第32話 緑色のスライムが現れた!

『わーっ! ダメダメだめっ! ラルゴさん、ニンゲンさんを襲っちゃダメだよ! 駆除対象になっちゃう!』

 突然、間に割って入ってきたのは──。


「み、緑色の……スライム!?」

 しかも喋っている。いや、このスライムの喋っていることが『理解できる』といった感じか。


『ニンゲン……危険。オレ、仲間、守ル。ニンゲン、ヤッツケル』

『だからダメだってば! それにニンゲンさんがみんな危険ってわけじゃないんだよ!』

 緑色のスライムはエイプたちを一生懸命に説得した。エイプたちはしばらくキーキー言っていたものの、呆然と佇んで、目をしぱしぱさせているタクトに敵意がないことを見て取ると、警戒しながらも去っていった。


『ふー……これ以上問題が起きなくてよかった。それにしてもどうしてニンゲンさんが……。今、【長老】の結界が張ってあるから森には入れなくなっているはずなのに』

「長老? 結界?」

『うん。この【大いなる森】に大昔から住んでいる長だよ。って……ニンゲンさん、おいらの言葉がわかるの!?』

 タクトはうんうんと頷いた。

 プリンとこの緑のスライムの言葉はわかるのに、サスケとリロイの言葉がわからないのはどういうことなのだろうか。


『……もしかしたら長老の予言の【運命の子】……? 森の救世主? ねえ、ニンゲンさん! おいらについてきて! 長老に会ってほしいんだ』

「え? え?」

『詳しい話しは後で! はやく、はやく!』

 緑色のスライムはものすごい速度で跳躍していく。

 状況が全く呑み込めないタクトであったが、緑色のスライムに促され、走り出した。スライムたち、ポチもそれに続く。

 

 一体、この森で何が起きているというのだろうか──。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る