第3話 ミカ

「久しぶりね、タクト。あんたまだモンスターテイマーやってたの?」

「……ミカ」

 ジョセフの家を出たタクトのすぐ前に、少女は立っていた。

 ジョセフの孫娘、ミカ。彼女もまたモンスターテイマーだ。

 青い長髪がさらりと風に流れる。


「スライムしか使役できないモンスターテイマーがいるっていうウワサは本当だったみたいね。そんなんでまだ、テイマーを続けるつもりなの?」

「……まだ、スライムしか使役できないかどうか決まったわけじゃないよ」

「ふん。おじいちゃんが育てた、どんな人間にも懐くモンスターさえ使役できなかったじゃない。無理よ、諦めなさい」

「……やってみなければ、わからない」

 ミカはキッとタクトを睨みつける。


「あんたなんかがどれだけ頑張っても無駄だってこと、わからせてやるわ。勝負よ!」

 ミカが勝負宣言をした。

「や、やめんかミカ」

 ジョセフがおろおろと、二人の間に割って入る。

「おじいちゃんは黙ってて。どうするの? やるの? それとも諦めて逃げ帰るの?」

 タクトはずいっと前に出た。


「──勝負だ、ミカ!」


 二人は正面から視線をぶつけ合った。



 ──モンスターバトル、開始!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る