第26話 黒騎士
漆黒の甲冑が鈍く光る。
三人の黒騎士が、ゆらりと現れる。タクトは流れてくる冷気を受けて震えた。
あれも、モンスター? 人間なわけがない、とはわかっているものの、その佇まいからは騎士の誇り、強い意志のようなものを感じ、タクトは戸惑った。
鎧に憑りついたゴースト系のモンスターか、それともアンデッドか。いずれにしても有効打を与える手立てがない。
──いや、一手だけ。可能性はある。効果がなければ、どうする? 決まっている。全力でぶつかるだけだ。
黒騎士のひとりが前に出た。
すらりと白銀の剣を抜き、構える。
「ローザ、おまえが出るか……珍しいな。いいだろう。タクト、一番手を選べ。勝負だ」
タクトが一番手に選んだのはプリンだった。
カイトにはタクトの狙いがすぐにわかった。ならば、受けて立つまで。
──モンスターバトル……レディー……ゴー!
「プリン! 【電光石火】からの【雷撃】!」
『承知いたしました!』
まるで雷のような速度での攻撃だった。それは先手必勝の技。もうそんなこともできるのかとカイトは感心した。いや、この土壇場で考え抜いたか。彼は戦いの中で急速に成長するタイプらしい。
プリンの雷の属性の魔力を引き出し、速度強化。そして身体から雷を放ちながらの【アタック】は雷の初級攻撃魔法【サンダー】以上の威力だ。いずれもタクトの魔力により大幅に強化されたもの。事前に来ることがわかっていたとしても、防ぐことは難しかっただろう。
しかし。
黒騎士ローザはプリンの攻撃を片手で受け止めた。そしてそのまま、拳でプリンを地面へと叩き落す。
『きゅう……』
プリン、戦闘不能。
ローザは雷が少し帯電している右拳を振り払った。
金属は電気を通しやすい。黒騎士の正体が何であれ、一定の効果があるのではないか。そう期待しての一撃だったが、効果はなかったらしい。
実はその他にも、今の雷の一撃を無効化した要素が二つあるのだが、カイトはそれを言わないことにした。
タクトはいずれ自分のライバルになるかもしれないのだ。ならば、自分からこれ以上手の内は見せない。タクトがローザの
続いてタクトの二番手は──リロイ。
タクトは懸命に、この黒騎士に『勝つ』ための方法を模索するのであった。
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