第17話 またな!

 メモリアシティには瞬く間にたどり着いていた。

 とんでもないスピードで飛んでいるにもかかわらず、振り落とされるような心配は全く感じられない、どっしりとした安定感があった。


「すごいや……ありがとう、カルラ!」

 カルラはじっとタクトを見た後で、ふいっと顔を背けた。

「はは、気を悪くしないでくれよ。カルラは人見知りなんでね。初対面の人は背に乗せないこともあるくらいだ。それを考えれば、キミはまだ好かれている方かな」

 ルーカスが言うと、カルラはバサッと大きく羽ばたいた。

 それを見て、ピンクのスライムのプリンがタクトに言う。

『この子、照れてますね。人見知りじゃなくて、恥ずかしがり屋さんのようですよ。背に乗せたくないのは、臭い人だけみたいです』

「プリン、もしかして……スライムだけじゃなくて、他のモンスターの考えていることもわかるの!?」

『どうやらそのようです。もう少し波長が合わせられれば、会話することもできそうです。訓練が必要ですね』

 モンスターの考えていること、話していることがわかるなんてすごい!

 プリンがいれば、モンスターとの仲を深めて、本当の“ともだち”になれるかもしれない。タクトは目を輝かせた。


「さて。オレはあの遺跡の件をギルドに報告しに行かねばならない。キミと色々と話したいことがあったが、それはまた次の機会としよう」

 次の機会。四天王と再会できる……そんな日が訪れればいいな、とタクトは思う。

「なに、すぐに会えるさ……きっとな。タクトくん、キミの前にはこれから様々な困難が訪れるだろう。辛く挫けそうなこともあるだろう。しかし恐れることはない。キミには勇気がある。どれだけ打ちひしがれようとも、暗く深い穴に沈もうとも……キミの内にある輝きを、信じろ」

「は、はい?」

 ルーカスはタクトの胸を拳で叩いて、笑った。


「それじゃあな、タクトくん。また会おう!」

 ルーカスはカルラの背に飛び乗り、颯爽と去って行ってしまった。

 

 ──風のような人だったな。

 タクトはもう、遥か遠くに行ってしまった彼らの姿を追うように、空を見上げた。

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