第4話 Battle!!

「公式バトルは3対3……なんだけど、あんた、スライム一匹しか使役できていないんでしょ。さすがに後味悪いから、こっちも一体だけでいくわ」

 

 モンスターバトルでは、モンスターの実力だけが勝負を決定づけるものではない。テイマーの能力や行動が勝敗を分ける。


 テイマーは自分に対して【補助魔法】のみを使用することが認められている。【回復魔法】の使用は禁じられているが、回復アイテムはモンスター一体につき一回まで使用することができる。

 またテイマーは、相手のモンスターに対して直接干渉することは禁じられているが、自分のモンスターを守るために『盾』になることはできる。

 使役しているモンスターすべてが倒れるか、テイマーが行動不能になった時点で勝敗は決する。


 ミカがぴぃっと指笛を鳴らした。

 するとどこからともなく、ざざざっと赤いウロコに覆われたオオトカゲが現れた。


「覚えてる? あんたに懐かなかった、ファイアリザードよ。レアなサラマンダー種だったのにね」

 うらやましい。とタクトは思ったものの、すぐに思考は切り替わっていた。

 スライムにとっては苦手な炎属性のモンスターだ。どう攻めるべきか。

 ミカはタクトの目が輝いているのを見て、舌打ちした。

 ──こいつ、勝つ方法を考えている。

 仮に、タクトのスライムがファイアリザードのレベルを20上回っていたとしても太刀打ちできないだろう。タクト自身も大した能力はない。なのに、勝負になると思っているのか。もう手加減なんて、しない。してやらない。粉砕してやる。その夢ごと。


「……いくわよ!」

 ミカとタクトはそれぞれ身構えた。



『モンスターバトル……レディー……ゴー!』



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