第325話 どんな焼き加減が好みだい? ウェルダン? 消し炭? 暗黒物質?
3期パイロットが戻って来たのを確認してから、恭介はカタパルトにアンチノミーを移動させつつラミアスに指示を出す。
『ラミアス、特装砲で結界を破れ。俺達がそこから侵入する』
『承知しました。
恭介が1,000万ゴールド支払ってアップデートしたことにより、特装砲の
そのせいでルーナはしょんぼりしている。
『ラミアスの乳揺れがない
『こういう時ぐらい真面目にやれ』
『は~い』
恭介がルーナにそう言っている間に、
火力が上がっているのに艦内への衝撃もなくなっているのだから、アップデートした甲斐があったというものだ。
『ラミアス、出撃後に俺の
『私と晶さんも
『承知しました。恭介さん、無事をお祈りしております。アンチノミー、発進どうぞ!』
『明日葉恭介、アンチノミー、出るぞ!』
カタパルトから射出され、アンチノミーが瑞穂の外の宇宙空間に飛び出してから麗華達が続く。
『更科麗華、シグルドリーヴァ、出るわよ!』
『筧沙耶、ミラージュドレイク、発進します!』
『尾根晶、メランコリーアスタロト、行きまーす!』
シグルドリーヴァとミラージュドレイク、メランコリーアスタロトも宇宙空間に飛び出し、恭介のアンチノミーの後ろに続く。
それから
沙耶と晶が
沙耶と晶が何を代償として捧げたかと言えば、3機目のベースゴーレムと現在使っていないゴーレムの設計図、使っていない武器全てである。
格納庫の肥やしになるくらいならば、最終決戦で使える
宮殿の中に入った途端、恭介達の乗るゴーレムが光に包み込まれる。
光が収まった時、恭介達は宮殿の中に別々に転移させられていた。
晶は視界にクティーラの姿を見つけ、それと同時にラミアスのアナウンスが耳に届く。
『晶さん、落ち着いて対処して下さい。C202Gクティーラ=ネクロノミコンパーツです』
「分散させて上位単一個体のコピーと戦わせるとか、性格の悪いおもてなしだね」
苦笑する晶の心中は穏やかではなかった。
『いあ! いあ! くとぅるふ ふたぐん!』
「ここにクトゥルフは呼んでほしくないかな!」
不気味な言葉が聞こえてしまい、晶は勘弁してほしいと思いながら2つのカタルシスで攻撃を始める。
無論、2つ目のカタルシスは
クティーラ=ネクロノミコンパーツが腕を伸ばし、触手のドレスが鋭い槍に変化しながら伸びるけれど、それは
「どんな焼き加減が好みだい? ウェルダン? 消し炭?
『消し炭と
「ルーナ、ハウス」
『そんなぁ…』
晶だってわかっていて言っているのだから、ルーナに細かいツッコミをされてもまともに取り合う気はない。
連射されるミサイルがクティーラ=ネクロノミコンパーツの上半身に当たる直前、触手のドレスが盾に変わってミサイルから自分の体を守った。
火力は高いから、盾はあっさりと破壊されるけれど再生力が高いから徐々に盾は元通りになる。
「押して駄目なら押しまくれば良いのさ」
晶にしては珍しい脳筋発言と同時に、今度は2つのカタルシスからペリュトン爆弾を連発することでクティーラ=ネクロノミコンパーツの触手のドレスは破壊と再生を繰り返してあっという間にミニスカドレスになってしまった。
『晶君ってばそうやってクティーラ=ネクロノミコンパーツの露出度を上げる作戦なんだね。業が深いなぁ』
「ちょっと黙っててくれる!?」
言外に心外だと晶がツッコむのは当然のことで、晶にはクティーラ=ネクロノミコンパーツのドレスの中身なんて興味がないのだ。
ルーナに好き勝手言わせてしまえば、いつの間にか自分がクティーラ=ネクロノミコンパーツのドレスを捲ってパンツを見たがる変態扱いされてしまうと思い、今回は声を荒げてツッコんだ。
自身を守る触手のドレスの残りが心許なくなって来たから、クティーラ=ネクロノミコンパーツはドレスを変形させて最低限隠すべきところを隠し、それ以外の触手を両腕に集めて巨大な大砲に変形させた。
そして、両腕の大砲からそれぞれ8つのビームを発射し始める。
メランコリーアスタロトの展開するフィールドによって減速し、
「君の攻撃は僕には当たらないんだ。逆はその限りじゃないけどね」
晶が2つのカタルシスをビームキャノンに変えて発射すれば、メランコリーアスタロトの展開するフィールドによって加速するから、回避が遅れたクティーラ=ネクロノミコンパーツの胴体に大きな風穴が2つ開いた。
触手のドレスが完全に破壊されたことで、クティーラ=ネクロノミコンパーツ自身が体を再生させつつ大量の触手に変換して大蛇を模る。
「もしかして、これって時間稼ぎされてない?」
『もしかしなくても時間稼ぎされてるよ。恭介君達がオリジナルと戦った時は、瑞穂も
「まったくもう、面倒なことになったもんだよ!」
とにかく火力でゴリ押しするしかないとわかり、晶はヤケクソ気味に怒涛の攻撃を仕掛ける。
クティーラ=ネクロノミコンパーツ自身はダメージを無視してメランコリーアスタロトに接近し、体を構成する触手の先からビームを連射する。
フィールドと
やがて大蛇を構成できるだけの触手がなくなり、クティーラ=ネクロノミコンパーツは触手球と呼ぶべき姿に変わった。
その触手の先端からエネルギーバリアを展開し、今までと違ってメランコリーアスタロトに向かって突撃し始める。
「ルーナ、ちょっと相談。これ、なーんかヤバくない?」
『ヤバいね。球体の中心に高エネルギー反応があるよ。自爆特攻の確率が99.9%だ。爆発すれば周囲3kmは吹き飛ぶね』
「ガチでヤバかった。逃げるが勝ちだね」
これ以上戦闘を続けても自爆に巻き込まれるだけだと判断し、晶はメランコリーアスタロトを操縦してクティーラ=ネクロノミコンパーツから全力で逃げ始めた。
球体のままではスピードが出せないから、メランコリーアスタロトを追う内にクティーラ=ネクロノミコンパーツはドリルに変形して回転する。
「殺意マシマシで勘弁してほしいんだけど!?」
『逃げるんだよォ!』
「逃げてるってば!」
『そうだったね!』
馬鹿なやり取りをしているけれど、メランコリーアスタロトとクティーラ=ネクロノミコンパーツの距離は変わっていない。
これはメランコリーアスタロトの展開するフィールドのおかげであり、このフィールドがある限りクティーラ=ネクロノミコンパーツはどれだけ足掻いても今以上に接近することはできない。
エネルギー反応が高まるだけ高まり、クティーラ=ネクロノミコンパーツが光り始める。
「ギフト発動!」
自分を守るための手段として、晶は困った時の切札として
ギフトレベルが44まで上がった今、晶の
「はぁ、助かったぁぁぁ」
『お疲れ様。しんどいと思うけどみんなと合流しよう』
「そうだね。ここで突っ立ってた方が危険だ」
ぐったりしている所を狙われたら堪らないから、晶は恭介達と合流するべく動き始めた。
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