第2話 私の好きな人

人気者のトテちゃんと仲良くなったのは偶然にも席が近かったから

あまりの可愛さに私から声をかけてしまいました。


トテちゃん聞き上手なんですよね。気がつけば趣味のことや家族のこと

色々なことを話せるお友達になっていました。



しかも相手の気持ちを読むことが上手なトテちゃん

あまり聞かれたくないようなお話の時は、例のトテちゃん特権で図書準備室に連れて行ってくれるのです。

お悩み相談もしやすいのですよ。


図書室の貸し出しカウンターの横にある扉

その奥にあるのが図書準備室


入口は見えているのにそこに部屋があることを認識されない不思議な場所

自分には関係ない場所って考えてしまうと頭の中から消えてしまうのでしょうか



お話しするのは司書さんの机から少しだけ離れた書架の隣

四人が座れる机が用意されています。本当は作業用なのですが、使わせていただいています。

机の上にはいつも一輪挿しの花瓶 いつもきれいな花が迎えてくれます。


もちろん同じ部屋に司書さんはいるのですが聞かないふりをしていてくれます。

それに本当に聞いてはいけないと感じると司書さん席を外すのです。

大人の女ですよね。恋する乙女の味方です。


花瓶の花を用意しているのも司書さん

とっても乙女だと思います。



§



私にはずっとずっと誰にも言えない悩みがありました。

心の奥で秘めていた恋の悩み


なぜかトテちゃんたちには話してしまったのです。


図書準備室という不思議な場所

目の前には心を許した友達がふたり


いつも三人で楽しくおしゃべりしていました。

そんな中 恋バナをするときの私の様子 違和感を感じたそうです。


『辛い恋をしているのですか』


『ここには恋を笑う人なんていないからね』



きっと驚かれてしまうこと 眉をひそめてしまうこと

誰もが聞いたら反対すると思っていた恋


そんな覚悟をしていたのに当たり前のように受け止めてくれたのです。




私の恋の悩み



憧れの人が年上なんです。そして女性なんです・・・・


私は同性であるお姉さんに恋をしています。



――――



小学校の時に偶然お世話になってそれからずっと憧れの人


ちょっとお話し出来るだけでも嬉しくてドキドキして毎日が楽しいのです。

好きな人がいるって世界が輝いて見えるのです。



それだけでも満足していたはずなのに・・・



中学に入ってからお友達には彼が居たりして、やっぱり羨ましいのです。

お姉さんは私の『特別』です。


私もお姉さんの『特別』になりたくなってしまったのです。



「私はおかしくないと思う 好きになったら相手が同性でもおかしくないよ」


トテちゃんはまったく否定しないのです。

私の想いを認めてくれる人が居る とっても嬉しかったです。



「私の周りも素敵なお姉さまいっぱい居るもん 後輩の女の子から告白されているお姉さまも居るよ」


お姉さんに告白する女の子も居るのですね。

告白に踏み切る勇気 尊敬してしまいます。



「それにお姉さま同士が仲良しでね 男の人が寄ってきても相手にもしないの」


なんだか気が合いそうなお姉さん方ですね。


でも男の子を嫌いなわけじゃないですよ。トテちゃんのお付き合いは羨ましいです。

あんなに素敵な彼がいるなんてズルいですよ。



「もしかしてライバル宣言・・・」


違いますっ トテちゃんの彼を取ったりしません。

『お付き合いしていない』なんて言っているのに嫉妬するトテちゃんです。


可愛い・・・


何といっても私には大好きなお姉さんが居ますからっ



「でも謎のお姉さんだよね」


私の憧れのお姉さんは謎ばかり それも魅力に感じてしまいます。



「本当の名前も知らないんでしょ」



お姉さんの名前は『あかね』さん でもビジネスネームだそうです。

お仕事をするとき専用の名前 名字も無しであかねさん


ずっとあかねさんと呼んでいたら本名を聞く機会を失ってしまいました。



「年齢もわからないし」


年上だってことはわかってますよ。お仕事してますし・・・

年齢は一度聞いたことがあるんです。



でも『女性に年齢を聞いちゃだめよ わたしはね 実は十七歳』って教えてくれました。



「絶対に違うよね 十七歳って高校生だよ」


うん それは私も思います。もっと年上だよね。見た目からおそらく大学生かな。



「私が仲良しのお姉さまも十七歳って言ってたけど同じ人じゃないよね」



あかねさんはね。すっごく色っぽくて声だけでも大人って感じがするの

身長は高くてスラっとした美人タイプ

目がぱっちりしていて、見つめられると動けなくなりそう

髪型もおしゃれで軽くカールがかかった黒髪


話し方が優しくてていねいで、雰囲気から想像するとどこかのお嬢様みたいな気がするお姉さん


それに何といってもおっぱいがすっごく大きいの

ぎゅって抱き着いたら息が出来なくなるくらいに大きいの



「それじゃあ 違う人だね」


トテちゃん 仲良しのお姉さんに怒られますよ。

なんとなくそんな気がします。



「素敵なお姉さまってみんな謎が多いのかも、仲良しのお姉さまみんな謎だら

けだもん」



仲良しのお姉さんがいっぱいいるのですか


お姉さんと仲良くなるコツってあるのですか 



詳しく 詳しく聞かせてくださいっ


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