第15話 特別な妹
広くて明るいリビングルーム
テーブルに美味しいクッキーと紅茶
窓の外には街を見下ろす素敵な景色
そして目の前には優しく笑うあかねさん
ここは天国でしょうか
トテちゃん 聖女ちゃん ありがとうね 夢がひとつ叶ったよ
不思議なお手紙を書いてくれた聖女さま 本当にありがとうございます。
――――
そうだ あかねさんに不思議な手紙のこと聞かなきゃ
あかねさんは手紙のスタンプ見ただけで聖女さまってわかったんですよね。
あのぎゅっとしたスタンプって特別なのですか
「あのスタンプはシーリングワックスって言う名前
雪の結晶を手で包んでいるマークは聖女さまだけのオリジナル
だからしおんちゃんが持ってきて驚いちゃった」
聖女ちゃんは知らなかったみたいです。
妹なのに知らないなんて聖女さまのマークはひみつですか
「ひみつじゃないけど特別な時にしか使わないからね。知らなくて当然だよ。
大人でも知っている人は少ないかな」
特別な手紙だったんですね。
「聖女さまはね きちんとした手紙を書く時にはとってもこだわるの
封筒も便箋も特別に作ってもらった聖女さま専用
手紙を書いた万年筆のインクも専用じゃないかな
便箋を開いたときにほんのりわかる程度の香りをつけるのは聖女さまらしいね
それを知っていると聖女さまからの手紙ってわかるでしょ」
どうしてそんなにこだわるのですか
「聖女さまは言葉をとても大切にするの
手紙を受け取った人の心に言葉が届くように思いを込めて『正装』するんだよ。
受け取ったら嬉しくなってすぐに読みたくなるように工夫をしてあるみたい」
たしかに思わず開けたくなってしまいました。あぶないところでした。
でも特別な手紙を書いても受け取った人はわからないかもしれないじゃないですか
私だったらわからないです。
「私はね 聖女さまに試されたのかも知れないよ 『私のことわかりますか』って
手紙の中にも聖女さまの名前は書いてなかったの
わからなかったら誰かがいたずらで書いた手紙にしか見えないからね」
名前のない特別な手紙
そんな手紙で聖女さまは何を書いたのかすっごく気になります。
「そうね・・・ 『人のつながりの不思議』かな」
――――
「しおんちゃんが話していた友達が聖女さまの妹だとは驚いたよ」
私もあかねさんが聖女さまのこと知っているなんて驚きました。
聖女さまってどんな人なんですか 会ったことありますか
完璧美少女の聖女ちゃんが憧れるお姉さんなんですよ。とっても気になります。
「腰まで伸ばした黒髪が印象的な人だね。
きっと初めて会っても聖女さまってこの人だってわかると思う」
聖女ちゃんも長い黒髪ですよ。そっくりです。
あかねさんに読んでもらった手紙も聖女ちゃんから頼んでもらったんです。
「妹からお願いされたら聖女さま断らないからね。妹大好きだから」
聖女さまが妹大好きな優しい人で良かったです。
「聖女さまは妹がいっぱいいるよ。みんなにお姉さまと呼ばれてるから・・・
でもそんな中でも聖女ちゃんは『特別な妹』じゃないかな」
特別な妹ですか
「そう『特別な妹』
ずっと優しく見守ってきた妹 きっとこれからもね。
たくさん自慢されたのよ。私の妹は誰よりもかわいいって」
あかねさんは聖女さまと仲が良いのですか
「聖女さまとは仲が良いよ。
私もしおんちゃんのこと沢山自慢してきたからね」
私のこと自慢していたのですか
「たくさん自慢したよ。聖女さまには特別な妹がいて羨ましかったのもあるかな」
完璧美少女の聖女ちゃんが妹ですからね。
「今日 しおんちゃんを誘えたのは聖女さまのおかげだね」
あかねさんは特別な手紙を読んだから仲良くしてくれたのですか
聖女さまの魔法で仲良くしないと悪いことが起こるのですか
そうです。聖女ちゃんが言ってました。封筒に特別な術がかけてあるって・・・
「違うよ。手紙はきっかけを作ってもらっただけ しおんちゃんとは前から仲良しだったでしょ
手紙で背中を押してくれたの
聖女さまっておせっかいなのよ。 それに特別な術って・・・ふふっ」
無理やりじゃなくてよかったです。
私は聖女さまの特別な術が無くても大好きですよ。あかねさんのこと大好きですっ
「しおんちゃんに大好きって言われると照れちゃうな。
それじゃあ お願いがあるんだけど・・・」
あかねさんのお願いなら何でも聞きますよ。
「しおんちゃんのこと 私の妹って呼んでいいかな」
はい 妹にしてください。 特別な妹にしてください。
「みんなに自慢できるよ 可愛い妹が出来たってね」
かわいいなんて・・・ はぅぅ
――――
「しおんちゃんも聖女さまに会える時が来ると思うよ。近いうちにね」
会いたいです。お手紙のお礼も言いたいです。
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