第20話 おほほほ

波乱の放課後 in 図書準備室



先程まで電話をしていた司書さん 妙に興奮気味です。



「ただいま状況が変わりました。乙女の事情で全員コスプレします。テーマは『仮面舞踏会』です。はい みんな拍手」


ぱち ぱち ぱち



「先輩 何があったのですか」


「恋する乙女の大舞台を作ることになったの みんなコスプレで盛り上げるわよ」



話が見えません。

とりあえずコスプレは決定のようです。もうコスプレって言いきっちゃいましたよ。

私は聖女見習いさんの制服にしてもらえるなら反対しませんけどね。



「しおんちゃん 聖女ちゃんと同じドレスは無理だけど似たものを作ってくれるって」


嬉しいです。嬉しいですけど・・・ ドレス今からのですかっ



「コスプレ用の衣装を作ってくれる子なのよ。ケープも作ってくれるって」


すごくないですか 服作っちゃうんですか



「ドレスの方 待ってもらって良いですか」聖女ちゃんどうしたの


「お姉さまがドレスをしおんちゃんにも譲ってくれるそうです」


私にもドレスくれるのっ 高いんだよね。大丈夫かな。


・・・その前に 聖女ちゃん 『聖女のお祈り通信』でそこまでわかっちゃうの



「いえ 私はしおんちゃんにも衣装が手に入りますようにと願っていただけです」


もしかして聖女ちゃんのお祈りが聖女さまに伝わってドレスがもらえるようになったのっ 聖女ちゃん ありがとぉ



「私がメールしたらお姉さまがしおんちゃんにもくれるって返事が来たんだよ」


トテちゃんがメールしたのですか・・・ 見てませんでした。



「ドレスを選んで欲しいからお茶会しましょうって」



「さすが聖女さま太っ腹ね」


「お姉さまは太ってませんよ。全体に細いです」


聖女ちゃん たまにポンコツさんだよね。それに全体に細いって・・・



「聖女さまとお茶会なんて羨ましいね。失礼のないようにね」


お茶会って何するの お嬢さまが『おほほほ』ってするんだよね。



「お姉さまは『おほほほ』ってしないと思う」


緊張してきました。



――――


司書さん 仮面舞踏会って何するの


「イベントのスタッフみんなで仮面を付けるの 楽しそうでしょ」


なんだか楽しそうです。

ドレス着て仮面を付けるんですよね。これは私もお嬢さまです。おほほほ



「だからしおんちゃん お嬢さまは『おほほほ』ってしないよ」



舞踏会って踊るんだよね。私盆踊りしかできないよ。


「私だって踊れないよ」「私も舞踏会の作法はわかりません」



「踊らないよ。仮面舞踏会の雰囲気だけだから大丈夫 コスプレして仮面付けて楽しい雰囲気を作るんだよ」


それなら大丈夫そうです。頑張って『おほほほ』します。



「だからしおんちゃん・・・」



――――



「なんだか聖女さま関係が増えちゃったね」


「聖女さま関係はまだ増えそうだから別の衣装にしましょうか」


聖女さまが増えるんですか 聖女さまっていっぱいいるのですか



「しおんちゃん たまにポンコツさんになるよね」

聖女ちゃんに言われるとは・・・


「魔導士さんもいるから異世界な人いっぱいだよ」



たいやきさんはどんな衣装ですか


「私は普通にウエイトレスの衣装のつもりだったからね どうしようかな」


「店長さんが不思議の国の人だからそっち関係にしましょうか」


あれ 司書さんが店長さんではないのですか



「いろいろと訳があってね。cafeの経験者にお願いしたの」


もしかしてたいやきさんの彼氏さんですか cafeバンブーの店員さんでしたよね。


「まだお付き合いしているわけじゃなくて・・・ でも彼氏・・・ えへへへ」


たいやきさん でれでれです。ここにも『まだお付き合いしていない』人がいます。今年の流行語大賞は『まだお付き合いしていない』で決定ですね。



「あれでお付き合いしていないって・・・ 自分で次期店長夫人って言ってたくせに」


たけのこさんは次期店長さんなんだ 『出来る男』なんですね。会うのが楽しみです。



「残念だけど今回はたけのこさんじゃないんだよ」


ええっ 期待してたのに・・・ それじゃあ誰にお願いしたんですか

白髪交じりの髭のおじさまですか



「ナイスミドルもかっこいいけど店長さんは女の子だよ。元気な女の子」


元気な女の子がcafe経営しているんですか すごいです。

不思議の国の女の子なんて絶対可愛いですよね。


そうだ cafeの名前閃いちゃいました。



「何となく想像できるけど名前は何にしたいの」


『cafe不思議なアリス』ですっ 可愛いでしょ



「まあ・・・概ね・・・ そうしましょうか 『cafe不思議なアリス』で決めましょう」


「不思議の国に聖女見習いがいても良いのでしょうか」


「不思議の国だから何でもありでしょ 本店には聖女さまがいるって聞いてるよ」



えっ そこにも聖女さまがいるんですか 聖女さまいっぱいです。


「私の知らない聖女さまがいらっしゃるのですね。わくわくしてきました」



「私 店長さん知ってるかもしれないです。何となくですけど」


トテちゃん 知ってるんですか どんな人ですか もしかしてお嬢様ですか


「う~ん 元気な・・・お姉さんです。お嬢様・・・なのかな cafeを経営しているって聞いたことないよ 違う人かも」

 


「せっかくだから全員集まる時まで内緒にしましょう」


司書さん いじわるです。 あんまりいじめるとうさぎさんダンス



「「やめて」」

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