第7話 『恋愛の勇者』司書さん
ふたりにようやく打ち明けた恋心
この恋心を知っているのはトテちゃんと聖女ちゃん
そして司書さん
打ち明けた時に図書準備室にいた司書さん
あれから批判することなく静かに見守ってくれています。
「今日は賑やかね」
司書さぁん 良い所に
リア充のふたりが彼氏の自慢をするんです。私 かわいそうな子なんです。
「しおんちゃんの恋愛相談に乗っていただけですよ」
「あかねさんのことはないしょのひみつですよ」
トテちゃんが念押しをします。そんなこと言わなくても司書さんはきっと黙っていてくれますよね。
「あなたたちに不利益なことはしないわよ 恋する乙女の味方だからね」
ウインクしながら答えてくれる司書さん 色っぽいです。
ボブカットの髪にすらりと引き締まった身体
高い身長にタイトなスカートから細くて長い脚
澄んだよく通る声が魅力的です。
ブラウンの眼鏡から知性を感じます。
一言で表すのであれば『大人の女性』ですね。
それに何といっても新婚さん 熱烈な恋愛の末ご結婚されましてもうすぐ一年
年下の旦那様はなんと大学生なんですよ。
――――
司書さん 私の恋どう思いますか
「世間は厳しいと思うよ 同性の恋愛は物語では当たり前にあるけど現実は別
同性婚は『普通ではない』と考える『空気』が大多数
法律も含めてまだまだ認められていないのが現状ね」
『空気』ですか
「そう『空気』 誰も意見を口にしないのに雰囲気だけで存在する圧力
特に日本の社会では大きな力よ」
司書さんもやっぱり反対しますか 普通じゃないんですよね
「法的に結婚をしようと思えば難しいけどお付き合いするなら問題ないんじゃない
それに法律が許しても反対されることも多いのよ
私なんてひどかったわぁ」
そんなにひどかったんですか
「だって付き合い始めたときは旦那は高校生よ しばらくは隠れて付き合ってたもの
犯罪すれすれのラインだからね 親に紹介した時なんて大騒ぎよ」
司書さんの旦那様は8歳年下 お付き合いしているときからご両親から反対されたそうです。
お友達からも止める声が多かったと聞いています。
それでもお付き合いしてきたのですよね。
「それにね 好きになっちゃったんだもの もう仕方ないよ
止められないほどあかねさんのこと好きなんでしょ」
はい 大好きです。
「ほら 最初から答えは出てるじゃない それにね」
それに・・・
「恋って障害が多いほど燃えるのよっ」
司書さん 迫力あります。
どぉぉん と効果音が聞こえてきそうです。
「がんばってね 乙女たち」
後ろ手にひらひらと手を振りながら部屋を出てゆく司書さん
やっぱりカッコいいです。
――――
「仲良くなるには何かをいっしょにすれば良いと思うんですよ
時間を共有するって大切だと思う」
たとえば何がおすすめですか
「好きな本をいっしょに読むとか・・・」
「映画を一緒に見て感想をお話しするのも良いと思いますよ」
あかねさんの好きな本・・・ 読書するところを見たことが無いです。
私と居るときは読書なんてしませんからね。
本を持っているところを見たことはありますが、英語で書いてありました。
何の本かも分かりません。
一緒に読めないです。
映画を一緒に・・・ それってすでにデートですよね。
それができないからこまっているんですってばぁ
「お家で映像配信を見るならできませんか しおんちゃんのお家でV-NEXTみせて頂きましたよね」
母が映画大好きで配信サービスを契約していますからね。
お家で見るなら出来そうです。
でも私はアニメしか見ないし・・・あかねさんの好きな映画って難しそう
「こわい映画ならあかねさんに抱き着いて見られるかもしれませんよ」
こわい映画 最初からダメです。始まる前から目を開けられません。あかねさんに笑われてしまいます。
んっ・・・
一緒に好きな本を読むってトテちゃんのデートじゃないですかぁ
「聖女ちゃんの方がデートですよぉ 映画楽しかったって言ってたし 言ってたし」
聖女ちゃん 映画館だけでなくてお家で一緒に見たりもしているのですか
こわい映画で『きゃぁ』って抱き着いたんですか
そうなんですよね
「抱き着いてはいませんよ。そう 抱き着いてはいませんよ」
珍しく動揺している聖女ちゃん ごまかせていませんよ
そうだよね 抱き着いてはいないよね。腕にしがみついただけだよね。
「そうですよ。しがみついただけですよ。ちょっとだけですよ」
聖女ちゃんってこんなにポンコツになるのでしょうか
彼のことになると完璧美少女がポンコツさんになるようです。
・・・可愛い
あれっ
もしかして私はデートの自慢を聞かされていただけなのでしょうか
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