第19話 たいやきさん

緊迫の図書準備室


交渉を重ねた結果 ぎりぎりでうさぎさんダンスは回避されました。



「あぶなかったね。トテちゃん」「しおんちゃんがこのカードを切るとは思いませんでした。そんなに聖女見習いの制服が良かったかな」


もちろん聖女見習いさんの制服・・・ ドレスってあこがれます。お嬢様です。

それにミニミニスカートのメイドさんはだめです。

あれは司書さんに着てもらいましょう。司書さんが大人のおパンツこんにちはです。



「あれは着るのに年齢制限があるのっ じゅうななさいまでなのっ」



ちぇ 見てみたかったなぁ 司書さんの水玉



「水玉じゃありません」


――――


「ところでうさぎさんダンスって・・・」


「司書さんは知らない方が良いと思いますよ」


――――



「こんにちは 遅くなりました」


図書準備室の扉をノックして入ってきたのはおとなしそうな女の人


来る予定だというもうひとりの司書さんでしょうか



「待ってたよ。入って入って」



「お久しぶりです」「えっ どういうことですか」


聖女ちゃんお知り合いですか トテちゃんも驚いている所を見るとお知り合いですね。



「しおんちゃんは初めてだね。紹介するよ。私の後輩の『たいやきちゃん』よ」


「先輩 その名前は内緒にしてくださいよ。食いしん坊みたいじゃないですか」



「この子がしおんちゃん ウエイトレスを引き受けてくれた子だよ。可愛いでしょ」


可愛いなんて・・・ でへへへ



「こっちは聖女ちゃんとトテちゃん トテちゃんは知ってるよね。聖女ちゃんもお知り合いかな」


「そっか トテちゃんって呼ばれているんだね。可愛いと思うよ。

 それに聖女ちゃんなんだ。聖女さまの妹らしい名前になったね。とっても似合ってるよ」



「ありがとうございます。司書さんも『たいやきさん』なんて可愛いと思います。これからは『たいやきさん』ですね」


「司書さんがふたりになったのでちょうどいいです。『たいやきさん』です」


「先輩 『たいやきさん』になっちゃったじゃないですか」


とても仲が良いのですね。どんな関係なのですか



「小学校の頃とてもお世話になった司書さんです」


「そうなんですよ。トテちゃんの恋を見守ってくれた優しい司書さんですよ」


トテちゃんの恋を見守っていたなんて・・・ たいやきさん 後でじっくり聞かせてくださいね。



「聖女ちゃん なんだか雰囲気変わったね。聖女さまそっくりになってるよ」


「お褒め頂きありがとうございます。とってもうれしいです」


「みんな大人になるんだね なんだかうれしいな(遠い目)」


聖女ちゃんはそんなに変わったんだ。昔の聖女ちゃんも見てみたいな。



「だめです。ないしょのひみつです」



――――



「先輩 このふたりは中学でもバカップルしてますか(小声)」


「心配いらないよ。校内でも有名なバカップルだからね(大声)」


そうなんですよ。ふたりとも彼氏自慢ばかりするんですよ。私可愛そうな子なんです。



「こんなこと言ってるけどしおんちゃんも最近恋する乙女してるのよ」


「最近の子たちって進んでると言うか置いて行かれそうね」


えへへ ちょっと照れちゃいます。

たいやきさんだって恋する乙女なんですよね。何といっても司書さんの後輩さんですからね。



「そうそう あれからどうなったの たけのこくん」


「先輩 変な名前つけないでくださいよ」


たけのこさんですか チョコレートみたいですね。きのこさんと大戦争しそうです。



「あっ わかっちゃったかも」 トテちゃん何か知っているのですか


「あの大きな本屋さん『たけのこ書店』 たいやきさんあの本屋さんの話をよくしていました」


「私もお姉さまと良く行く書店です。本屋さんの中におしゃれなcafeがあるのですよね。たしかcafeバンブーと言ったでしょうか」


私も知ってます。おしゃれな本屋さんだよね。聖女ちゃんも聖女さまも行くんだね。



「たいやきちゃんはcafeの店員さんといい感じなのよ」


「わぁ あのcafeバンブーの店員さんならどの人でもイケメンだよ」


「みんなで見に行こうね」「「「賛成っ」」」



「先輩勘弁してくださいよ」



――――



「しおんちゃんもお揃いのお嬢様衣装にしたいけど良いものがないね。聖女ちゃんのドレス品質が良すぎるもの」


「このドレス コスプレ用じゃないですね。かなり凝った生地使ってますよ」


「お姉さまから頂いたドレスですしケープもお姉さま特製ですからね」


やっぱり聖女見習いさんの制服は特別な何かがあるのですね。



「いや単純に高いのよ・・・ 聖女さまからのプレゼントかぁ」


「えっこのドレスそんなに高いのっ」 トテちゃん知らなかったみたいですね。



「ケープはなんとかなるかな。似たものはできそう」


「でもケープはお姉さまがいろいろと施していらっしゃると思いますし・・・」


なんだか難しいことになってしまいました。大丈夫でしょうか



「とにかく衣装担当の子に連絡してみるよ」

司書さん お願いします ってもう電話してるっ 速っ



「私もお姉さまに相談してみますね お姉さまならこのような企画でしたら賛同していただけると思います」 

聖女ちゃんまでありがとぉ って聖女ちゃん どうしてお祈り始めるの もしかして聖女さまへの特別通信なのっ

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