ。

「おやすみなさい」って送ったら「おやすみ 良い夢を」なんて送ってくれるんです。大人です。

おはようからおやすみまで私を見つめるあかねさんです。もうお付き合いしていると言っても良いですよね。


母もメッセージが見たいようで私がスマホを置いた隙に『フェアリー』をぽちっとしたのですが起動しませんでした。何も動きません。私がぽちっとするとすぐに見られるのに不思議な機能です。乙女のないしょのひみつは厳重です。


「わかった 指紋よ」

母が私の指を使って勝手にぽちっ あれ動きませんね。


「これが聖女の術ね きっと」

乙女のないしょのひみつは聖女さまの術で守られているようです。聖女の術って便利すぎませんか



――――

――――



お茶会が終わりまして 恋バナいっぱいで満足した聖女さま 車で家まで送ってくれました。


「じゅうななさいだから運転できません」と言うことで初めましてのお姉さんが運転です。聖女さまのお世話係だそうです。聖女さまは違うって言ってましたけどお姉さんが教えてくれました。お世話係というのはメイドさんですか メイド服じゃないんですね。


「メイド服に着替えましょうか お嬢さま」 とてもノリが良いお姉さまでした。


ドレスを着たままメイドさん運転の車で送ってもらえるなんて・・・ おほほほ お優雅なお嬢さまでございます。


聖女さまも乗り込んでまずはリリーちゃんのお家へ



§



「あら お姫さまの到着ね」

リリーちゃんのお母さん なんだか慣れています。聖女さまにもドレス姿にも驚きませんよ。


「待ってたわよ。お姫さまがいっぱいね。やっぱり女の子っていいわぁ」

聖女さまのお母さんと同じこと言いますよ。誰ですか


「騎士くんのお母さんだよ」ダリアちゃん ナイス解説です。

彼のお母さんがリリーちゃんのお家で待っているなんて関係はどこまで進んでいるのですか



「うちの息子が待たせちゃってごめんなさいね。帰ってきたらよく言っておくから今度のデートは期待してね」

騎士くんのお母さんぐいぐい来ます。今度のデートで・・・ リリーちゃん報告待ってます。 



「わざわざ送ってもらってありがとうございます。またドレスまでもらって・・・ 良いのですか」


「可愛い妹の為ですから 私の自己満足ですよ」

聖女さまとリリーちゃんのお母さん 仲が良いですね。



「連絡嬉しかったわぁ おかげで一歩前進ね」


「ご無沙汰して申し訳ございません。妹をよろしくお願いします」

騎士くんのお母さんとも仲良さそうです。


お母さんたちと仲良しの聖女さま やっぱり謎が多いです。



§



ダリアちゃんのお父さん だんでぃです。かっこいいですよ。

お母さんはちっちゃくて可愛いのにお父さんはおっきいです。見上げてしまいます。



「先日はありがとうございました。 今日もドレスを頂いたみたいで・・・ いつも親子でお世話になってしまいますね」

聖女さま だんでぃお父さんのお世話したんですか


「会社の取引先が 『ないしょのひみつです』 ・・・ですね。ははは」

お父さんが教えてくれそうだったのに聖女さまが邪魔をします。

ニコニコ聖女さま・・・ これ以上聞いてはダメということですね。なんとなくわかってきました。



§



ただいまぁ お姫さまが帰ってきましたよぉ 聖女さまも一緒ですよ


「おかえり しおん ・・・聖女さまがぁっ」

お母さん 驚きすぎです。聖女さまが送ってくれました。ドレス可愛いでしょ


「わざわざ来ていただきまして あの 申し訳ありません。主人は所用で・・・」

聖女さま 怖くないですよ。優しいお姉さんですよ。



>>>ここより大人の事情により小声モード


「まあ 大人の事情はしおんさんに伝えないでおきましょうね。あかねさんの意向もありますし」


「ご友人とは聞いていましたがあかねさんをご存じなんですね。同じ会社なのですか」


「いえ『じゅうななさい』ですので会社員ではありませんよ。ふふふ」


「聖女の術を使われるとか・・・」


「乙女の秘密です」



あかねさんがどうしたのですか



>>>小声モード強制解除



「ご友人があかねさんだと教えてもらっていたのよ」


「これからも仲良くしてくださいね」

もちろんです。


送ってくれてありがとうございました。メイドお姉さんもありがとうございました。


「メイドさんなのですか」

聖女さまのお世話係をしているお姉さんなんですよ。


「彼女はメイドではなく私と 『メイドさんです』 ・・・メイドみたいです」

メイドお姉さんおもしろいです。お世話をしているはずの聖女さまよりも強いです。



§



車窓にはいつまでも手を振ってくれるしおんさんと頭を下げるお母さま


「どうするのですか メイドって信じてますよ。しおんさん」


「良いではないですか 次はメイド服を用意しますのでご心配なく お嬢さま」



――――

――――


「聖女さまって本当に聖女さまの服着てらっしゃるのね しおんが見てたアニメの聖女さまと同じよね」

特別な日にしか着ないみたいだよ。


「現実なのか 物語なのか わからなくなってきたわ 聖女さまって実在するのね」

現実だよ。このドレス聖女さまからもらったんだよ。


「きれいなドレスね」

いいでしょ いいでしょ 可愛いでしょ あかねさんも一緒に選んでくれたんだからね。


「あら あかねさんも一緒だったの」「あかねさんは別の場所 オンラインで参加してくれたの」

「あかねさんなら外国からでも普通に出来そうね」「でも聖女さまのお母さんが手伝ってくれたよ お仕事の途中で抜け出して来てくれたんだって」


「聖女さまのお母さんって しおん 失礼なことしなかったでしょうね お父さんが聞いたら倒れちゃうわよ きっと」

聖女さまのお母さん やっぱり偉い人みたいです。私大丈夫だったでしょうか かなり不安です。



「そんなドレスもらっても着ていく場所がないでしょ お嬢さまでもないし」

でも聖女見習いになったのでお嬢さまです。おほほほ


「おほほほって言ってもねぇ」


今度の仮面舞踏会に着ていくのです。聖女さまも出るんだよ。


「仮面舞踏会なんて聞いてないわよ どうするの 馬車って借りられるのかしら あかねさんに相談しましょう」

馬車はいらないと思う。お友達も一緒だから大丈夫だよ。


お優雅なお嬢さまになりましたからね。おほほほ

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