第282話 各国の無能、ゲフンゲフン、首脳から感謝の言葉が送られてるよ
マイノグーラの背中から生えた触手が頭部以外を覆い隠し、その触手がフルプレートアーマーに変化する。
フルプレートアーマーが現れるのと同時に、いつの間にかマイノグーラは両手に大剣を握っていた。
その大剣は見るからに不気味なオーラを放っており、ギフトレベルの足りない者が
『妾の怒りを思い知るが良い!』
マイノグーラは蛇の髪の目から荒々しいビームを放って攻撃しつつ、恭介に接近して大剣を振るう。
その見た目は暴走状態と表現するのが相応しく、当たれば危険だが大剣の振りは大きい。
そして、麗華の一撃は強烈で与えたダメージも多かったはずなのだが、どういう訳なのかマイノグーラのヘイトを多く稼いでいるのは恭介らしい。
(あの大剣に触ったら呪われそうだし、ここは遠距離攻撃で攻めるかな)
ラストリゾートもホーミングランチャーに変形させ、恭介は両手から追撃する極太のビームを連射しながらマイノグーラから距離を取った。
ドライザーのスピードならマイノグーラの攻撃を避けるのは容易いので、ホーミングランチャーによる攻撃だけが一方的にマイノグーラに命中する。
『ええい、鬱陶しい!』
『私のこと、無視しないでくれる?』
シグルドリーヴァの全武装でマイノグーラを狙い撃てば、ドライザーの攻撃で触手の鎧が壊れて修復される前にビームが命中し、マイノグーラにダメージが蓄積した。
『おのれ、貴様から倒してくれるわ!』
「俺から目を逸らして良いのか?」
マイノグーラがシグルドリーヴァを先に攻撃しようと視界からドライザーを外したら、恭介は背後から急接近してラストリゾートをビームウィップに変形させ、マイノグーラの両腕を拘束してから焼き切った。
そのチャンスを見逃さず、麗華が
『なかなかの情報量だね。恭介君、これだけあれば十分だから後は消し飛ばしちゃってOKだよ』
ルーナも満足するだけの情報源が入手できたため、恭介はこれ以上戦いを延長する必要がないのでとどめを刺すことにした。
土属性のスイッチを入れ、
核ミサイル並みの威力がある一撃が命中すれば、マイノグーラも流石に今までに受けたダメージも合わさって耐え切れず、
『恭介さん、麗華さん、お疲れ様でした。C206マイノグーラの生体反応が完全に消えました。戦闘終了です。高天原に戻って来て下さい』
『「了解」』
ラミアスから戦闘終了のアナウンスが聞こえたため、恭介と麗華はそれぞれのゴーレムを操縦して高天原に戻る。
恭介達が高天原内の瑞穂の格納庫に到着したところで、2人のゴーレムのコックピットにバトルスコアが表示される。
-----------------------------------------
バトルスコア(VSクトゥルフ神話)
-----------------------------------------
出動時間:30分15秒
撃破数:マイノグーラ1体
ヘルハウンド60体
-----------------------------------------
総合評価:S
-----------------------------------------
報酬:資源カード(食料)100×20枚
資源カード(素材)100×20枚
200万ゴールド
ファーストキルボーナス:ヤルダバオト専用兵装ユニット
ノーダメージボーナス:魔石4種セット×200
ギフト:
コメント:各国の無能、ゲフンゲフン、首脳から感謝の言葉が送られてるよ
-----------------------------------------
「マジでパンゲアを守った礼がしたいなら、今日の新人戦を中止しろって話だ」
『それはそれってことじゃないかな。というか、これで無事に新人戦が開けるって意味でも喜んでるみたいだね』
「どの国も頭がイカれてやがる。実にくだらない」
『まあまあ。どうせもうそろそろ現実を見てガックリするだろうから、その時が来るのを楽しみに待っててよ。自分に都合の良いことばかり考えてる奴が絶望した時の顔ってとっても見物なんだよ?』
ルーナが極まったゲス発言をするものだから、恭介はやれやれと首を振って溜息をついた。
どんな武器だろうかと思ったら、ヤルダバオトの見た目がソロネそっくりに偽装されていた。
ソロネの外見は銃が内包された三対の翼を背中に生やした天使型ゴーレムであり、翼は有線式で伸びたり角度を変えられたりできる。
ソロネと
機能の違いで言えば、三対の翼で生物と非生物を問わず動きを鈍らせる粉を操作できる代わりに、ソロネと違って航空戦闘機に変形できない。
つまり、
(これはまた面白い専用兵装ユニットが手に入ったもんだ)
恭介はドライザーやアンチノミー、ソリチュード、ネメシスとは全く違う方向性のヤルダバオトの専用兵装ユニットを見て、これはこれでありだと感じた。
そこに麗華が自身のゴーレムの調整作業を終えてやって来た。
「お疲れ様。さっきは麗華のおかげで安心して戦えたよ」
「お疲れ様。そう言ってもらえるのは嬉しいんだけど、さっきの戦いではちょっと失敗しちゃったから反省してる」
「失敗なんてしてたか?」
「うん。
マイノグーラは確かに麗華の強化した一撃を受けた後、体を再生させて暴走状態に突入した。
それを受けて麗華は200万ゴールドではなく、もっと大金を積んで攻撃しておけば良かったと反省している。
「あれは仕方ないさ。正直、俺も麗華の一撃で倒せると思ってたからな。ルーナ、マイノグーラが麗華の強化した一撃を受けても耐えられた理由ってわかるか?」
恭介が問いかければ、格納庫のモニターにルーナが現れて回答する。
『回収したマイノグーラの腕を分析して原因がわかったよ。マイノグーラはね、体と影を自由に入れ替えられる体質だった。影の形を変えて体を無理矢理変形させてダメージをある程度受け流してたから、恭介君や麗華ちゃんがガンガン攻撃しても耐えられてたんだよ。まともにダメージを受けてたなら、戦闘はもっと早く終わってたね』
「そんな力を持ってるとは上位単一個体は流石だな。残りあと何体だ?」
『マイノグーラの腕から回収した情報によれば、上位単一個体はナイアルラトホテップだけだね。それとその上に君臨する王のアザトースなんてものもいるってさ。単一個体もまだまだいるね』
「さっさとクトゥルフ神話の侵略者達との戦いは終わってほしいね。俺はただレースを楽しみたい」
GBOをプレイしていた頃、恭介は戦闘よりもレースの方が好きだった。
だからこそ、早くクトゥルフ神話の侵略者達との戦争なんて終わらせてレースをしたいと思っているのだ。
「大丈夫。恭介さんと私が一緒に戦えば、きっとすぐにレースを楽しめるよ」
「そうだな。俺と麗華が組めば敵なしだ。これからも頑張ろう」
「うん!」
「さて、俺達も他のクルーと一緒に新人戦を見守ろうか。俺達のレポートと3期パイロットの指導の成果がどれだけ出たか気になる」
恭介と麗華が戦っている間、ルーナは裏で着々と第3回新人戦の準備を整えていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます