第288話 黙れ小僧共!
博己を含め、生存者がイベント会場に戻って来た。
『はい、ニューイングランドメモリアル参加組が戻って来たね。早速全体向けのバトルスコアを発表するよ』
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バトルスコア(第3回新人戦・ニューイングランドメモリアル)
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1位:A業スマイル(日本/オルタナティブΔ/侵攻率36%)
2位:ジャジャンヌ(F国/ニンフ/侵攻率8%)
3位:トラフィック(E国/ジャンクナイト/侵攻率7%)
4位:シュワシュワ(A国/メビィ/侵攻率5%)
5位:ターバン(IN国/ジャックフロスト/侵攻率4%)
6位:ロッキ(D国/トリッククラウン/侵攻率2%/死亡)
6位:ミサイルライダー(R国/シーサー/侵攻率2%/死亡)
8位:パッチモン(C国/ラセツ/侵攻率0%/死亡)
全体侵攻率:64%
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備考:1位と2位で4倍差ってどゆこと? 猛省しようか?
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バトルスコアを全員が呼んだと判断した後、再びフォルフォルによるお仕置きタイムが始まった。
フォルフォルが指パッチンした瞬間、パンゲアクルーの4期パイロット全員の悲鳴が聞こえた。
それと同時にモニターに映る画面が切り替わり、荘厳な見た目の観光船が美しい自然を進むものに切り替わる。
その上、画面上部にはこのコーナーは無能な4期パイロットのせいで、急遽映像が差し替えになりましたと表示された。
「まさかNice boatを2回も見れるなんて驚きだね」
「全部無能なパンゲアクルーの4期パイロットのせいだよ。そうじゃなきゃとっくに崩壊の祖国の説明ができてたはずなんだから」
晶のコメントに対し、ルーナはやれやれと首を振った。
まだお仕置きタイムは続きそうだから、恭介はルーナに質問する。
「ルーナ、崩壊の祖国って何処が舞台になるんだ? まさか地球じゃないよな?」
「その辺りは私の分身の説明が終わってから話すよ」
「勿体ぶる内容か?」
「そうじゃないけど、今ちょっと崩壊の祖国のルール変更とそれに伴う作業中なんだ。細かい作業をしてるから、集中させてほしいんだよ」
その作業が4期パイロットにとって良いものなのかわからないが、細かい作業をしているタイミングで難しい話をさせられるのは自分だっていやだから、恭介はモニターが切り替わるのを待った。
それからすぐに観光船の映像がイベント会場に切り替わったが、イベント会場の雰囲気は先程のお仕置きタイムの直後よりも雰囲気がどんよりしていた。
『はい、お仕置きタイム終わり。君達にはクトゥルフとお見合いする幻影を見せたよ。廃人になりそうになったらすぐに治すのを繰り返したから、少しはクトゥルフ神話の侵略者達への耐性も身に着いたんじゃないかな。ということで、次にやる崩壊の祖国のルール説明を始めるよ』
フォルフォルがそう言った直後に、崩壊の祖国のルールがモニターに映し出される。
・今まで出番がなかった各国のパイロット1名が参加する
・とある国の首都そっくりな場所が攻め込まれており、敵を完全に鎮圧したらクリア
・制限時間は1時間とする
・報酬は失敗しても貢献度に基づいて与えられるが、戦犯は物的財産を没収
・モニターには味方と他国のパイロット、敵の3種類のアイコンが映る
・敵はパイロットが乗れない敵専用ゴーレム軍団である
・ゴーレムのサイズはレースの時と同じ
・崩壊の祖国終了後にその被害が現実に反映される
「ルーナ、最後の一文がルールを変更したってことか?」
「その通りだよ。パンゲアクルーの4期パイロットに危機感が足りなさ過ぎるからね。何処かの国には見せしめになってもらわないと」
「流石にやり過ぎなんじゃないか? 時間凍結じゃ駄目なのか?」
「時間凍結から復帰した国を見てごらんよ。全然挽回しようって気概が見受けられないでしょ? だから、心を鬼にして最後の一文通りになるよう作業をしてたんだ」
恭介はどの国が舞台に選ばれたとしても、大勢の人に被害が及ぶから時間凍結では駄目なのかと訊ねた。
しかし、ルーナはその恭介の質問に首を横に振った。
何故なら、C国とR国、IN国の3ヶ国は3期パイロットが選抜される際に時間凍結を受けた国だが、その状態から復帰して事態が改善したかと言えば、残念ながら改善していないからだ。
それならば、ここでガツンとキツいペナルティを与えてわからせる必要があるとルーナは考えた。
『はい、全員読んだみたいだから、次は舞台になる国をダーツで選ぶよ』
フォルフォルが指パッチンした瞬間、マスが七等分されたルーレットが現れた。
そのルーレットにはパンゲアクルーの所属国だけが記入されており、日本の文字は見当たらなかった。
当然、パンゲアクルーから抗議の声が出て来る。
『異議あり! 何故日本だけマスがないんだ!』
『日本だけ優遇されてるのはおかしい! 不公平だ!』
『富や力の集中は是正されなければならない!』
『黙れ小僧共!』
フォルフォルが一括したことにより、イベント会場は静かになった。
いつものように君達と呼ばず、完全に格下相手に小僧共と呼んでいるから誰も何も言い返せない。
静かになったイベント会場でフォルフォルが咳払いしてから再び口を開く。
『日本はオルタナティブシリーズ、つまりは私のベースゴーレムに頼らないゴーレムで立派な戦果を挙げた。それに対して君達はどうだい? 醜く同士討ちをしたり、自分のことを考えてばかりだ。そもそも、パンゲアなんてトゥモローが助けに来てくれなかったらマイノグーラにやられてたじゃないか。その助けがあって新人戦が開けるんだから、日本を優遇するのは当然だね』
この説明を聞けば、パンゲアクルーの誰も言い返せなくなった。
もしもこの期に及んで日本も加えろと言えば、世界中に恥知らずだと糾弾されるだろうことは想像に難くないからである。
反論を封殺したところでフォルフォルはルーレットを回し始め、それから適当に矢を投げる。
ルーレットが止まり、矢が刺さっていたのはR国だった。
『はい、決まりだね。崩壊の祖国の舞台はR国の首都そっくりの場所だよ。参加者を今から転送するよ』
崩壊の祖国の舞台が決まったことで、フォルフォルは参加するパイロットが乗るゴーレム達を一斉に転送した。
それと同時に参加するパイロットの一覧がモニターに映し出される。
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バトル参加者(第3回新人戦・崩壊の祖国)
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1位:コンビニマン(日本/オルタナティブβ/無)
1位:ノルマン(F国/アラクネ/水)
1位:ドレットノート(E国/ジャック・オ・ランタン/火)
1位:ライオットゼロ(A国/スフィンクス/土)
1位:シュタイナー(D国/アークエンジェル/風)
1位:チンミオ(C国/フェンサーフレーム/風)
1位:ライドンカイザー(R国/ブロックシューター/土)
1位:アルアルアル(IN国/セイレーン/水)
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「フェンサーフレームとブロックシューターはこっちじゃ初めて見るんじゃないか?」
「そうだね。GBOの時は使ってる人見たことあるけど、デスゲームでは誰も使ってなかった気がする」
恭介がC国のチンミオとR国のライドンカイザーの使うゴーレムを見て言えば、麗華もその通りだと頷いた。
フェンサーフレームはブリキドールの上位互換機体であり、特に剣の扱いに特化している。
短剣から両手剣まであらゆる剣が使えるから、邪魔にならない程度に複数の剣を装備してフェンサーフレームに乗る者はGBOにいたのだ。
ブロックシューターは属性ごとに若干機能が異なるが、基本的に周囲の元素を利用して攻撃するゴーレムである。
火属性なら熱や火を集めて放ち、水属性なら水、風属性なら風、土属性なら土や岩が対象だ。
使えるかどうかが戦う場所に左右されるので、ブロックシューターを好んで使うパイロットは少ない。
やがてパイロットの一覧が消え、モニターにはゴーレム軍団に攻め込まれているR国の首都そっくりの場所が映し出された。
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